【小学校受験】合格に近づく「子どもの正しい姿勢」を解説
コロナ禍以降、外遊びの機会が減り運動不足による子どもの体力や筋力の不足が問題視されています。小学校受験では長時間同じ姿勢でいる場面が多いことから、体力や集中力、礼儀作法など“取り組む姿勢”は合否を左右する重要なポイントです。そこで今回は、伸芽会で受験体操クラスを指導する大村元勝先生に、子どもの正しい姿勢の身につけ方をお聞きしました。
目次
小学校受験で姿勢はどれだけ大事?
__小学校受験において、姿勢はどのくらい重要なのでしょうか?
小学校受験の考査内容はペーパーテスト、運動考査、工作、面接などがあります。長時間同じ姿勢でいることが多いため、姿勢が悪いと集中力が散漫になり「指示を聞き逃す」ことがあります。
それだけでなく、姿勢が悪いと鉛筆などの持ち方が悪くなったり体に力が入りにくくなったりするため、描く・作るなどの課題が「時間内に終わらない」ことがあります。
また、猫背や足がふらふらしていると、足に力が入らず呼吸が浅くなるため「大きな声が出せない」こともあります。
さらに、運動考査では正しい姿勢で待てるか、面接中は美しい姿勢を保って受け答えできるかも合否を左右する重要な項目になります。
子どもの姿勢が悪くなる原因は?
__子どもの姿勢が悪くなる原因を教えてください!
お子さまは普段、こんな座り方や立ち方になっていませんか?
・背中をぴんと伸ばせない(猫背)
・座ったときに足を床につけていられない(ぶらぶらしたり椅子にからめたり)
・真っすぐ立って気をつけの姿勢で1分もいられない
・すぐに座りたがる
これらの原因としては、以下の3つが挙げられます。
原因①体力不足
抱っこひもやベビーカー、電動自転車などは便利ですが、乳幼児期の歩く機会を圧倒的に減らす原因でもあります。さらに、コロナ以降外遊びの機会が減り、都心では一人歩きが危険なこともあるため、近くの公園まで親が自転車で送迎するという場面も少なくありません。今の時代の子育ては、あえて負荷をかけないと体力不足に陥ってしまうのです。
>原因②筋力不足(腹筋背筋で体幹を支えられていない)
運動する機会が減る=筋力も不足しています。そういう子は、筋肉を緊張させる機会が減って「力を入れる」意味がよくわかっていないことが多いです。腹筋や背筋の力の入れ方もわからないので体幹がぐにゃぐにゃで悪い姿勢になってしまいます。
たとえば、手を真っすぐ上に上げた状態を写真や動画に撮ると、いかに真っすぐでないかがお子さまでもわかるはずです。また、力を入れる場所を触ってあげると力を入れる感覚がつかめてきます。
・抱っこによる幼児の足の筋力不足に関しては、こちらの記事をご覧ください。
『ママ必見!前抱き抱っこの弊害!? あなたのお子さんの足は正しく成長できていますか?』
原因③身体が固い
運動不足、筋力不足にも関連して言えることですが、最近は体が固い子が増えており、これも姿勢を悪くする原因となります。体が固いと関節の柔軟性も欠けるため、転んだときに手をつけずに顔をぶつけたり、骨折などの大けがにもなりかねません。
お風呂上りにストレッチをする、向かい合って座った状態でじゃんけんをし、負けたら足をひらくゲームなども効果的です。
子どもの正しい姿勢を身につける方法
__実際にどうすれば子どもに正しい姿勢が身につけられるのでしょうか?
ポイントとしては、「正しい姿勢が保てる=筋力と体幹がある」ことです。
まずは、筋力や体幹を意識した立ち方と座り方でトレーニングしていきましょう。
正しい立ち姿勢のポイント
まずは1日の中で数分でもいいので、正しい姿勢で立ってみましょう。先述した通り動画や写真に撮ったり鏡の前で立ったりするとわかりやすいと思います。
伸芽会の受験体操クラスでも「まずは1分間、絶対に動かない」練習から始めています。指や顔が動くのもダメ、かゆくても我慢です(息を吸うのは忘れずに!)。
年長の春の時点ではできなくても、練習すれば秋には皆さんできるようになりますし、私が言わなくてもお話を聞くときは正しい姿勢で立てるようになっています。
・伸芽会の受験体操クラスに関しては、こちらの記事をご覧ください。
『得意な子こそ運動考査で光る子に! 伸芽会の受験体操クラスをレポート』
正しい座り姿勢のポイント
足が浮いていると背中が丸くなるので、しっかりと両足を床につけ、背もたれにはよりかからず骨盤を立てて座ります。正しい座り方には椅子選びも重要です。座面が大きすぎず柔らかすぎないものを選びましょう。
面接などでもそうですが、大人用の椅子に座る際は浅く腰かけて足をしっかりつけます。もちろん家の中で常に正しい姿勢で座っていなければだめということではありません。食事や勉強の時間など2時間くらいは保てる練習をしていきましょう。
幼児は周りの人から褒められると嬉しくなるので、先生やお友だちの親御さんなどに「いい姿勢だね」とほめてもらえるとやる気がアップするはずです。また、賛否ありますが、正座も姿勢がよくなる座り方です。背筋が伸び気持ちが落ち着くので、短い時間でも取り入れてみるのもおすすめです。
男の子は少し足を開いて手を軽くにぎり、女の子は膝を閉じて手を重ねておきましょう。
正しい挨拶の姿勢のポイント
正しい立ち方、座り方の次にぜひ身につけてほしいのが正しい挨拶の姿勢です。
教室で指導をしていても「顔が前を向いたまま頭だけ下げる子」「首だけ会釈する子」がとても多いですが、本来、挨拶とは頭頂を相手に見せることで「敵意がない」「信用している」と示すことです。
ですから、腰から30度ほど折り曲げ、顔も下を向くのが正しい挨拶です。正しい角度で体を保つためには、やはり体幹がしっかりしていることが重要。また、面接では挨拶をしてから椅子に座りますが、挨拶をしたまま座るなど動作が止められないお子さま(親御さんも)が多いので、そこも意識してほしいポイントですね。
・悪い挨拶
・正しい挨拶
子どもの姿勢がよくなる習い事
__姿勢がよくなる習い事はありますか?
まず、子どもの姿勢をよくするには体力アップと筋力アップが欠かせません。
【体力アップに効果的な習い事】
・水泳
・体操
など
体全体を使う有酸素運動の水泳や体操は幼児の体力アップにおすすめです。
【筋力アップに効果的な習い事】
・バレエ
・空手
・日本舞踊
など
バレエや空手など、型があるスポーツは意識して筋肉を緊張・緩める動作を行うため、体幹も鍛えられ筋力アップに効果的です。
習い事が難しい場合でも、バランスボールや家庭用トランポリンなどを使えば、家の中でも遊びながら体幹を鍛えることができます。
また、どんなスポーツでも一流の選手は体幹が鍛えられているため姿勢が美しいです。
頑張っている運動の習い事があれば、ぜひ憧れの選手のフォームを分析して真似すると姿勢がよくなり、その種目も上達するはずです。
小学校受験の親子面接は美しい姿勢で合格に近づく!
__小学校受験の親子面接をよい姿勢でいるために、親は普段からどんなことを意識すればよいですか?
ポイント①親の姿勢は子どもに見られている!
まずは、親御さん自身の姿勢も普段から意識することです。子どもは親の動作を見ていますし真似します。立ち姿、座り方、食べ方などぜひ「子どもに見られている」と意識してみてください。
ポイント②なんでも危ない!と回避しすぎない
子どもは体の発達上、本能的に登ったりジャンプしたりしたい時期がありますが、それらの機会を危ないからと奪いすぎないことです。
安全には配慮したうえで、ちょっとした高さからジャンプする経験は、体幹アップや正しい姿勢にもつながることを忘れないようにしましょう。
ポイント③ハレの日を有効利用する
大人でもきちんとした格好をしてハレの席に出向くと「見られている」という意識で背筋が伸びますよね。それは子どもも同じことです。
特に小学校受験では、面接でびっくりしないためにも「フォーマル服に着慣れていること」「緊張感のある場所に慣れていること」が重要になります。
例)
・フォーマル服を着てピアノの発表会に出る
・七五三などの親戚が集まる食事会に行く
・おめかししてバレエや劇を見に行く
・ちょっとおしゃれをして家族で外食に行く
本人はもちろん、親御さんがフォーマルな服を着ている姿をわが子に見せること、そこにいる人たち皆がフォーマルな服でちょっと緊張する場所を経験しておくことは小学校受験においてとても有効です。
姿勢のよさは一朝一夕では身につきませんが、だからこそ姿勢が美しい家族は、面接でも目を引き、好印象を持たれ、合格に1歩近づくはずです。
日頃から、お子さまと一緒に正しい姿勢を身につけていきましょう!
1歳児・2歳児の体操教室の選び方と家庭でできる体の鍛え方
SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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