小学校受験の難易度を幼児教育のプロが解説! 第1回 難易度=偏差値や受験倍率ではない!?

小学校受験の難易度を幼児教育のプロが解説! 第1回 難易度=偏差値や受験倍率ではない!?

「小学校受験」と一口に言っても、学校によってテスト内容や倍率はさまざま。では、「小学校受験の難易度とは何で決まるの?」そんな読者の声にお応えする新シリーズ。
第1回は、「小学校受験の難易度=偏差値や受験倍率なのか」というテーマで、伸芽会教育研究所の牛窪先生にお話を伺いました。

小学校の難易度=偏差値ではない

__小学校受験の難易度=偏差値や受験倍率で決まるのでしょうか?
偏差値についてですが、伸芽会の模試では母集団の分布の関係で最高偏差値でも70にはなりませんし、指導が違う塾での偏差値は変わって当然です。ちなみに、保護者の方には年長4月の時点で伸芽会の模試の偏差値が概ね55以上あれば、受験する学校の選択肢が広くなるとお伝えしています。
非認知能力に重きをおく伸芽会では、本来なら偏差値を出したくないのですが、過去数年間でその時期でどのくらいの数値の子が最終的にどんな学校に合格したかという1つの目安として利用しています。

ですので、小学校受験の難易度は、偏差値よりも受験倍率に近いと言えます。試験日程でも倍率は異なりますが、一般的に倍率3倍を超えると学校側が総合的にレベルの高い子を選べるようになるため、難関校と呼ばれます。ただし、小学校受験の特徴ですが、定員割れする学校だからといって全員合格できるわけではありません! 
試験でどんなにいい点数でも、面接や行動観察で「うちには合わない」と判断すれば落とすケースもあります。点数さえとれれば受かるわけではない、というのが小学校受験と中学高校受験と大きく異なる点でしょう。

難易度が高い小学校の特徴

__難易度が高い小学校の特徴とは何でしょうか?
難易度が高い=高倍率の小学校と考えるならば、それらの学校の特徴は大きく2つあります。1つ目は、有名大学附属を含む「伝統校」であること。2つ目は、魅力的な「教育方針」があること。なぜならば、中学受験以降だと、大学進学実績で選ぶ方も多いですが、小学校の場合はそれよりも、わが子をこんな学校で学ばせたいという建学の精神やご家庭の教育方針に合う教育環境で学校を選ばれる方がほとんどだからです。

ただし、ここ数年中学受験を前提とする私立小学校も人気があります。洗足学園小学校、精華小学校などは、多くの有名国私立中学への進学実績を掲げています。こうした学校は、中学以上が女子校であったり小規模校であることが多く、小学校の学習の中で中学受験の対策も行ってくれる学校として人気を集め高倍率傾向にあります。

最難関校の慶應義塾幼稚舎にペーパーテストがない理由

__小学校入試では、難関校ほど問題も難しいのでしょうか?
私立小学校の最難関とされる慶應義塾幼稚舎にはペーパーテストはありません。つまり、難関校だからプリントが難問で、倍率が低い学校だから易しいというわけではないのです。私はよく、保護者の方に「小学校受験は採用面接に近い」というお話をします。なぜなら、試験問題=学校の方針が如実に反映されているからです。何問か見ていきましょう。

その1 慶應義塾幼稚舎など「大学入学までの12年間で伸びる子をとりたい」学校の場合
慶應義塾幼稚舎など、有名大学附属の一貫校では、大学入学までの12年間で伸びる子が欲しいので、現時点でのペーパーテストの結果よりも、今どんなことに興味をもってそれを自分の言葉で伝えられるか、集団の中での役割を見たいと考え、絵画や制作の試験を行います。

例)ある年の慶應義塾幼稚舎の試験では、「宇宙人に地球を紹介するために、地球がどんな素敵な星なのか、わかるようにクレヨンで絵を描く」「どこにでも行けるとしたら、どこに行きたいか、カバンに入れて持って行きたいものを3枚のコースターに、何をしたいかがわかるよう画用紙にクレヨンで描く」という課題が出されました。

その2 白百合学園小学校など、「良好な親子関係やコミュニケーション力を重視する学校」の場合
一方の伝統のある女子一貫校では、入学以降、親子、お友だちなどとコミュニケーションがスムーズに取れる子が欲しいと考えています。

例)ある年の白百合学園小学校の面接は、親子3人で行われました。テーマが誕生日だったのですが、「お父様が印象に残っているご自身の誕生日の思い出をお子様にお話してください」さらに、お子さんに「今の話を受けて、お父様に何か聞きたいことをお母様と相談してみてください」など、家族間での普段のコミュニケーションを見る内容になっていました。

難関校に合格する子の共通点は「お手伝い」と「遊び」の経験値

__受かるためには本番のテストで何点とればいいのでしょうか?
ペーパーテストも行動観察テストでも、どのような評価をされたかの合否の点数は各学校非公開であるため、具体的に何点以上なら合格ということをお伝えすることはできません。ですが、難関校に合格した子たちにはある共通点があります。それは、あらゆる形式の試験でもバランスよく対応できる「総合力」のある子です。
具体的には、
・家でたくさんお手伝いしている子
・たくさん遊んでいる子

こういうお子さんには、学びの土台や物事への高い興味関心がありますから、試験問題もあきらめずに挑戦できるのです。反対に、長時間テレビYouTube、ゲーム漬けの子には、それは難しいと言えます。

一言で遊びと言っても、具体物を使った遊び、人と関わる遊び、異年齢との遊び、自然の遊び、創造物を広げる遊び、ルールを共有する遊びなど多岐にわたります。
こうした遊びを幼少期にたくさんしていくことで、小学校入試でも先生の指示がイメージできる子になり、遊びを工夫したり考えられる応用力が身に付いていくのです。

【まとめ】

・難関校=難しい問題、入りやすい学校=易しい問題、ではない!
・受験倍率がたとえ1倍以下(定員割れ)でも、落とされる場合があるある
・最近は中学受験の指導をしてくれる学校も高倍率校に
・「小学校受験は採用面接に近い」と考えよう
・難関校に合格する子の共通点は「お手伝い」と「遊び方」

著者プロフィール

SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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