小学校受験、直前期は習い事やお出かけNGなの?
直前期になるといろいろとやるべきことが増え、親も焦りが出るため、週末に息抜きをする時間も惜しいと感じることもあるでしょう。
ですが、幼児にとってラストスパートをかけすぎるのは逆効果なこともあると言います。
そこで、長年小学校受験を指導されてきた伸芽会の麻生先生に、小学校受験直前期の習い事やお出かけなどの“息抜き”についてお話を伺いました。
目次
小学校受験の直前期に息抜きはしてもいい?
結論から申しますと、息抜きはしてください!
直前期になると、親御さんは緊張感に満ち溢れてしまうため、そんな状態の親御さんと朝晩ずっと一緒にいる方がかえってプレッシャーになりかねません。小学校受験は中学受験や高校受験と違い、5歳6歳の幼児がするものです。そもそも、寝る間も惜しんで勉強をする幼児(させるご家庭)を望んでいる私立小学校はほぼないと私は考えます。
直前期に一番意識したいのは、“日常のペース維持”です。リズムを極端に変えずに、いつも通り過ごすこと。通常の生活の中に考査があるというのが理想です。ですから、週末に公園に行くのが日常であればそのペースを崩す必要はないのです。親御さんもお子さんもご家族で安定した気持ちで本番を迎えられるようにしましょう。
おすすめの息抜き方法や時間の目安
試験本番のお子さんへの面接で「最近家族でどんなところにお出かけしましたか?」と聞かれることがあります。そこで、
(子)「出かけてません」
(面接官)「どうしてですか?」
(子)「お勉強しないといけないからです」「お母さんに叱られるからです」
本番でこういった回答をするご家庭やお子さんを学校側がのぞむでしょうか。
イライラしていてお母さんの怖い顔しか最近見ていないというお子さんは、面接で
何と答えるでしょうか。
直前期の息抜きは、家族の思い出となることはもちろんですが、午前は公園で遊んだり、午後は映画館に行ったり、家族で外食したりと、お母さんたちのリフレッシュになるようなものであってほしいと思います。
ただし、特に幼児は2日何もしないとせっかく身についた学習習慣や知識が限りなくゼロに戻ってリセットしすぎてしまうことがあります。ですから、本番1週間前などは学習時間をゼロにするのは避けたいですね。そういう意味では、朝に家庭学習をいつも通り行ってから、家族で楽しい時間を作るとよいと思います。
幼稚園や保育園も直前期は休ませた方がいい?
これはよく聞かれる質問です。先述した通り一番はいつもと変わらないことが理想的ですが、インフルエンザなどの感染症が増えてきたり運動会の練習などで疲れているときは休ませてあげたいもの。最終的にはご家庭の判断になると思います。
過去に、試験本番数日前の10月末に園で芋ほり遠足があるという子がいました。
「僕は行けないんだ……」としょんぼりしている様子を親御さんにお伝えし、そこまで本人が楽しみにしているのならばと芋ほり遠足後に早めのお迎えをして、お教室の授業(直前期は朝からお教室を開けています)は1コマだけ休んで来るという選択をされたご家庭がありました。大きなお芋をとったことやお友だちとお弁当を食べたことを嬉しそうに話してくれる顔を見て、直前期だからと安全策を取ってなんでもかんでもやらせないと、かえって本人のストレスになってしまうこともあるのだなと感じたことがあります。
また、午後に面接がある場合の幼稚園は行くべきか休むべきか悩まれると思います。
面接で「午前中は何をしていましたか?」と聞かれて「おうちでプリントです」と答えるよりも「幼稚園です」のほうが、普通の生活を大事にしているご家庭という印象になるかもしれません。もちろん、「大事な日の午前中に園でケガでもしたら」「疲れてしまうのでは」……と心配される方もいらっしゃるでしょう。行かせないと判断されたならば、本人がリラックスして本番に迎えるような午前中の過ごし方をおすすめします。
直前期のお稽古事の調整の仕方
お教室では、夏頃からお稽古事の整理(完全にやめるのではなくて試験前の数ヵ月だけお休みすること)をおすすめしています。とはいえ、これも最後はご家庭やその子によるところが大きいです。
過去に、バレエが大好きな女の子がいました。
お母さんは夏を過ぎてから受験対策以外の習い事は一切お休みしようと考えていたのですが、その子はバレエだけはどうしても休みたくなかったようで、「そこまでしたいならその子にとってバレエは息抜きと考えて続けてみませんか」とご相談して続けたまま合格した子もいます。こちらとしては、直前期はお教室に来る日を増やしてほしいですが、本人にとって意欲につながり、モチベーションも維持できるのであれば、すべて休ませる必要はないと思います。
余裕のある準備と自信がなければ直前期に休めなくなる
試験本番2週間前ともなると、どんなご家庭でも気がせいてしまうものです。そんなときに「今日半日くらい休んでもいいかな」と思えるためには、それまでにきちんと準備をしてきたという自信があってこそです。
伸芽会では、年長の夏に総合力を完成させ直前期の9~10月を実践時期(時間内に収める練習や、難しい問題にチャレンジする時期)としています。よく“夏を制する者は受験を制する”と言われますがまさに、夏の間にしっかりと準備をしてこそ、直前期にはあれこれ詰め込まずリズムを整えていけるのです。もちろん、夜遅くまで詰め込むなんていうのはもってのほかです。試験本番に合わせた起床をし、学習のリズムを作っていきましょう。
子どもの記憶は短い! 本番で思い出せるにはくり返しの共有も必要
子どもはその日その瞬間を生きていますから、大人と違って直前の記憶や感動が鮮明になりがちです。もちろん、本番で直前の記憶を答えたからいけないという訳ではありませんし、本来は日常のささいなことでも楽しめる工夫やアクティビティが散在しているご家庭の方が理想的ではありますが、共働きのご家庭などの場合はそうもいかないでしょう。
「夏休みの体験を試験本番でも思い出してほしい」といった場合は、家族の会話によく出したり、写真を見かえしたり、本人が描いた絵を壁に貼るなど、思い出を大切にするのも大事です。
とはいえ、幼児が本番で想定外のことを言うのは入試のあるあるです。親御さんは、
「えっ何それ⁉」と驚いたり動揺しないこと。わが子が何を言ってもおおらかでほほえましい顔ができるようイメージしておきましょう。以前、受験当日の朝に、トマトやズッキーニなど具材たっぷりのオムレツを食べ、お母さんが「面接で聞かれたらオムレツじゃなくて具材も答えられたら素敵ね」と話したご家庭がありました。本番でまさに「今日は何を食べてきましたか?」と聞かれたのですが、具材の名前が出てこなくて一言もしゃべれなかったというお子さんがいました。
「こう答えなさい」だと対応できなくなる場合があります。面接は話す内容よりも受け答えの姿勢が大事です。楽しかった思い出を聞かれて用意した覚えた答えをすらすら述べるよりも「いっぱいあって迷ってしまいます」の方が子どもらしくて可愛いと思いませんか? 口下手の子はある程度答えを用意してあげるのはいいかもしれませんが、「こうじゃなきゃダメ」とならないように注意しましょう。どんな答えでも「どうしてそう思うのですか?」の答えにその子らしさがでていれば大丈夫です。
SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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