教育に関心がない夫を変える方法!『俺のお受験』著者インタビュー!

進学先や受験、習い事に塾……。夫婦間で教育に温度差があり、どちらかに丸投げ状態のご家庭は多く、中でも「無関心な父親がどうすれば同じ方向を向いてくれるか」と悩む母親は多いと言います。
そこで、まさにそんな父親が主人公の漫画『俺のお受験』(講談社) の著者、奥沢清之先生と、小学校受験経験者である担当編集者の西村浩さんにインタビュー。父親が子育てや教育に関心を持つようになるコツを男性目線で語っていただきました。
目次
なぜ父親は教育に関心がないのか
__男性誌『モーニング・ツー』で「小学校受験」というテーマを選んだ経緯を教えてください。
西村さん:弊社内でもわが子の小学校受験を経験した者が複数人おりまして、そこから父親向けの漫画を作ったら面白いのではと言う声が上がり、私が2度子どもたちの小学校受験に関わった経験から、編集担当になりました。
世にあるお受験関連の物語は「母親たちのどろどろとした世界」と言うイメージが強いかもしれませんが、この話はそういったセンセーショナルさはなく、あくまで父親目線で描いた物語となっています。
奥沢先生:私自身は子どももいないので、全く知識がない状態からのスタートでした。お話をいただいてから、関連の書籍やインターネットの情報、各社幼児教室、西村さんをはじめお子さんの小学校受験を経験された方々の生の声をもとに構成を練り、約2年後に連載がスタートしました。
その上でこの物語のテーマにしたのは、僕と同じように全く小学校受験や子どもの教育に関心がなかった主人公(父親)の意識が、どのように変わって成長していくか、という「子育て成長物語」です。
西村さん:私は2人の娘の小学校受験を経験しました。最初はこの物語の主人公と同じように、小学校受験には全く興味がありませんでした。ただ、自分は中学受験経験者でしたので、漠然と「子どもたちにも中学受験をしてほしい」とは考えていました。
ところがある日、妻から「中学受験を頑張る子向けの私立小学校があって、見学してきたらとてもいい学校だった。娘もやってみたいと話している」と上手く外堀を埋められていきまして(笑)。そこから家族で「小学校受験を頑張ろう!」という流れになりましたね。
父親はわが子のことをほぼ知らない
__多くの母親たちが悩む「夫がわが子の教育に関心がない」「父親はわが子のことをほぼ知らない」問題について。これは実体験に基づいたものでしょうか?
奥沢先生:私の幼少期を振り返ると、父親はいわゆる“昭和の父親”で、あまり子育てに関わっていなかった記憶があります。今回改めて未就学児の父親たちに話を聞きましたが、正直「あまり変わっていない」と言う印象を受けました。
乳幼児期はどうしても母親の方が子どもと接する時間が長くなるので、父親は「子どものことを知らない」「仲よくなれていない」と悩む声も多かったです。
これは現代においても解決されていない問題なのだと感じるとともに、どうすればこの状況が変わるのかを考えて漫画にしたいと思いました。
西村さん:社内に「サラリーマン家庭だと子どもに多額の遺産は遺せない。でも学歴なら遺してあげられると思ったから小学校受験をさせた」という人がいたんです。この考えは私の中でも衝撃的でしたね。そこから「子どもに何が遺せるか」を考えはじめ、勉強なら少しは面倒が見られるので、「私が育児参加をするならこれだろう!」と思ったんです。
私自身、自分なりに育児に参加しているつもりでしたが、おそらく妻とは温度差がすごくあって妻は「もっと参加してほしい」と思っていたかもしれません。小学校受験の対策をしていく中で以前よりも子どものことが分かるようになりました。そういった実体験に基づくエピソードも漫画の題材になっています。
・父親を受験に前向きにさせるには、こちらの動画をご覧ください。

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子どもの将来について父親目線で考えるコツ
__漫画の中で、父親に「小学校受験を自分事にさせる」描き方としてこだわった点があれば教えてください。
奥沢先生:主人公は、学歴は高くないが努力と根性で今の社会的地位を築いてきた人。でも幼児教室の先生と話す中で「わが子がそれを再現できるか」「学歴があればどんな場面でもある程度役に立つ」という学歴の有用さを実感し、子どもの将来を真剣に考えるスタンスになりました。
加えて、父親には、わが子の将来を深く考えるきっかけが必要なのではと考えて、漫画の中では「命の危機」という切迫した事情でわが子の教育や将来に目を向けるきっかけを作りました。
西村さん:多くの父親に刺さればと「打席(受験)に立つ回数を増やすことでヒットやホームラン(合格)が生まれる」みたいに野球にたとえて説明するようにもしました。世の父親たちにも親しみやすく、一緒に物語に参加していく気分を味わってもらえたらと思っています。
__西村さん自身が「小学校受験の決め手」になったことは何でしょう?
西村さん:最初は全然積極的ではなかったですし、すごく興味があったわけではありませんでした。でもわが子が嫌がっているわけでもないし、むしろやってみたいと思っているなら、「否定しなくてもいいのかな」と。
妻からも「パパが頑張ると合格の確率が上がるらしいよ」と、うまく乗せられましたが、実際に関わってみると、親子面接でも母親よりも先に話を聞かれることが多かったですし、他の方たちを見ても、父親が積極的に参加している方はご縁をいただいている印象がありました。
この漫画では、父親が主体的に関わって成長する姿が際立つよう、あえて“シングルファーザー”という設定にしていますが、「小学校受験では父親が活躍できる場が大いにある」ということをぜひ伝えたいですね。
・父親×受験の記事はこちらの記事をご覧ください。

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小学校受験で得られるものとは?
__実際に、小学校受験を知る前と後で意識に変化はありましたか?
奥沢先生:相当変わりました。それまでは正直、「子どもはのびのび遊ばせておけばいい」「小さいうちから机に向かうなんてかわいそう」「もし学歴が必要なら高校から頑張ればいいい」と思っていました。
ですが、小学校受験について知るうちに、早期教育は悪でもないし親のエゴだけではない。むしろ「子どもにとって成長の機会になる要素がたくさんある」と認めざるを得なくなりました。
さらに驚いたのが、プリントでたくさん勉強をするのではなくて「小学校受験は文字を読めない前提」だったことです。行動観察、運動、制作、いろいろな面から子どもの能力を確かめる試験をするので、その準備はこの先成長していくのに有用なことばかりだったんです。
僕が抱いていた“ガリ勉”とは実際は全然違っていましたし、内容が全く見えていなかったんだなと。今となっては「やったほうがいい!」とさえ思うようになりました(もちろん、お金はかかりますから、すべての家庭ができるわけではありませんが)。
西村さん:実際に2度経験してみて、小学校受験は受験勉強というより「育児の選択肢の一つ」と考えるようになりました。
子どもたちは受験だなんてわかっていませんでしたし、身の回りの日常生活のことや知識、巧緻性、運動などわが子の成長を実感できる機会がたくさんあります。それらを受験の延長だと思うと辛くなってしまうので、親は育児の一貫として楽しむよう意識しました。
幸い2人とも合格しましたが、どんな結果であっても得るものは多いので、やってよかったなと思っています。
・小学校受験における父親と子どもの関係に関しては、こちらの記事をご覧ください。

受験合格者がやっていた、パパと子どものベストな関係性とは?
__最後に、未就学児のお子さんがいらっしゃる親御さんに、メッセージをお願いします。
西村さん:いざ受験対策が始まると、「なんでうちの子は上手くできないんだ」など、他の子と比べて落ち込むことはありますし、面接では自分(親)も見られているため、つい熱が入ってしまうので、大変な面はあります。
ただ、子どもは小学校に入るとどんどん親離れが進んでいくので、幼児期は子どもと密に触れ合える最大のチャンスだったんだと今になって感じていて。そういう時期に子どもと一緒に頑張った経験は親として最高の思い出になります。
その一つとしてこの漫画を通して、お受験を選択するのもありだと思ってもらえたら嬉しいです。
・小学校受験の対策に関してはこちらの記事をご覧ください。

親が誤解しがちな小学校受験 │大原英子さん対談【第1回】
奥沢先生:わが子に「きちんとした教育をさせたい」と考えるのは素晴らしいことだし、よいお金の使い方だと思います。世の中の変化が激しい今、わが子に将来をどうしたいかを小さいうちから考えさせたり、頑張ることの大切さを教えるのはとても必要なこと。
人生を豊かにさせるために教育を早くからする“幼児教育”は、世間的にはまだ偏見があるかもしれませんが、早くから子どもの教育について考えることは、親自身の人生にも有益なはずです。『俺のお受験』では、今後主人公の父親がどう成長していくかを一緒に見守っていただけたら幸いです。子どもはもちろん、世の中のお父さんの子育ての“伸びしろ”は大きいはずです!
『俺のお受験』(講談社)第2巻が4/23より発売中! 第1話は試し読み可能です。詳しくはHPを。


子どもの教育のために夫婦で話し合っておくべき2つのこと
SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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