慶應義塾幼稚舎に受かるのはどんな子? どんな家庭? 伸芽会「慶應義塾幼稚舎ガイダンス講座」をレポート!

慶應義塾幼稚舎に受かるのはどんな子? どんな家庭? 伸芽会「慶應義塾幼稚舎ガイダンス講座」をレポート!

先日、伸芽会の自由が丘校で行われた「慶應義塾幼稚舎」を目指す保護者向けのガイダンス講座。その様子を詳しくレポートしたいと思います。幼稚舎ではどんな子が求められて、そのために家庭ではどんな準備が必要なのか、伸芽会の黒田先生のポイント解説ともにお伝えします。

身近な家族やお友達のために役立つ喜びを実感しよう!

はじめに、幼稚舎を目指す保護者向けガイダンスのポイントを伸芽会の黒田先生にお聞きしました。

__幼稚舎を目指すご家庭はどのような準備をしたらいいのでしょうか?

まず、学校側がどういう家庭やお子さんを求めているかを学校案内や入試問題からしっかりと知る必要があります。

さらに、その学校を受ける以上、学校についての歴史や教育に対する価値観も創始者が書いた書物などを通して理解しておく必要があります。

また、幼稚舎が求める遊びに長けた子に近づけるためには、「お子さんの興味関心によりそって楽しむこと」が何より大事です。

何かひとつでも好きなことを広めたり深めたりできると、つきつめたい欲求が更なる工夫や遊びにつながります。

あとは、「お家でのお手伝い」も欠かせません。将来自分の力を人のために使ったり、生かし合える子にするためには、身近な家族やお友達に感謝されて人の役に立つ喜びを感じることから始めてみましょう。

__普段の生活ではどのようなことに意識すればいいでしょうか?

一番よくないのは、周りの様子を見て、親御さんが否定ばかりをするような価値観を植えつけてしまうことです。

そうではなくて、よいところを見つけて話題にしましょう。たとえば「お店のディスプレイがステキなこと」、「バス停できちんと並ぶ小学生たちが立派なこと」などを話題にするいいですね。

また、お子さんは褒めれば褒めるほど伸びますし、表情も豊かになります。逆に褒められる機会が少ないと、ちゃんとできていてもどこか自信がなく表情がない子になってしまいます。失敗をしてもいいのです。

理想のだれかと比べずに数ヵ月前のわが子と比べてお子さんの成長を認めてあげてください。

試験中の部屋の移動も大事な合否のポイントに

保護者にはガイダンスを行う一方で、子どもたち向けに、慶應義塾幼稚舎の試験をイメージした絵画制作と行動観察の授業が行われました。

本番の試験と同じように、課題ごとに部屋がわかれており、子どもたちは先生の指示のもとその部屋を移動しながら授業を受けます。

「部屋の移動にも合否をわけるポイントがあります。それは、移動する際の約束(おしゃべりしない、走らない、受験票を落とさないなど)をきちんと守れるかどうかです。

幼稚舎の考査では移動の途中に鳥小屋の横やサイエンスミュージアムの前を通ったりすると、子どもたちは“にわとりだ!”などと騒ぎだしたり、1人が歩きながら壁をたたきはじめたりすると後の子が真似をすることもあります。

どういう状況でも事のよし悪しを周りに流されずに考えられることが大切です。なぜなら、入学後は1人ひとりが制服を身にまとい、校章に恥じない品位ある行いや連帯感が求められるからです」(伸芽会 黒田先生)

行動観察では視野の広さと人を思いやれる子が求められる

行動観察ルームでは、絵が描かれたカードを使ってグループ対抗の神経衰弱ゲームが行われていました。多くのカードをとったチームが勝ちです。

ここで注目されるポイントとしては

・ルールを理解して参加しているか
・お友達も楽しめるよう声をかけてあげられるか
・チームの勝利のためにお友達と協力しているか

などがあります。

「行動観察では“視野の広さ”がポイントになります。自分だけができればよいではなくて、チームやチームメイトのための行いに気づき、行うことです。

また、“このグループでは誰が頑張ったんですか?”の質問に “〇〇ちゃんがこうしてくれたからです”と友だちを認められるお子さんは素敵です。慶應の伝統である社中協力なども、このような出会いから始まるのです」(伸芽会 黒田先生)

絵画制作では、「自分にとっての1番」と向き合い、楽しめることが問われる

絵画制作ルームのこの日のテーマは「魔法のとびら」。画用紙で自分だけの素敵な扉を作って、その扉の先にはどのようなことをしている様子が見えるかを想像して絵を描きます。

先生は「元気な頃のおばあちゃんに会いにいこうかな。一緒にお餅を食べたりお手玉をしたから、そのときの絵を描こうかな」と例をあげていました。

・ギザギザした形の「ちょうの扉」をくぐって昆虫採集に行きたい!
・ドアノブをロケットの形にした扉を作って、宇宙を飛びながら星を集めたい!
・ロンドンとつながる扉を作って、その国の子とコマ回しをして遊びたい!
・雪の世界に行って、大きな雪だるまを作りたい!

など、子どもたちは自由な発想で制作していました。


「幼児期はこれまでの生活や遊びが基本となるので、そこからテーマにつなげる想像力を出せるか、さらに本人らしく楽しむ遊び心を見ています。なぜなら、これからの社会を生きる上で大切な問題解決能力や発想の豊かさにも関わるからです。

また、こうした創作課題では“自分にとっての1番”がよく問われます。1番楽しかったこと、1番好きなこと、1番の宝物など、今興味関心があることや憧れと向きあい、それをつきつめられるかで、課題に対する広がりの差がでてきます。

それは、創作途中に先生から聞かれる“どうしてそこに行きたいの?”“なぜそれをしたいのかな?”といった質問の受け答えにもたくさん表れます」(伸芽会 黒田先生)

運動課題では、自分で考えて行動し一生懸命頑張れる子を見ている

運動ルームでは、複数の課題を組み合わせたサーキットが行われていました。ゼッケン番号を呼ばれたら返事をして印のところに長座をし、合図とともにスタートする競争が行われます。
注目されるポイントとしては

・指示通りに行っているか
・力いっぱい果敢に行っているか

などがあります。

「この課題はあくまで競走なので、人より先のゴールを目指します。ですから、次にすることを隣の子に頼らずに自分で考えて動けるかがポイントになります。

幼いお子さんは位置についた段階で「え?何するの?」とキョロキョロして隣の子の真似をして遅れがちになります。

競走である以上勝ちたいところですが、勝敗にはよくも悪くも原因があります。

何人もの先生たちで評価や採点をしているのは、順位の結果だけではなくプロセスも含め個性としてのものを公平に見ようとしているのです。どの先生にもその子ならではのひたむきさが伝わることが大切です」(伸芽会 黒田先生)

【まとめ】

「慶應が目指すのは“自分の人生を自らの才能で謳歌できる人材”を育成することです。

そのためには、人としての始まりとなる幼児期にたくさん遊んで、内面をしっかりと耕すことが重要です。

そうした遊びや生活の体験が、子どもの才能を引き出します。幼稚舎が遊びを中心にした入試を行う理由はそこにあります。

教えられたことしかできない子では、これからの時代のさまざまな課題に太刀打ちできません。

たとえ石ころ1つでも新聞紙1枚でもあれば遊びが考えられる子、その場にいる子たちを巻き込んで一緒に楽しめる子、互いを生かし合える子が、幼稚舎が求める子ども像だと考えています」(伸芽会 黒田先生)

著者プロフィール

SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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