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慶應義塾横浜初等部に合格する子どもの特徴と試験内容|伸芽会「慶應義塾横浜初等部ガイダンス」をレポート! 

慶應義塾横浜初等部に合格する子どもの特徴と試験内容|伸芽会「慶應義塾横浜初等部ガイダンス」をレポート! 

小学校受験最難関校の一つと言われる慶應義塾横浜初等部は、慶應義塾幼稚舎と並び、慶應義塾大学の基本理念に基づいた小中高大一貫教育の小学校です。慶應義塾幼稚舎との違いや試験内容、求める子ども像、家庭学習のコツなど、気になる慶應義塾横浜初等部について、慶應義塾幼稚舎・横浜初等部クラスをご担当されている伸芽会教育研究所の入試指導室室長の黒田善輝先生と大橋徹也先生にお話を伺いました。

慶應義塾横浜初等部とは?

2013年に開校した慶應義塾横浜初等部は、慶應義塾幼稚舎とともに、「独立自尊」の精神を体現できる社会の先導者としての礎作りを目的とした小学校です。

子どもたちが将来社会で活躍する時代を見据え、教育の理念として「体験教育」「自己挑戦教育」「言葉の力の教育」の3つを掲げています。

__「独立自尊」について詳しく教えてください。
黒田先生:慶應義塾の基本理念「独立自尊」とは、他人に頼ったり組織にぶら下がったりして生きるのではなく、自らの個性と力で人生を切り開いていく生き方を指します。

とはいえ傲慢にならずに他者、他国との共存・共栄につながるお互いを活かし支え合うことも大切です。小学生に分かりやすく伝えるなら、日々の生活が周りに対して律儀・正直・親切であったかを自らに問うことです。

同様の教えとして、幼稚舎では以下の4つの約束もよく目にします。

1.自分のことは自分でする
2.嘘をつかない
3.お父様やお母様、先生の言うことをよく聞く
4.友達と仲良くする

慶應義塾横浜初等部に合格するには?

__慶應義塾横浜初等部が求める子ども像について教えてください。
黒田先生:子どもは家庭で育まれるものですから、“子ども像”というより、家庭の在り方が求められていると言えるでしょう。ご家庭で意識していただきたいことは、例えば以下の通りです。

・出来るだけ多くの体験と人との出会いを楽しむ
・ポジティブな声掛けでチャレンジ意欲を促す
・褒めたり認めたりしながら自己肯定感を上げ、好き(得意なこと)をつくる
・語彙を耕す声掛けで感性や伝える力を育む

また、これらを行う中で、手順を考えさせながら自立への導きを促したり、周囲の人ととのつながりを意識した行い(お手伝いなど)も行えるといいでしょう。失敗体験を成長の好機とつなげられるかもポイントになってきます。

福澤諭吉の教育を知るうえで課題図書にもなっている『福翁百話』にも、家庭や父母の在り方がたくさん書かれていますので、それらをお読みになり、慶應義塾の教育への理解を深めるとともに、ご家庭の在り方を考えるきっかけにされるといいでしょう。

同じ精神・理念の慶應義塾幼稚舎と試験内容には違いがあるの?

__試験内容で慶應義塾幼稚舎との違いがあれば教えてください。
大橋先生:大きな試験内容の違いとして、慶應義塾横浜初等部には一次試験にペーパー試験があるということです。また、コロナ禍ではさまざまな制約で試験内容に修正が加わりましたが、従来は、創造表現力テストにおいて、慶應義塾幼稚舎は絵画が中心の出題に対し、慶應義塾横浜初等部は、作品を使って遊びにまで発展する制作の課題が中心であると言えるでしょう。

__慶應義塾横浜初等部の入試の特徴とは?
大橋先生:まず、入試概要については、横浜初等部の試験は一次試験(11月中旬)、二次試験(11月後半)で行われ、募集人数は男女合計108名、出願倍率は男子12.2倍、女子14.8倍となっています(2024年度のHPより)。

また、一次試験は女子、男子の誕生日順で20人1グループにわけ、40分ほどでペーパーテストが行われます。例年、一次試験通過は4割弱、合格発表の1週間後に二次試験となります。

試験内容については以下の通りです。

(©伸芽会入試対策説明会 慶應義塾横浜初等部より)

__どのような対策をすればいいでしょうか?
大橋先生:これはどの学校でも共通することですが、ペーパー対策では学習の基本となる「見る力」と「話をよく聞く力」を身につけることが大事です。

(一次試験問題の一例)
・観察力(同図形発見、数量、点図形、模写)
主に「見る力」に関わる内容で、差異に気づく直感力や諦めずに取り組む忍耐力なども問われます。

・常識、話の記憶
主に「聞く力」に関わる内容です。慶應義塾横浜初等部が掲げる3つの教育の柱のうちのひとつに「体験教育」があります。社会や自然との向き合い方や家事の手伝いなどの体験をベースに、どのような意識と行動を身につけてきたのかが表れる課題です。

・推理思考(四方図、絵の順番)
さまざまな問題を解決するにあたり、見聞きした情報を「原因」と「結果」や「始まり」と「終わり」など、論理的に整理して「考える力」が求められます。
それを問うために、四方図や絵の順番などが頻出の課題となっています。

遊びが課題となる二次試験に向けては、コミュニケーション能力のほか、表現力や行動力が必須です。そのために、自信や特性になる個性を育み、遊びの達人になりましょう。
制作課題では手先の巧緻性、柔軟な発想や対応力も大事です。そのとき感じたことを素直に表現する力を養うためにも、日頃から認めてもらう機会を多く持つことも大切です。

伸芽会では、慶應義塾幼稚舎、横浜初等部の本番の試験を意識したシミュレーションテストを行っていますが、そこでは、問題への理解だけではなく、

・正しい姿勢やペンの持ち方
・話を最後まで聞けるか
・真剣に取り組めているか
・音声機器への対応

なども見ています。また、試験後にはテスト解説でご家庭に向けたアドバイスも行っています。
https://www.shingakai.co.jp/lecture/

願書や面接での対策

__慶應義塾横浜初等部を受験するにあたって、願書や面接対策はどのように行えばいいでしょうか?
大橋先生:慶應義塾幼稚舎同様、横浜初等部でも例年、願書に創設者である福澤諭吉に関連する書籍を読んで所感を書く欄があります。

課題図書は『福翁自伝』『伝記 小泉信三』『福翁百話』と変化してきていますが、いずれも志願者との関わり方や親としての在り方について問われることが軸となっています。
感想文に終わらないよう、福澤諭吉の教育に添って、ご家庭の教育を考え伝えることが大切です。

慶應義塾横浜初等部に合格する子の特徴(合格体験記)

ここでは、「伸芽会 慶應合格指南講座」より、慶應義塾横浜初等部に合格された方の声をご紹介します。

__受験準備としてどのような対策をしていましたか?
基本的には伸芽会の授業の復習や過去問を行い、幼稚園に通う電車を待つ時間に片足バランスや飛行機バランスを繰り返すなど、日々の生活の中で行っていました。絵画や工作は、本人が飽きないように材料などを工夫して楽しみながらやっていました。

__表現力の課題はどのように対策していましたか?
絵画や工作の技術は人並みでしたが、体を動かすことが好きだったので、休みの日などに山登りやキャンプなどのアウトドア体験をすることで、試験で反応できる引き出しが増やせたかなと思います。また、伸芽会の野外スクールや合宿も大好きでしたので、終わる度に「次はいつ?」と聞かれるほど楽しんで参加していました。

__親子の関わりで自立に向けて大事にしたことはありますか?
「自分でできることは自分で」を基本にしていましたが、まだまだ甘えたい局面もあったので、そんなときは「家ではいいけれど、外ではしないからね」とメリハリを意識して関わっていましいた。

例えば、疲れたから荷物を持ちたくないときも、外では話を聞いて共感した上で、疲れが取れるまで待つ(手伝わないようにする)、など自立に向けた声掛けや向き合い方を試行錯誤しながら見つけていきました。

__受験をする中で特に大切にしていたことは何ですか?
わが家の考え方として、型にはめた優等生に育てるのは避けたかったので、求められることを練習しながらも、子どもらしく遊び、伸び伸びと行動することを意識していました。

また、息子は親と一緒に何かをしたり、褒められることに喜びを持つことが理解できたので、「やりなさい」ではなくて「一緒に楽しんでやること」も大切にしていました。

何より、幼稚園受験からお世話になっていた伸芽会の先生方に、よく見て褒めてもらったので、自己肯定感や精神的にも安定した子に育ったと感じています。

__これから受験をする方に向けてメッセージをお願いします
小学校受験は親としていろんなことに一喜一憂してしまうし、子どもも誘惑や遊びを我慢しながら向き合うことになります。まずは、教室に通うだけでも褒めてあげてほしいです。

その上で、お子さんの本来の良さを生かせるよう、得意なことを伸ばすのが親の役目と考えて日々対策されるといいかと思います。

また、幼児のモチベーションを最後まで保つのは難しいので、どう声掛けをすると前を向けるかの引き出しをたくさん用意しておくのがおすすめです。

著者プロフィール

SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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