プロ直伝!いまどきの小学1年生の親が入学までに知っておきたいこと「21世紀型の学力を育てる“KKKH方式”とは?」
人工知能、仕事の無人化……変化の激しい今の時代に育つ子どもたちにはどんな力が必要なのでしょうか?
先日開催された伸芽会の「いまどきの小学1年生とは?小学校入学準備セミナー」。東京大学名誉教授の汐見稔幸先生による特別講演から、気になる小学1年生の課題と親のかかわり方についてお話をお聞きしました。
今春小学生になるお子さんのお母様・お父様必見です!
専門は教育学、教育人間学、育児学。育児学や保育学を総合的な人間学と考え、ここに少しでも学問の光を注ぎたいと願っている。三人の子どもの育児にかかわってきた体験から、父親の育児参加を呼びかけている。
日本教育学会会長、社会福祉審議会児童部会保育専門委員会委員長、臨床育児・保育研究会主宰など様々な団体でも活躍。著書多数。
目次
平成31年ごろに改定される新学習指導要領とは?
コンピューターが進化して、人と人の関わりが希薄になる時代だからこそ、真のコミュニケーション力が問われるときだと私は思います。
数年後には小学校の学習指導要領も大きく改定される予定です。新しい学力には3つの柱があり、それぞれ
①生きて働く「知識・技能」の習得
②未知の状況にも対応できる「思考力・ 判断力・表現力等」
③学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等」
といわれます。
情報が氾濫するネット社会で生きるこれからの子どもたちが、「本当にそうなんだろうか?」と知識を疑い、自分で考えようとする力、調べたことを上手に表現する力や議論する力、生き方や価値観の形成につながるような生きた学びなどが必要になります。
そういった力がこれからの世代の子どもたちには不可欠となるのです。
先生=教える人、生徒=学ぶ人という時代はもう古い
ヨーロッパでは、「これからは国民すべてがアイデアを提案できるように」という考えのもと、基礎学力に加え、柔軟な発想を育てる実践的な教育がすでに始まっています。
小さい頃からディスカッションを取り入れたり、調べたいことのアイデアを出して自分たちで答えを見つけていく。社会に出てからも大事な力ですよね。
先生=教える人、生徒=学ぶ人という時代はもう古いんです。日本でも、子どもたちが自ら学ぶ姿勢を育てるような教育を、幼児のうちから取り入れていく必要があると思います。もちろん、そのためには指導者も大きく変わっていかないといけません。
アメリカのある研究によると、学校の成績やIQが高い子よりも、セルフコントロール力が高かったり何かを学び取る力が強い人、失敗を失敗と思わないたくましさ、夢を描ける力、人が落ち込んでいるときに上手に励ましてあげられる人……
こういう「非認知的スキル」に長けた人が社会的に成功していると言われています。
幼児期に親がしてあげるべきこととは?
では親は、幼児期に何をしてあげるべきか。ポイントはその子の「売り」をどう引き出してあげられるかです。
「〇〇ができる、できない」ではなくて、「何に没頭できるか、面白いと思えるか」を育てることが将来に生きてきます。
親は、小さいうちから自然や多様な文化に触れて好奇心を育て、自分が取り組んでみたいと思えることや課題を見つけられる子になれるような手助けをしてあげてください。
それにはまず、赤ちゃんのときからていねいに言葉で話しかけてあげること。そして語彙や的確な言い方を遊びや生活の中で丹念に伝えてあげてください。
幼い時に本を読み聞かせてもらって空想することが大好きになった子の方が、3歳でいち早く読み書きができたけれど読み語りには余り興味がない子よりも、後の国語力は高くなったという例も多々あります。
普段の生活の中から、「自分のことは自分で決めてごらん。どうしてそう思うの? すごいわね!」などと上手に認めながら、会話のていねいさを大事にしてください。
「KKKH方式」の対話を実践しよう!
家の中でも家族でぜひ討論や議論を楽しんでください。私が掲げる理想の対話方式をご紹介しましょう。
まず一番大事なことは、子どもの言うことをどれだけ「聞いて」あげられるか。そのあとで、なるほどねと一回「共感する」ことで子どもとの関係が大きく変わってきます。
さらに、どうしたらいいと思う?と「考えさせる」、そして最後は頑張ったねと「励ます」。この頭文字をとった名付けて「KKKH方式」の対話を実践してみてください。
私は子どもの一番の仕事は遊びだと思っています。遊びにどれだけ没頭させてあげるか。受験や習い事で忙しいかもしれませんが、ぜひ自由に遊ばせることを重視してあげてください。
遊びはやるべきことを工夫できる訓練の場でもあるのです。社会に出てやるべき仕事や課題をいかに面白がれるかはとても大事な力です。
最後に、汐見先生から共働きのママへ向けたメッセージがとても印象的でした。
「働くお母さん、働いていることを後ろめたいなどと絶対に思わないで。子どもに“ごめんね”を言うと、子ども自身が「ぼくは(わたしは)が何か悪いことをされたかな」と思ってしまいます。
特に子どもにとって身近なお母さんが、明るく元気に働いている姿は、子どもが将来社会に出て生きていく上で何よりも大事な見本になるのですから」。
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SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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