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小学校受験合格のカギは非認知能力にあり!伸芽会式 非認知能力とは?

小学校受験合格のカギは非認知能力にあり!伸芽会式 非認知能力とは?

SHINGA FARMでもたびたび取り上げてきた非認知能力。伸芽会が大事にしてきた“教えない教育”はまさに非認知能力そのものであり、昨今の小学校受験においても非認知能力は合格を握る大きなカギとなっています。

そこで、新刊『伸芽会式 非認知能力の育て方』(講談社)の著者であり伸芽会教育研究所の佐藤眞理先生に、非認知能力×小学校受験というテーマで、詳しくお話を伺ってきました。

伸芽会式の非認知能力とはどんな力ですか?

非認知能力とは、伸芽会が設立当初から掲げてきた“教えない教育”そのものなんです。

教えない教育とは考えるきかっけを与えるものであり、発達段階に即したアプローチがとても重要になってきます。その結果として、小学校受験に即した力も身につき、今の幼児教室に発展してきたという歴史があるのです。

非認知能力にはさまざまな能力が含まれますが、幼児教育において伸芽会ならではのポイントを絞ると、私は3つあると思っています。

ポイント1:自分で気づく力(誰かに言われなくても気がついたり、自分で面白がれる力)
ポイント2:粘り強く取り組む力(焦らず、あきらめずに取り組める力)
ポイント3:家族以外の人とつながる力(自分の言葉で伝え、行動できる力)

最近の子どもたちに非認知能力が欠如している理由とは?

私が長年幼児教育に携わってきて感じるのが、10年前は5歳でできたことが今は2歳プラス、つまり7歳にならないとできなくなっていること。全体で見ると少し幼く感じることが多いですね。たとえば、

・我慢ができず、すぐに泣く(わがまま)
・言われないと動けない(自信がない)
・すぐに分からないと言う(考えようとしない)
 など。

これらは、大人が先回りして手を貸しすぎたり、世の中が便利になりすぎた半面、言語的な力がなくても生活が成り立つようになってしまったことが理由としてあげられると思います。

とはいえ、しっかりと非認知能力が身についているお子さんもいます。その違いは、ズバリ、3歳までのお子さんと親御さんの接し方の違いです。非認知能力は親の心の持ちようであり、どう子どもと関わるかによってぐんぐん伸ばせる力だからです。

小学校受験の合格者は非認知能力が光る子が多い!

小学校受験に合格された多くのお子さんたちを見ていますと、やはり非認知能力が光るお子さんが多いと言えます。彼らに共通しているのが、「自分の言葉で相手に説明できること」。誰かの真似ではなく考えを相手に伝えられる子が私学では求められるからです。

また、「お友達の行動や発言を見て褒められる子」も目に止まります。どうしても自己中心的な幼児期に、違いを認め褒められる子はとても少ないからです。

きっとご家庭でも相手のいい所を見つけて褒める教育がされているんだろうなと感じますし、多くの私学が目指すグローバル教育にも通じるものとなります。

また、お教室での課題をする際に、「これはお手本です」「ここが大事」などと言わなくても集中して聞けている子。たとえば、画用紙で帽子を作るという工作の課題で「やっているうちに、帽子じゃなくてカバみたいになっちゃったから、カバの帽子にしよう!」という子がいましたが、こうした発想力やあきらめない気持ちは試験でもとても評価されるポイントです。

小学校受験でも非認知能力を問う問題が増えている!

行動観察の試験においては、多くの学校が非認知能力を問う問題を取り入れています。たとえば、国立附属小で出題される話の記憶や常識では、「このあとどうなると思いますか」や「あなたならどうしますか」など、正解がない問いを投げかけます。

暁星小学校では「ここにあるスーパーボールをグループのみんなで分けましょう」という課題が与えられ、人の意見を聞いていい方法を考えられるかを見ました。学習院初等科では、「目の前の虫かご(空っぽ)には何が入っているか(想像して)お父さんお母さんに携帯電話で伝えましょう」という想像力や表現力、語彙力を総合的に見る問題が出題されました。

幼児教室では非認知能力をどのように身につけさせているのか

伸芽会の教室では、0~1歳は「見る力」、2歳は「聞く力」、3歳は「話す力」、4歳は「考える力」、5歳は「行う力」と子どもの発達段階に応じて欠かせない5つの認知能力を育んでいきますが、そこでもただ見せるのではなく「ここを良く見てね」と集中力を促したり、興味関心を持たせながら自分の言葉で相手に伝えるといった非認知能力を大事にしています。

もちろん、5つの力すべてが完璧にできることを求めるのではありません。たとえ凸凹であっても、足りない箇所は親がどううまく関わるかでその子の個性ともなり得るのです。

また、教室では同年代の子たちと学ぶ中で、先生たちは、より多くのことが発見できるようなサポートをしていきます。子どもたちは、知識を教えられるのではなく、自分で発見することで、強く印象に残り、密度の濃い学びとなるからです。また、皆の前で発表する場を設け、自信と達成感を養っていきます。

最後に、本番の試験へ向かう子どもたちに、私たちは「失敗しないようにね」ではなく、「どんないい子がいるか見ていらっしゃい」と送り出すようにしています。落ち着いて周りをよく見て状況判断することで、これまで身につけた非認知能力が発揮されるからです。

失敗、自然遊び、友達との関わり…。非認知能力を伸ばす上で欠かせない「体験力」

非認知能力を伸ばす上で欠かせないのが体験力です。いくつかありますが、中でも私がおすすめしたい体験力は2つ。

「失敗する経験」

今の子は親が何事も先回りしてしまうため失敗する経験が少ないと思います。また、一人っ子などは誰かに負ける経験が少なく、完璧主義の女の子などは折り紙などの失敗を隠したがる子もいます。子どもは失敗から学習していきます。幼児期にたくさん失敗したり、負けて悔しい思いをする体験はとても重要なのです。

「自然体験」

イメージすること=考えることの基であり原型です。たとえば、TVや絵本で見る海と実際の海は違いますよね。実際にいろんなものを見て触って、感じる自然体験が多い子はイメージする創造力が豊富になるので、頭の中で考えられる子になるのです。そうした自然体験で得た発見や驚きは、知識の記憶を定着させる大きな原動力になります。

子どもの非認知能力を伸ばすために親が心がけるポイントは?

子どもは自己中心的で当たり前です。2歳まではわがままを受け止めて、信頼関係を築いていきましょう。3歳以降は、子どもに共感しながら遊びを発展させてください。

その際大事なのは声がけのポイントです。「よくできたね」ではなく、「よく頑張ったね」と具体的に褒めること。褒めすぎは褒められるためにするようになってしまうので要注意です。

さらに一番大事なことは、「子どもにとって身近なお手本は大人」だということ。発言、行動、所作……子どもはすべて親の真似をします。日々大人は子どもに恥じない行動をとりましょう。

名門私立小学校や国立小学校で実践される、非認知能力を伸ばす取り組みとは?

私学や国立小学校では、

・意欲的に学ぶ姿勢から教えている
・楽しみながらコミュニケーションに生かす英語を学ぶ
・さまざまな異文化に触れる機会を作る
・課外活動が豊富である
・みんなで何かを成し遂げる体験を重視している
・対話形式のアクティブラーニング型授業で主体性を養う

といった、特色ある取り組みが各校で設立当初から意識的に行われていますが、それらは非認知能力に通ずる学びの実践だと考えられます。

SHINGA FARM読者の親御さんにメッセージ

幼児期は、多くの変化があり成長をするとき。さらに、個性がたくさん埋まっている時期でもあります。親御さんは、それを掘り起こして引き出す工夫をしてあげましょう。

まずは、お子さんが何に興味を持っているのか、よく見てあげてください。わが子を楽しんで見守ってあげることで、この先の成長の広がり方がきっと違ってくるはずです。小学校受験はその一つの選択肢と考えるのであれば、お子さんと向き合う最適な時期でもあります。

とはいえ、今の子は、やらなければいけないことがたくさんあってストレスも多いのは事実。ですから、家の中や家族が、心の豊かさにつながる充電の場になるようにしてあげてください。

『伸芽会式 非認知能力の育て方』(講談社)

著者プロフィール

ライター・エディター。出版社にて女性誌の編集を経て、現在はフリーランスで女性誌やライフスタイル誌、ママ向けのweb媒体などで執筆やディレクションを手がけている。1児の母。2015年に保育士資格取得。

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