名門私立小学校最新入試分析報告会2017~前編~「2017年の試験の傾向をプロが解説!」
先日、11月26日にハイアットリージェンシー東京で行われた伸芽会のセミナー「名門私立小学校最新入試分析報告会」の模様をお伝えします。
まずは、伸芽会教育研究所から3名の先生による2017年度入試の内容をお届けします。来年度受験をする親御さん必見です!
1960年福井県生まれ。早稲田大学政治経済学部在学中に伸芽会の創立者・大堀秀夫と出会い、入社。子どもの目線に寄り添い子どものやる気を引き出す人気教師として男の子の指導に定評があり、これまで3,000人以上の教え子を難関校へと導く。著書に『9歳までの男の子の育て方』(世界文化社)。本サイトのYoutubeチャンネルであるSHINGA FARMちゃんねるへレギュラー出演中の他、AERA with Kisds+、朝日新聞 DIGITALなど多くのメディアにも取り上げられるなど、幼児教育業界の第一人者として活躍中。
伸芽会教育研究所 主席研究員 佐藤眞理先生
幼児教育指導歴40年。子どもの潜在的な力を引き出す指導と的確なアドバイスで、有名小学校や幼稚園に多数の合格者を送り出している。著書に『伸芽会式 子どもを伸ばす家庭教育「5つの力」』(講談社)。
目次
どんな子が合格しているの?
まずは、佐藤先生から、合格している子の特徴についてお聞きしました。
「親子でやるべきことをしっかりやってきた子は結果を出している」と言えるでしょう。生活習慣や体験を問わず、自分の判断で自発的に動けて表現できる子は強いですね。(逆に言われたことしかできないのは×です)」。
ペーパーテストと個別試験については、社会性、創造性、協調性、自主性、コミュニケーション力……どこに重点を置いているかは学校によってさまざま。同じ行動観察の試験でも見ているポイントも違います。そこを踏まえて、お子さんの性格と照らし合わせて志望校を決めてください。
試験にはどんな問題が出るの?
幼児の試験は問題を耳で聞くので、聞きながら正しく想像できる力が問われます。ほとんどの学校で出題されるのが「お話の記憶、理解」。続いて多い「数量」の問題では、1~20くらいまでの数が出ることも。
たとえば、場面の絵を見せて「鳥が2羽いて3羽飛んできた。全部で何羽?」など簡単な足し算を問うものから、「12個のアメをお兄ちゃんと2個多くなるように分けるには」といった高度なものまで。あとはサイコロや回転を使った複合的な問題も見られました。
一般的に、男子は聞き取り、女子は図形が苦手とされるので、あえて出題する学校もあります。しっかりとした対策をしておきましょう。
「常識」の問題では、体験によるものが印象的でした。たとえばで「先生がぞうさんの鼻歌を歌い、このお歌と仲良しの動物はどれ?」や「お正月の歌を途中まで歌い、この続きに出てくるものは?(暁星小学校)」といったものなど。
小さい子どもに受験なんて可哀想と思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも、試験までの1年間で、子どもは驚くほど目覚ましく成長します。一生懸命取り組んでこそ、それが実感できるはず。この頑張りは一生の宝。決して無駄ではないはずです!
「行動観察」や「制作」では、どんなことを見ているの?
続いては、行動観察と表現力について黒田先生よりお話がありました。
「集団テスト(行動観察)はどの学校でも行われます。それは、小学校の集団生活の中での自立を目指す子どもたちが、今の段階でそのスタートが切れているかを見たいからです。
幼児は、たとえば好きな食べ物を聞いて一人が「りんご」と答えると、2人目以降「バナナ」「ぶどう」……と果物つながりになる園児がとても多い。それは、周りがこうするからこう、と流されて真似をして動くためで、自分で考える習慣がしっかりと身についていない証拠なんです。
さらに、自由遊び、課題遊び(お祭りごっこ、買い物ごっこ)といった共同制作の課題では、「お互いを生かしあう想いが育っているか」を見る機会となります。
絵画制作では、女の子はピンクのうさぎを描く子が多いですが、それでは合格しないからと、「あなたはオラウータンを描きましょうね」と決められた塾もあったそうです。それでは個性を発揮しづらいですよね。
ある生徒さんで、お兄ちゃんが持っていたヤマメの写真集からムササビ、モモンガに興味が出てきて、わざわざ家族で見に出かけた子がいました。そういう体験をしている人は「色画用紙を使ってカバンを作り、その中に入れていきたいものを絵に描きましょう(慶應幼稚舎)」という課題でも、懐中電灯を描き、ムササビを見に行ったエピソードが話せます。
つまり、子どもの興味に寄り添って気持ちが満たされた体験ができた子はどんな課題が出ても一番好きなことがきちんと出て、表現できるんです。子どもが何に興味があるかに寄り添って、一緒に楽しむこと。絵がうまい、制作が上手はその次でいいと思ってください。
「運動」や「面接」のために準備すべきことは?
最後に、飯田先生から「運動」、「面接」に関する分析を伺いました。
今年の試験の中では、暁星小学校の「運動」の試験が一次考査に入っていたのが大きな変化でしたね。たとえば、運動の課題では男の子は力任せに行いがちですが、ジグザグドリブルといったコントロールを意識しないとできない問題も見られます。
そんなとき、途中で疲れてしまったり、どこかに転がってしまってぼーっとしているようでは合格はできませんから、基礎体力は必要不可欠です。これは女の子でも同様。女子校でも「鉄棒のぶらさがり」が試験に出たりします。
普段から重いものを持ったり、ボールを使うテストも多いので普段から親子で一緒にボールで遊ぶことも大事です。
また、サーキットなどの連続運動は何かひとつできない種目があると止まってしまうので、一通りできるようにしておきましょう。また、前の子が間違えたときに自分がつられないことはとても大事。指示を聞いたりお手本を見て自分で判断できる子になれるといいですね。
「面接」で印象だったのが暁星小学校では、親ではなく子どもに志望理由を聞いたこと。試験では、親だけではなく子ども自身のモチベーションも見られるんです。
面接で大事なことは、過去(今の時点の教育方針)、現在(面接でどう育ったかをアピール)、未来(将来に向けて子どもにかける夢・期待・人間力)の3つ。1年後の本番の面接でこれがイメージ通りに話せるように今から努力していきましょう。
また、学童を併設するなどワーキングマザーを支援する学校も増えてきました。学校の理解を深め、憧れだけではなく最新の情報をきちんと入手することは何より大事な事です。
子どもは達成感を味わいながら適度な負荷を掛けていくとそれに答えてくれるもの。五感を使って行動し、詰め込み式ではない正しい幼児教育を心がけて下さい。1年間の計画をしっかりと立てて、合格を目指しましょう。
いかがでしたか。以上、伸芽会の3人の先生たちによる2017年度の入試分析結果でした。
後編では田園調布雙葉学園小学校、聖心女子学院初等科、早稲田実業学校初等部の先生によるお話をお伝えします!
▼後編はコチラ
「田園調布雙葉小学校、聖心女子学院初等科、早稲田実業学校初等部の現役校長・教頭先生が語る学校の魅力とは」
SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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