2019年度 名門私立小学校最新入試分析報告会 〜最新速報!今年の小学校入試はこう行われた!〜【前編】
9月に始まった入試も結果がほぼ出揃った11月下旬、ハイアットリージェンシー東京にて伸芽会「名門私立小学校最新入試分析報告会」が行われました。速報をまじえ、今年の小学校入試についていち早く知る機会となりました。2020年度以降に受験を控えた保護者のみなさんで800以上設けた席は満席。以下、その内容を少しご紹介します。
1960年福井県生まれ。早稲田大学政治経済学部在学中に伸芽会の創立者・大堀秀夫と出会い、入社。子どもの目線に寄り添い子どものやる気を引き出す人気教師として男の子の指導に定評があり、これまで3,000人以上の教え子を難関校へと導く。著書に『9歳までの男の子の育て方』(世界文化社)。本サイトのYoutubeチャンネルであるSHINGA FARMちゃんねるへレギュラー出演中の他、AERA with Kisds+、朝日新聞 DIGITALなど多くのメディアにも取り上げられるなど、幼児教育業界の第一人者として活躍中。
伸芽会教育研究所 主席研究員 佐藤眞理先生
幼児教育指導歴40年。子どもの潜在的な力を引き出す指導と的確なアドバイスで、有名小学校や幼稚園に多数の合格者を送り出している。著書に『伸芽会式 子どもを伸ばす家庭教育「5つの力」』(講談社)。
目次
どんな子が合格したのか?
まず気になる倍率は、女子の人気校では5〜8倍、早稲田実業初等部や慶應初等部は10倍を越す状況。2020年度も同様の高倍率が見込まれ、しっかりした計画が必要になりそうです。
「準備を重ねてきている方、親子でやるべきことをしっかりやってきた方が合格します。ですから単純に倍率だけでは見ることができません。
生活習慣では、身の回りのことをきちんとするだけではなく、物事に取り組む姿勢が見られます。準備や後始末など、自分のことを自分でできるかが大事です。
また課題の出来だけではなく、ほかのお友達と上手に関われるかどうかも重要です。言われたことしかできないと、まだ物足りないというご判断をいただくことがあるでしょう。
そして言語力が身についているか。感じたこと、考えたことを言葉として表現でき、大人と対等に話せることも必要です(佐藤先生)」
「試験の傾向を見ていると、集団をひとつにまとめる働きかけができるお子さん、それに積極的に関わって協力するお子さんが求められているな、と思います(黒田先生)」
どんな試験が行われたの?
それぞれの学校ごとに具体的な出題例がたくさん紹介されました。また試験を見て、一体どんな力を見ようとしているのかについてベテランの先生方の解説があり、みなさん熱心にメモを取られていました。一例をご紹介します。
「全体の傾向としては、ペーパーテスト以外の比重が上がっているように思います。集団テストを取り入れていなかった学校も今年はみんなでひとつのものを作っているところがあります。試験内容には、学校がどんなことができると望ましいと思っているのかが現れます。
ペーパーテストに関しては、難易度が上がっているわけではありません。しっかり見る、聞くことをベースに、やったことのない問題に対応していきます。慌ててしまうお子さんもいて、対応力が試されます(佐藤先生)」
またよく出題される話の記憶の問題は、記憶することよりも理解できているかがポイント。イメージを作り考えながら聞くことが必要なのだそう。
「常識問題も増えています。季節、生き物、植物、昔話。知識よりも、実際に日常からどんなことを身につけているかが見られます。今は映像で情報を受け取ることも多いですが、音を聞いて答える問題では、注意力や観察力も試されます(佐藤先生)」
早稲田実業学校初等部や慶應義塾幼稚舎や横浜初等部、雙葉小学校など名門校で実際に出題された内容も紹介されました。
「ペーパーではやさしいものは確実に回答できることが望まれます。個別テストでは、正解のあるもの・ないものがあります。諦めずに考えられるか、思ったことを表現できるかなどどう取り組めるかで、アピールできるものが変わります。『あなただったらどの動物になりたいですか?』など、大人相手に答えることになります(佐藤先生)」
「男子校や共学校では、スピードの速い展開の競争ゲームがたくさん出てきます。代表的なのが慶應幼稚舎や学習院です。線から出てはいけない、球は二つまでなどルールがあり、お友達を視野に入れながら取り組めるかが見られているでしょう。バランスが取れた子どもであることが望ましいというメッセージが、行動観察に現れていると思います。
ただ女子だと、協調性が高いので仲良く過ごしているように見えて、自分の主張をしなかったり持っていない子もいます。男子は反対に主張ができても協調ができないことも多い。今年の慶應義塾横浜初等部では象徴的に、女子では主張や提案ができるか、男子では協調できるかを見ているような試験内容と感じました(黒田先生)」
また絵画の課題の傾向も教えていただきました。
「絵画を出題する主な学校は慶應幼稚舎、早稲田実業小学校、東京女学館ですが、課題を見ると自分の一番が問われています。一番の宝物、一番嬉しかったこと、困ったことなどです。それを誰がどうしてくれたのか、どう人と関わり受け止めたのか、感性が必要ですね(黒田先生)」
面接はどんなことを聞かれる?
私学の場合はほぼ面接があり、その対策もかなり重要だと言われています。
「両親だけと、親子面接が存在しますが、実質的には口頭試問に近いところもあります。保護者だけの場合は、必ず聞かれるのは志望動機です。共学・男女別、宗教色、大学までの一貫校などなぜそこを選んだのかしっかり考えて言えるようにしておくことです。簡単そうで答えにくいんですね。また親子面接の場合、子どもが話しにくいという状況もありますので、親子ともにしっかり準備や練習が必要です(飯田先生)」
実際の質問には、「母と子どもでどこが似ているか」について母と子に聞いた例があったそうです。
「その場で考えなければならないことも多く、矢継ぎ早に質問がきます。親に見られて緊張する子も多いですね。年配の人や恰幅のいい人に答えづらいなど苦手意識が出る場合もあります。日頃から近所や商店の人とお話したり、面接の練習を重ねておくことが必要でしょう(飯田先生)」
合格するために必要なことは?
「課題は難しいものが出るからといって、早めにやるからいいわけではありません。子どもには発達段階があるので、ステップを踏んで身につけていくべきです(佐藤先生)」
「家はどこか、どうやって来たのかという質問に具体的に答えられるお子さんが少ないと感じます。『さあ次はこのお稽古です』と手を引かれるままに往復していませんか? 横断歩道でも『青だよ』などと声をかけていませんか? 子ども自身が自分で感じて動けるようになることが必要です。食事ひとつにしても、『おいしいね』だけでなく、『さくさくしておいしいね』と日頃から感性を刺激する生活をすることが、合格につながっていきます(黒田先生)」
後編では、早稲田実業学校初等部校長、森国先生がお話された内容もご紹介します。
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