ジャック幼児教育研究所、伸芽会、みつめる21、理英会 幼児教室4社が2023年度の入試問題について議論!
6月に行われた、ジャック幼児教育研究所、伸芽会、みつめる21、理英会という幼児教育4社による共同イベント「2023年度を迎えるにあたって」のセミナー。第二回となる今回は、幼児教室に通う年中、年長児、約1500名のアンケートから見えてきた保護者の生の声や、昨今の私立小学校の入試問題について議論する貴重な場となりました。その模様をお届けします。
目次
4つの幼児教室が一堂に会した意義
__まずはじめに、日本私立小学校連合会会長の重永先生より、この会の意味についてお話がありました。
「コロナ禍の入試も3年目。私立小学校では、できるだけ通常通りの体験をさせたいと各校工夫されています。私学ならではの学びここにありと実感しています。
これまで、幼児教室は必要悪と評価されていた部分もありますが、私はそうではなくて、子どもたちの成長発達にとって欠かせない幼稚園や保育園、小学校と同じように大事な役割を果たす場所だと考えています。そんな4つの幼児教室が一堂に会したセミナーの開催に敬意を評しています。
一方で、私立小学校の入試問題は、現状多くの学校が非公開であり、子どもたちに聞き取りをして幼児教室が深い分析を加えているのも事実です。試験問題は本来、選抜の道具ではなく、子どもたちの興味関心や能力を引き出すのに役立つものです。今回、4社の先生たちに率直なご指摘をいただきながら、良問が増えることで、私立小学校への信頼が益々深まっていくのではないかと考えています」
幼児教室に通う約1500名のアンケートで見えてきたこと
__続いて、みつめる21の新中先生より、幼児教室に通う約1500名のアンケートで見えてきたことのお話がありました。
「今回、幼児教室4社に通う年中年長児のご家庭約1500名にアンケート調査を行いました。そこで見えてきたのが
・小学校受験を考えはじめる多くは3~4歳である
・志望校決定のポイントは、校風や学校の方針に加えて通学時間も大切である
・学校選びではホームページや幼児教室の先生の影響も大きい
・共働き家庭の受験者が増えたため、入学後に保護者が関わる頻度や内容が気になる
ということです。【学校に公表してほしい情報】という項目では、
1位:保護者の関わる頻度と内容
2位:いじめやトラブルへの対応
3位:学習に遅れが出た際の対応
でした。これは、小学校受験で共働き家庭が増えているという昨今の状況を反映していると言えます。
さらに、【学校選びの参考にしたツール】としては、
1位:幼児教室での案内
2位:友人知人からの話
3位:学校のブログやSNS
という結果でした。コロナ禍以降、オンライン説明会も増えましたが、ホームページやSNSなどを活用した学校側の発信力の重要性も学校選びでは重要なポイントになってきていると感じています」
入試問題はその学校の顔である!
__ジャック幼児教育研究所の吉岡先生からは、昨今の入試問題の難易度設定について解説がありました。
「昨今の入試問題は、本当に多様化しています。運動課題については、自分で判断して行動できる力だけでなく、先を見越す力や自己抑制力も問われていますし、ペーパー課題では論理的思考を問うものや、仕組みを理解する力を問う問題もあります。
ある年の入試で非常に難しい問題が出ると、翌年受験される親御さんたちは、その対策をしなければと必死になられますが、私はその必要はありませんとお伝えしています。
なぜならば、入試では、5~6歳の生活の中で子どもたちが体系的につかめることを基本とすべきであると考えているからです。中には中学受験レベルのような難易度の高い問題を出す学校もありますが、過去問にあるからと親御さんや子どもたちが必要以上の難問に振り回される必要はないと思っています。
実際に、立教女学院小学校などでは“小豆や大豆をつまませるようなことはしません”と箸使いのレベルの目安を示している学校もあります。そのおかげで、受験希望者は、箸の持ち方の練習に集中することができました。
入試問題の難易度設定は永遠の課題であり、幼児教育には教育指導要領のガイドラインがないため、難易度がエスカレートしつつある中で、ひとつの指針を学校側が出すというのは、とても素晴らしいと思います。
入試問題はその学校の顔です。今後より良い試験にしていくためにも、私たち幼児教室4社と学校とで、そういった情報のキャッチボールをしていければと考えています」
行動・生活課題の対策、家庭でやってほしい体験
__理英会の宮内先生からは、入試の行動・生活課題における年齢相応のコミュニケーションのポイントや、家庭で対策を行う際の注意点について、アドバイスいただきました。
「行動・生活課題において大事なのは、以下の4つです。
1.自己コントロールや状況判断ができること(社会性)
2.周りと同じ動きができること(集団性)
3.主張だけでなく、相手の気持ちを受け入れ配慮ができること(心の発達)
4.創意工夫しながら素直に言語で表現できること(他者への表現)
とはいえ、成長には個人差がありますし、家庭での様子と園や幼児教室での姿は当然違ってきます。子どもたちはいろいろな場面を経験しながら自己を形成していく時期なのです。
ご家庭では、子どもたちの成長をしっかりと見ながら、日常の生活の中でできることを増やしていきましょう。
たとえば、
・自分のことは自分でできる
・くつ紐を結ぶ、クリップで留めるなど指先の器用に使える
・配膳や箸使いなどが手際よく考えて行動できる
など。これらは入学後に学校生活の基礎となる力です。志望する学校が望む子ども像とわが子の発達段階を踏まえつつ、取り組んでみてください」
小学校入試における非認知能力の重要性
__最後に、伸芽会の飯田先生から、小学校入学考査における非認知能力の重要性のお話がありました。
1960年福井県生まれ。早稲田大学政治経済学部在学中に伸芽会の創立者・大堀秀夫と出会い、入社。子どもの目線に寄り添い子どものやる気を引き出す人気教師として男の子の指導に定評があり、これまで3,000人以上の教え子を難関校へと導く。著書に『9歳までの男の子の育て方』(世界文化社)。本サイトのYoutubeチャンネルであるSHINGA FARMちゃんねるへレギュラー出演中の他、AERA with Kisds+、朝日新聞 DIGITALなど多くのメディアにも取り上げられるなど、幼児教育業界の第一人者として活躍中。
「2020年からスタートした教育改革は、大学共通テストや指導要領の大幅な改正とともに、大きく変わる時代背景の中で、思考力や判断力、発表力を重視した力を身につけていこう、というものです。つまり、これまでの認知能力だけではなく、非認知能力も重要だということです。
さらに、2021年に文部科学省に発足した[幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会]では、改めて幼児期の教育の重要性を見直すとともに、幼児期に育った力が小学校教育の土台となり、それが活かされるように幼稚園と小学校がしっかり連携しましょう、ということを掲げています。
つまり、これらの“非認知能力”や“幼小連携型教育”というのは、既に私立小学校が長年行ってきた教育なのです。コロナ禍で私学の充実したICT教育も追い風になり、私立一貫教育の学びが、今改めて注目されているというのは事実です。
では、私立一貫校のどんなところが非認知能力を高めるのでしょうか?
一部を例にあげますと、
・学習と人格形成のバランスを重視したカリキュラムである
・身近に目標になる先輩がいる
・受験勉強に時間を割くことのない長期的なプランで教育ができる
・先生方の交代が少ない
・伝統ある学校行事や人との出会いの場が多い
などがあります。
そして、私たち4社のような幼児教室が行っている幼児教育は、決して詰め込み式の教育ではなくて、体験から積み上げる学びの基礎であり、小学校入学以降の学ぶ意欲を育てるものなのです。保護者の方はどうしても目先の結果を求めがちですが、長い目でみて、お子さんの教育を考えていただければと思います」
幼児教室4社の先生方のお話を伺っていて、幼児教育や私立小学校の学びに対する熱い想いが伝わってきました。これから小学校受験を検討される方々、ぜひ参考にされてみてください。
SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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