聖心女子学院、学習院、東洋英和女学院の先生が登壇!「受験のプロが教える夏から受験直前期までの過ごし方」
7月7日、都内のホテルにて「名門私立小学校入試シンポジウムIII」が行われました。
前編では、伸芽会ベテラン教師による、合格のための夏から直前期の過ごし方、さらに聖心女子学院初等科 大山江理子先生、学習院初等科長 酒井竹雄先生、東洋英和女学院初等部 部長 山本香織先生による、貴重なお話も必見です!
1960年福井県生まれ。早稲田大学政治経済学部在学中に伸芽会の創立者・大堀秀夫と出会い、入社。子どもの目線に寄り添い子どものやる気を引き出す人気教師として男の子の指導に定評があり、これまで3,000人以上の教え子を難関校へと導く。著書に『9歳までの男の子の育て方』(世界文化社)。本サイトのYoutubeチャンネルであるSHINGA FARMちゃんねるへレギュラー出演中の他、AERA with Kisds+、朝日新聞 DIGITALなど多くのメディアにも取り上げられるなど、幼児教育業界の第一人者として活躍中。
目次
伸芽会教師が語る、夏から直前期までの過ごし方
登壇したのは、伸芽会教育研究所 所長 飯田道郎先生。飯田先生によれば、入試で問われることは大きく分けて3つあるといいます。
「まず1つめは、集団の中に入る準備ができているか。今はきょうだいの数が減っていて、1人への期待が高いですね。往々にして、過保護過干渉になりがちです。でも、一定の負荷をかけないことには、発達はありません。
2つめは、年齢相応のことができているか。例えば便利になった世の中、1,2歳のクラスを見ていると、蛇口に手を出して待っている子が多いんです。何事も自分でできたほうがいいでしょう。3つめは、面接や願書など親子での準備です。ここは後で小学校の先生方からもお話があります」
家庭学習のポイントは?
「お母さんたちのお話を聞くと、お子さんのやる気がないという悩みを持っている場合が多いです。学習が続かなかったり、できるはずのことをしないというのは、すべて気持ちの問題です。やらされている感があるとまず続きませんし、話も聞きません。
必要なのは、自信や意欲を引き出すこと。お父さんお母さんと過ごして楽しいと思わせることです。例えば幼稚園の子は、スモックの着脱など自分のことを自分でさせましょう。入試では、日々の生活で練習できることが出ます。タオルを絞ったり、道具の片付け、掃除などです。家事のルーティンに巻き込んでいくことが大切ですね」(飯田先生)
家庭学習のとき、テーブルに鏡を置いてみよう
「家庭学習の際、お母様におすすめしたいのが、テーブルの上に、お母さんの顔が写る鏡を置くこと。どんな顔をして教えているでしょうか? もし同じ言葉を新人社員に言ったらパワハラにならないか? よくよく考えて言葉を発してください。「終わるまで寝られないよ」とか「どうしてできないの」など、大人でも言われたら嫌ですよね。褒めるところは、わざわざ見つけてください。
また、『あなたのことが大好きだから、よりよい環境を与えたい』ということを、優しい言葉で伝え、動機付けをしていきましょう。
できるはずだと思うことは声をかけながらやっていきましょう。また、2時間空いたからといって、2時間全部学習準備にしないでください。がんばらせたら楽しい時間を作ってあげることも大切です」(飯田先生)
名門私立小学校の先生方が登壇!
飯田先生のお話の次には、名門小学校の先生方が登壇しました。まず最初は、聖心女子学院初等科 大山江理子先生。
「聖心女子学院では、小学校から高校までの12年間、4・4・4制で教育を行っています。女子の発達段階をとらえ、1年生から12年生までをファーストステージからサードに分けています。例えば女子は、4、5年の間には格段の発達があるんですね。セカンドステージのからは、思春期になっていきます。
ファーストステージは基礎基本を大事に、丁寧な指導を。セカンドステージではあらゆるチャレンジで成長をうながします。9年生からのサードステージでは、リーダーシップを育成します。この形になって最初の学年が、今高等科3年になっています。この段階に分けたことで、今まで見えていなかった年齢での児童の可能性を開けていると思います」
また、姉妹校があるなど世界がとても身近なのが聖心女子学院の特徴だといいます。
「英語は初等科から実践的な力を身につけて、グローバルマインドを育てています。今年も模擬国連では、日本代表として派遣されました」
また、大山先生が感じる「子どもが伸びる家庭」については、
「いろんな親子の姿に出会いますが、子どもが伸びていく家庭にはまず、親子の会話がたくさんあります。親の聞く姿勢、学ぶ心があります。子どもが思うようにならないとき、つい「めんどくさい、わずらわしい」と感じてしまうことはありますよね。でも、私自身も含め、そうならないよう注意する必要があると思っています」
学習院初等科が大切にすることとは?
次に、学習院初等科長 酒井竹雄先生が登壇。
「学習院初等科では、「生きる力」を大事に育みたいと考えています。2020年の学習指導要領でもうたわれていますが、何かしようとするときにまず「観察、予測、判断」するように指導しています。1、2年生には「よく見たりよく聞いたりして、よく考えて、それから決める」と伝えています。観察力を高めると、いろんなことに気づきますね。なぜ?という疑問から、学習意欲の向上につながるのです。これはアクティブラーニングに必要な土台です」
また、授業では「わかる授業」を標榜し、基礎基本を重視しています。国際化にあたっては、日本人としてのアイデンティティを高めることが大事という考えのもと、伝統的に母国語に力を入れているのも特徴的です。
「英語が開始されるのは3年生です。英語を始める前にまずは国語力の土台を固めます。日本の歴史、伝統文化にも積極的に触れています。その上で、高等科の留学生との交流を行なったり、海外研修を計画しています」
恵まれた施設や環境も学習院初等科の魅力です。
「プールは、0〜140センチまで床が動き、1年生は膝までの浅いプールで安全に水に親しむことができます。図書室は床暖房があり、座ったり寝転んだりリラックスして自由に本を読んでいます。
校外学習は、3年からは泊りがけです。6年生は、3泊とも奈良に宿泊し、年間3日しか公開されない鑑真和上坐像を見たりします。6年生は沼津で4泊し、海で泳ぎ続ける日々です。学習院大学のOBOGなどが協力し、2人に1人の体制で見守っています。
初等科の周りには明治神宮、国立競技場などが点在し、緑の多い落ち着いた環境です」
アットホームさが際だつ、東洋英和女学院
最後に登壇したのは東洋英和女学院初等部 部長 山本香織先生。学校紹介として、職員の1人が子どもたちにインタビューしてまわった手作り感あるVTRを流してくださいました。
みんな口々に「給食がおいしいから楽しみ」「ほかの学年との交流がたくさんあっていい」「みんな優しくて、明るくて、毎日楽しい」などイキイキと答えていました。多かったのが、「学年をこえて仲がよい」という声。実際縦割りでの活動も多く、休み時間には学年が混ざって遊ぶ姿がたくさん見受けられるそうです。
先生によれば、東洋英和女学院の子どもたちはみんな「家族、姉妹のよう」だそう。都心にありながらアットホームな雰囲気が、とても伝わってきました。
「VTRでは、子どもたちは給食と休み時間のために学校に通ってきているような感じでしたが(笑)、一様に学校が大好きで、長い休みは学校がないから悲しいという声もたくさん聞かれますね。
東洋英和女学院が目指すところは、敬神奉仕です。隣人を愛する精神は創立以来脈々と受け継がれており、教師たちも、自分の担任以外の子も見て、見守り体制をしいています。
高学年のときに受験準備にとらわれず、さまざまな行事に体当たりでぶつかり、泣き笑いできるのも一貫の良さではないでしょうか。よく、東洋英和女学院はひとつの家族のようだと言われ、保護者の方が、小学部ロスに陥るとよく聞いています(笑)。
また、最近の高等部の卒業生の進学先として、医学部14、歯学部13名など理系が近年とても増えているのが特徴です。卒業後も、まわりに愛を広げる存在になってほしいと、教職員も日々邁進しています」
後編はこちら
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