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2018年度名門私立小学校入試シンポジウム後編「立教小学校、青山学院初等部、東洋英和女学院小学部が求める子どもとは?」

2018年度名門私立小学校入試シンポジウム後編「立教小学校、青山学院初等部、東洋英和女学院小学部が求める子どもとは?」

前編はこちら

先日都内で行われた「2018年度名門私立小学校入試シンポジウム1」。この春年長になる息子を持つライターが実際に参加してのレポートの後半です。前半では、伸芽会教育研究所所長の飯田道郎先生のお話を中心に、入試本番までに求められる力について等レポートしました。

後半では、名門小学校3校の先生方の講演の内容をまとめていきます。

立教小学校 校長 佐々木正先生
立教大学文学部卒業。公立学校教諭、ブラジルの日本人補習校校長、区立小学校校長と多彩な経歴を持ち、2015年より現職。立教小学校HP
青山学院初等部教頭 佐々木淳先生
立教大学文学部卒業。青山学院初等部教諭を経て、現職。いつも優しく穏やかな先生です。立教小学校の17回生でもあります。青山学院初等部HP
東洋英和女学院小学部 部長 山本香織先生
上智大学卒業。東洋英和女学院理事でもあり、日本キリスト教団教務教師。2008年より現職。HPには山本先生のお人柄も垣間見られるブログも。東洋英和女学院小学部HP

 

立教小学校 佐々木正先生のお話より

日本で3校だけという男子校のひとつ、立教小学校。現在720名が学んでいます。校長の佐々木先生は、とても穏やかで愛に溢れたお話ぶりがとても印象的でした。

立教小学校では、詰め込みでは得られない「はがれ落ちない学力」をつけることを目的とした主体的・対話的なアクティブラーニングをさまざまな形で実践しています。

3年生以上全員がiPad miniを持つなど先進的な授業を展開する一方、創立70周年を迎えても変わらぬ理念で、キリスト教に基づく人間教育をしているそうです。

「わが校では、3〜4人組になって授業をするなどともに学び合うことを大事にしています。『世の光になる』、つまり人の役に立つ人を育てることが立教学院の願いです。

立教では競争ではなく、協奏です。男の子の気持ちを大事にしながら、『男だから泣くな、鍛えてやる、男らしさ』などといった言葉は使いません。『その子らしさ』を大切にしています

毎週1回礼拝の時間があり、そこで献金を行います。もちろんお子さんですから、お小遣いの範囲です。あるお子さんが毎回献金袋にメッセージを書いています。

たとえば『九州の大雨で川に飲み込まれた人もいるから、早く天気が回復してほしいです。僕が幼稚園で習ったことでは、雨は神様の涙と言っていたので、なんで神様はこんなに泣いてしまったんだろう』と。このような心を大切にしながら育てていきたい」(佐々木校長先生)

立教小学校の普段の教育が垣間見られ、大変心に残るエピソードでした。進路としては、ほとんどが付属の中学校・高校・大学に進学。他大進学クラスのある立教新座高等学校は76%、立教池袋高等学校は90%が立教大学に進学しています。

青山学院初等部 佐々木淳先生のお話より

スクールモットーを「地の塩、世の光」とし、キリスト教に基づく教育を行う小学校です。「150周年に向け、サーバントリーダーを育成したい。青山学院が目指すリーダーは、『人に仕える』リーダーです。ナンバーワンよりもオンリーワンを目指します」(佐々木教頭先生・以下同)

「しんせつにします、しょうじきにします、れいぎただしくします、よくかんがえてします、じぶんのことはじぶんでします」という5つのおやくそくがあり、毎日の日記の取り組みや独自の英語教材による英語教育、産学協同で取り組むICT教育など先進的な学びも提供しています。

また特に目を引くのが、1年次から行われる多彩な宿泊行事です。6年間でおよそ50日あり、3年生から6年生までがともにする4泊5日の雪の学校、5年生がキリスト教ともゆかりの深い長崎県での2キロの遠泳、6年生が種子島などを訪れる8泊9日の洋上小学校などさまざまな体験が用意されています。

「宿泊行事で、お互いに支え合うこと、がまんする力、乗り越える力、感動から学ぶたくさんの心情を子どもたちは身につけていきます」

遠泳に備え週1回プールの実習があるなど、宿泊行事は日々の学習上でもひとつの大きな柱になっていると感じました。

最後に、子どもたちがクリスマスキャロルを歌う映像を流してくださいましたが、大きな礼拝堂で輝く光のなか歌っている様子がとても素敵で、感動的でした。伝統や規模のおかげもあり、質量ともに素晴らしい体験を提供してくださる学校という印象を受けました。

東洋英和女学院小学部 山本香織先生のお話より

『花子とアン』でも注目された翻訳家・児童文学者の村岡花子出身の学院で、英語教育でも有名な伝統ある女子校です。「敬神・奉仕」、そして「誰かのためにまずわたしから始めましょう」という初代校長・カートメル先生の言葉が、お話を聞いていて東洋英和女学院をとてもよく象徴していると感じました。

六本木にありながら緑豊かで、土の校庭があることは訪れる人みなが驚くのだそうです。ピアノ科やオルガン科があるなど音楽教育も重視しています。また4年生以上は専科制で、高い指導効果を発揮しているほか、担任以外の目を届かせることで、家族のような学校と自負されていました。

「先生みんなで子どもを見ています。子どもたちは異口同音に学校が大好きと言います。昔の寄宿舎があった時代の名残でしょうか、全校で食事をとったり、厳しさのなかに優しさと温かさのある英和の独特の空気があると思います」(山本先生・以下同)

筆者にも、大学時代に東洋英和出身の同級生がひとりいました。英語のクラスで後席の私に振り返ってよく助けてくれる明るい子で、山本先生がお話してくださった闊達な女の子たちのエピソードと重なるものがありました。

また、女子校のメリットとして、同質だからこその学習効果の高さをあげられています。「男女の役割なく、個性を思い切り発揮し、実にのびのびと学んでいると感じます」

プレゼン能力を養うことを重視し、低学年でも1分間のスピーチを取り入れているそうです。卒業前には親子討論会があり、有志の会がサポートしているとのことです。

「父の会は発足して16年目です。父の会活動はまったくの自主的なもので、皆さん子どもの笑顔のためにとやっておられ、卒業に際してお父様から『卒業したくない』というお言葉をいただきました」と笑顔で披露されていました。

入試に関して先生方よりひとこと

「キリスト教信仰は必須か?」という疑問に対しては、3校ともに信仰しているかいないかは合否とは関係がないそうです。ただ、お話を聞いていて、キリスト教にもとづく教育をするため、理念を理解する必要はありそうです。

以下、気になる考査についても、先生方よりひとこといただきました。

立教小学校 佐々木先生

「1人の教員が2〜3人に課題を出し、答えを聞かせていただきます。点数には入らない難しい問題を出し、説明をよく聞いた後、次の問題でどう答えるかを拝見したい。

大変申し訳ないと思いながら考査をさせていただいておりますが、入試を通して、お子様の話を聞く機会やご両親がお話しする機会が増えて、幸せになっていただきたいと思っております」

青山学院初等部 佐々木先生

「個人テストには4つの領域があり、さまざまな道具を用意しています。拝見したいのは、道具などをいかに使い、どんな発想をするかです。出題者が意図したものではなくてもよく、豊かな発想力を拝見したい。

今都内には52の私立の小学校があり、それぞれ特色があります。同じキリスト教系でもさまざまです。ぜひお子様に合ったところを選んであげてください」

東洋英和女学院小学部 山本先生

「願書はこうで、バッグはこうでとお伝えできたら皆さん楽でしょうが、皆さん同じではどこを見たらいいのでしょうか? 私たちは模範解答を求めていません。ぜひお子さんをいっぱい愛してください」

それぞれとても魅力的で、違う個性ある学校と感じました。子どもに合うか、また理念に共感できるかはお話を聞いたり学校を訪れて初めて実感できるものですね。

伸芽会から配られたお母様たち直筆の合格体験記もとても読みごたえがあり、充実した内容です。受験に向け、今何をすべきかがつかめたシンポジウムでした。

著者プロフィール

ママ向けファッション&ライフスタイル誌などを中心に活動中の30代半ばのライター。3才の男児の母。

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