2019年度名門私立小学校入試シンポジウム【前編】〜伸芽会ベテラン教師が語る、2020年度入試に向けての傾向と対策〜
先日、都内のホテルにて伸芽会主催の2019年度名門私立小学校入試シンポジウムが行われました。数百名の参加者で熱気に溢れた会場内には、父親の姿も多く見受けられました。
今回は前編で2020年入試に向けて必要なことについて、後編では名門私立小学校から3名のゲストをお招きし、座談会形式でリアルな声をご紹介していきます。
1960年福井県生まれ。早稲田大学政治経済学部在学中に伸芽会の創立者・大堀秀夫と出会い、入社。子どもの目線に寄り添い子どものやる気を引き出す人気教師として男の子の指導に定評があり、これまで3,000人以上の教え子を難関校へと導く。著書に『9歳までの男の子の育て方』(世界文化社)。本サイトのYoutubeチャンネルであるSHINGA FARMちゃんねるへレギュラー出演中の他、AERA with Kisds+、朝日新聞 DIGITALなど多くのメディアにも取り上げられるなど、幼児教育業界の第一人者として活躍中。
目次
合格するために必要な5つのこと
「1つはまずスケジュールをしっかり立てること。昨年は東洋英和女学院の試験日が例年とずれ、全体の倍率が変化しました。国立も、筑波大学付属小学校以外は志願者数が少し減っています。試験日や前年の動向など早めに正しい情報を得られるようにしてください。2つ目は、子どもの力をつけるための計画を立てること。3つ目は保護者の分担を決めること。4つ目はいろんなテストのパターンに慣れておくこと。5つ目が子どものモチベーションを持続させることです。
4つ目が意外と盲点で、さまざまな準備をしてきたにも関わらず、テストに慣れていないせいで流れに乗れない場合があります。慣れておくことは非常に大事です。伸芽会では毎月1回試験をしますし、志望校別の試験もあります。
また5つ目は、子どもは「褒めて伸ばす」のが基本ですが、それだけでなんとかなるような浅いものではありません。課題ができないとお母さんも平静ではいられないことがあり、それが子どもの拒否反応につながったりもします。プロセスを褒めてほしいと思いますし、志望校合格はお子さんにとっては入り口にすぎないということを忘れないでください。
2020年の教育改革の柱は、簡単に言えば大事なのは学力だけではないということ。答えも多様になり、テストは論述式が増えるでしょう。誰もが、どんな社会になるのかまったく見えないなかで、子どもたちはどう社会を生き抜いていくのか。知識や技術はAIにとって代わられ、そのとき大事なのは子どもの主体性ですね。とはいえ、学校では知識を軽んじているわけではありません」
出題問題に変化の兆しも。目標到達レベルは?
「問題を解くことは、大人であれば誰でもできます。でも、大事なのは答えを出すことではない。去年の筑波大学付属小学校の出題を見ると、明らかに過去問の反復練習だけでは解けない問題が出ています。その場で子どもが考えないと解くことができないんです」
つまり、自分で考えようとする力が必要になると飯田先生はおっしゃいます。
「また、東京学芸大学付属竹早小学校はペーパーがありません。慶應義塾幼稚舎もそうで、“遊び”がほとんど。ただ、遊びだから誰でもできるのかといえば、例えば竹早の遊びのレベルはそうではありません。国立小学校は小学校生活教育研究の場として、子どもに負荷がかかるわけですから、それに耐えられるか見られています。
また知的なものだけでなく、生活習慣も非常に大切です。雑巾絞りなど、昔は当たり前のようにできたことができない子が増えている。今は非常に便利な時代になりましたが、そのせいか幼児の体験の幅が狭くなりがちです。体験の量をいかに増やしていけるかが分かれ道。通っている幼稚園や保育園の活用も大事です。長い時間過ごす場所なわけですから、園でどんな刺激を受けるのかで差がつきます」
名門校なら学力や知識はもちろんないがしろにはできません。合否を分ける生活習慣は、今のご時世、意識的に身につけるような働きかけが必要なようです。
「自立させること、言語能力を高めること。そして状況判断と協調性を身につけること。その力は年齢相応か、できるならそれ以上を目指していきたいところです」
後編では、成蹊小学校・田園調布雙葉小学校・立教小学校からゲストをお招きし、座談会形式で入試についてのリアルなお話を伺っていきます。
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