2019年度名門私立小学校入試シンポジウム【後編】成蹊小学校、田園調布雙葉小学校、立教小学校先生らにインタビュー!
前編はこちら
先日都内のホテルにて行われた、伸芽会主催の2019年度名門私立小学校入試シンポジウム。前編に引き続き、後編では実際の入試についてリアルな声を伺います。
登壇者
成蹊小学校 校長 倉内祐子先生
田園調布雙葉小学校 副校長 筒井三都子先生
立教小学校 教頭 田代正行先生
司会:伸芽会教育研究所 首席研究員 佐藤眞理先生
目次
名門小学校が答える、幼児期に望むことと
__シンポジウムの前半では、皆さまに学校それぞれのご紹介もしていただきありがとうございました。今から皆さまにより具体的なことを伺っていきます。まず、幼児期に望まれることとは何でしょうか?
倉内先生:飯田先生がおっしゃったことにすべて入っていますね。今の1年生を見て、模倣の力が弱まっていると感じていました。あらゆるものは模倣で学んでいくもの。あえて不便な状況にしないと学べない世の中になったのかもしれません。また、結果ではなくて頑張った姿を褒めるのが大事。それにはずっと見ていなければいけないですし、そのまなざしが必要です。お仕事をしている方も多いですが、見方を変えるだけでいいんです。
__倉内先生、どうしても女子のほうが発達が早いと言われます。同数の募集をしていますが、かつては女子が少ない時代もありました。子どもを見て配慮されていることは?
倉内先生:同数にしたのは平等の世の中だからという観点です。少数の女子がリーダー格になりひっぱる時代もありましたが、今半数になったことでのんびり系の女子もいます。ただ高学年では実質的に女子のほうが多く、検討の余地があると思っています。
__田代先生、立教小学校には試験に読み聞かせが含まれますね。
田代先生:読み聞かせのときは大人数で見てもらってから、1対1で質問をします。8割9割は物語に没入して、覚えることはよくできますが、どうしてだろうね? と聞くと口ごもってしまったり、自分の考えを述べるということが弱いようです。また、楽しんでいないと自信を持って答えられない場合がありますね。
__どんなところを見られているのですか?
田代先生:試験では、授業のように何回も教えていきます。ヒントを言って解説しますので、くじけず最後までできるかを拝見します。最後の問題はノーヒントです。最後まで諦めないで、食いついてきてくださいという試験の方式ですね。ちなみに、それぞれの教室ごとに平均点を見て、平均点が下位だった試験官は、刷り込みがまずいかもしれないので、翌年外しています。
筒井先生:いかに家族のなかで会話が成立しているかは短い試験のなかでも感じることができます。伝えようという意欲を持てるかは非常に重要ですね。集団観察では、図工でお友達との関わりを拝見します。ハサミの数が足りなかったりすると、『次貸してね』『いいよ』『はいどうぞ』『ありがとう』という典型的なやりとりがなされます。本当にそう思ってやっているかなと感じる部分もあるんですね。
__そんななかで、どんなお子さんに目を引かれますでしょうか?
筒井先生:笑顔が明るく、興味を持って課題に取り組んでくださる子には目がいくかもしれませんね。
倉内先生:わが校では、試験会場を変更しました。教室ではなく体育館で60人くらいがいっぺんに受けます。子どもと20人くらいのスタッフで見ています。教室の中だと活動するには狭く、待っている子とやる子が近いと緊張感があります。体育館にすることで、ストレスが解消されたのではないかと思っています。こちらとしても、普段のお子さんの自然な様子を拝見したいので、来年度も引き続き体育館で行う予定です。
望ましい家庭の姿は?
筒井先生:本校には、給食も学童もありませんし、導入の予定もございません。ないないづくしの学校です。教育の場を優先してくださるようにと願っています。学校は子ども自身のためにあり、教育の場です。お仕事をされている方を拒むものではありませんし、3割は働いているご家庭です。ただ、ご自身のお仕事を全うされたい、できるだけ子どもの世話を学校に任せたいと思う方は、違いをお感じになるかもしれません。親と学校は、車の両輪でありたいと願っているので、共に歩んでくださるご家庭とご縁があればいいなと思っています。
田代先生:入試に慌てることなく、お子さんをいじりこわさないでいただきたいなと思います。入試のためだと、正解ありきの読み聞かせになってしまいますね。イライラすると意味がありません。入試のために家族一丸となり、会話が増えた、力がついたというきっかけにしていただきたいと思います。あとは、ぜひお手伝いをさせてください。体験無くして理解なしです。お手伝いをすれば、いろんなことが想像ができるようになりますし、人参を一回切ると2つになり2回切ると何個になる?など、お手伝いしながら遊んで学べるものです。『1つしかできないじゃない!』と怒らずに、自尊感情、自己肯定感を育んでいただきたいです。
筒井先生:私立小学校の教員はみんなそう思っていますね。お手伝いは生活力、人間力を育てます。これだけは僕がやらないと家族が困るんだ、という誇りも持てます。
倉内先生:おっしゃる通りです。今の子育ては昔より大変です。子どもが生活しているなかで自然とできたことも、今はセッティングしないと、すっと過ぎてしまう場合があります。
来年度の入試予定について
筒井先生:本校は来年度は未定ですが、例年入学試験は10月の面接から始まります。カトリックの女子校は東京にもいくつかありますが、説明ではだいたい同じようなことを申し上げるものです。でも不思議と実態はそれぞれで、それぞれの良さがあります。ぜひ実際に見ていただいて、たったひとつの学校に巡り合っていただきたい。登下校の様子もご覧ください。
倉内先生:東京都には私立小学校が54ありますが、それぞれまったく雰囲気が違いますね。
田代先生:入試は11月1、2日に行います。6月から9月まで3回説明会を行いますが、それぞれ違うことをお話しします。教育相談も設けますが、こちらは片親の方や体に不自由がある、国籍の問題などといった事柄に対応するもので、合否には関係のないものです。みなさんには褒める、励ます、広げるという『3H』を忘れず、入試をきっかけとして家族の会話が増えたらいいなと思います。もしご縁がなくても我々が見抜けなかったんだと思っていただき、お子さんの価値が下がるわけではないということを忘れないで欲しいですね。
__そうですね。早めにご家庭に合う学校を見つけ、ベストの選択をしていただきたいものですね。
4月からは学校説明会や見学会などの公開行事が続々と始まります。早めに受験校を決め、余裕を持ったスケジュールで進めるようにしたいものですね。
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