青山学院初等部教頭、日本女子大学附属豊明小学校校長、暁星小学校校長が登壇!「2019年名門私立小学校 入試シンポジウムII」
先日、都内のホテルにて「名門私立小学校 入試シンポジウムII」が行われました。名門小学校からも3名のゲストを招いて、学校の魅力をお話いただくとともに、入試についてのざっくばらんな質問にもお答えいただきました。
目次
目前に迫った2020年教育改革、先進性では私学が優位
まず最初に伸芽会 教育研究所の飯田道郎先生が登壇。目前に迫った2020年の教育改革においても、私学の優位性は際立つだろうとお話しされました。
1960年福井県生まれ。早稲田大学政治経済学部在学中に伸芽会の創立者・大堀秀夫と出会い、入社。子どもの目線に寄り添い子どものやる気を引き出す人気教師として男の子の指導に定評があり、これまで3,000人以上の教え子を難関校へと導く。著書に『9歳までの男の子の育て方』(世界文化社)。本サイトのYoutubeチャンネルであるSHINGA FARMちゃんねるへレギュラー出演中の他、AERA with Kisds+、朝日新聞 DIGITALなど多くのメディアにも取り上げられるなど、幼児教育業界の第一人者として活躍中。
「わかりやすくいえば、覚えるだけ・記憶力だけでは物足りない、という教育改革です。これからはいわゆる非認知能力を伸ばすことに重点が置かれます。将来の力のベースは、自分に対する自信であり、自己肯定感のあるなしは重要な要素ですね。
その点、私学では外国語教育もアクティブラーニングもずっと行なっています。公立の教育を否定するわけではありませんが、私学で低学年から一貫で教育を受けられるということに、この非認知能力に関してはポイントがあるのではないでしょうか」
そして飯田先生によればシンポジウムが開催された5月半ばという季節は「入試まで待ったなし」。
「多くの学校は面接からですが、早いところでは10月頭から始まります。関西では9月ですね。
合格への道で必要なことは、①正しい情報の収集②お子さんの実力③保護者の準備④テストのシュミレーション⑤モチベーションの持続⑥直前から当日へのコンディション、です。
もちろん実力アップには伸芽会も頑張るところですが、褒めて伸ばすのが一番の基本。自信がないと意欲につながりません」
名門私立小学校に合格する子の共通点とは
飯田先生によれば、合格する子には共通する傾向があるそうです。
「明るく素直で子どもらしい。いろんなことに興味を示す。人のいうことに耳を傾けられる。何事にも一生懸命。挨拶や基本的生活習慣が身についている、という共通点があります。
ただその条件が揃っても、さきほど述べたように親にもきちんとした準備が必要です。
面接には親子ともども実践力が必要ですし、早めに願書を取り、対策を講じることも大切なんですね」
青山学院初等部、日本女子大学附属豊明小学校、暁星小学校の先生方が、入試についてクロストーク!
続いて行われた「入試シンポジウム」では、第1部で詳細な学校紹介もしてくださった青山学院初等部 教頭 佐々木淳先生、日本女子大学附属豊明小学校 校長 山口博子先生、暁星小学校 校長 吉川直剛先生が再度登壇され、いろんなお話しをいただきました。
__2020年の教育改革では、英語、情報、道徳など小学校の指導にもいろいろ変化があります。でも変化を迎えても、人格形成は小学校6年間で培われる部分も大きく、私学への期待も高まっていくのではないでしょうか。まずは、教育の成果が垣間見える、御校の具体的なエピソードをそれぞれ教えていただけますか。(伸芽会教育研究所 主席研究員 佐藤眞理先生)※以下司会進行は佐藤先生
佐々木先生:例えば電車が遅れたり止まったとき、日頃話したことがない下級生でも声をかけて連れ立って登校する姿が見られます。こうした人間関係が、大学になっても引き続くのがいいところですね。
6年生の8泊9日船の中の洋上小学校では、たくさんの軋轢とたくさんの解決があり、終盤に向かっていきます。海に荒れた日も凪の日もあるように、人間関係も、ぶつかるのは当然だということを自然に学んでいます。
山口先生:わが校にも豊明家族という言葉があり、仲が良いですね。小学生なりにどう行動するか、どう人と関わるかを次第に身につけています。
わが校では創立者である成瀬仁蔵の命日に墓参りに行き自らを振り返る手紙を書くのがなわらしですが、「今世界にひとつしかないわたしになれています。自分の気持ちを曲げないで大切にし、自分しかない利点欠点を理解して、自分を磨くことが大切です」と書いている6年生がいました。意欲がある子どもが育っているなと思います。
また女子校ですので、性別のフィルターがないなかで生活しています。違いを認め、お互いを見てできるところでがんばる、という柔軟性は、女性にとってより必要なものと思っています。大人でも、自分だけで背負おうとせずに協力関係を築けるようになったほうがいいですよね。
吉川先生:合宿の自由遊びを見ていても元気よくサッカーする子もいれば、隅で土をほじくり返している子もいる。多様性のなかで、お互いを受け入れるという雰囲気がある気がしています。指導要領が変わったからといって、わが校の教育が変わるものではありません。今も昔も、基礎が一番大事。ぶつかり合いながら、うまく相手に伝えるにはどうしたらいいんだろうと学んでいっているなと思います。
就学前に身につけてほしいことは?
__学校と家庭の緊密な連携も必要ですが、就学前に身につけてほしいことはどんなことですか?
吉川先生:まず聞く力を身につけていただきたい。小学校に入ると、40人での生活が始まりますから。
山口先生:聞く力は大事ですね。あとは、お父さんお母さんがどんなお子さんに育ってほしいのか。こういうことすると喜ぶ、叱るというのがお子さんに伝わっていることは大事です。
就学前は手のかかる時期で大変かと思います。とりあえず泣き止めばいいと思って行動してしまうと、そのお子さんの価値観が揺らぎますね。ここは譲れないのよ、という部分を示しておいていただけるといいですね。
佐々木先生:お父さんお母さんの聞く力もつけていただきたい。この間お蕎麦やさんに行ったら、お隣の家族4人ともスマホを見ていたんです。それだけで判断してはいけませんが、家族として大事なのは心を育てることです。子どもの声を聞き、気持ちを受け止めて育てていただきたいと思います。
気になる考査について
__考査について留意することを教えていただけますか?
吉川先生:問題は放送で流れますので、集中力が必要です。答えられるものは早く、じっくり考えるところはじっくりと取り組めるように問題を作っています。またペーパーだけに偏るのも好ましくないと、数年前から運動の考査も取り入れています。
山口先生:できればお子さんの日常の姿を見たいと思っています。皆さん考査に向け研究しかなりお勉強されてくるので、素がある意味で見えにくい部分があります。夢中になって取り組み、ふとしたときに素顔が出るような問題作りをしています。
佐々木先生:一説にはわが校の個人テストは難しいと言われていますが、できなくても一生懸命やる姿を拝見したいです。全部できなくてもいいので、そのお子さんのいいところを考査を通して見られたらと思っていますね。
「受験はゴールではない」、そこを忘れずに取り組むのが大切
__最後に、これから受験を迎えられる方にアドバイスはありますか?
佐々木先生:小学校の受験は、お子さんの人生のほんの一コマです。受からなかったとしても傷にならないように、お家で考えていただきたいです。目指すべき大事ことは合格ではなく、小学校を幸せに過ごすことですよね。わが校でも、その子の持っている命は神様から与えられているものという考えのもと、学校と家庭で大事に自尊感情を育てていきたいと思っています。
山口先生:受験を考えたり、例えば伸芽会にいくことで、アドバイスをもったり、いろんなことを耳に入れながら子育てに関して親が考える時間を持てますよね。まずそれが素晴らしいと思います。どこかの学校に入ることは結果です。結局はご縁があるかないかですから、入ったところでいかに幸せに過ごしていくかが大切です。
吉川先生:小学校入学で人生が花開くわけではありません。私立小学校はいろいろあり、それぞれに特徴ある教育を持っていますので、お子さんを見て、合うところを検討していただきたいなと思います。
今年以降に受験する保護者もかなり参加していた今回のシンポジウム。合格するためには何が必要なのかイメージするためにも、早めからの参加も有意義だと感じました。
▼小学校受験をこれからお考えの皆様に、最初に必ず知っておきたいことをまとめた連載コンテンツがこちら!
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