暁星小学校校長、田園調布雙葉小学校副校長、早稲田実業学校初等部校長が登壇!「2021年度 名門私立小学校 入試対策説明会Ⅰ」
先日行われた伸芽会の「名門私立小学校 入試対策説明会Ⅰ」。名門小学校から3名の先生をゲストとしてお招きし、学校の特色をお話いただくとともに、各学校が望む子ども像など入試についての気になる質問にもお答えいただきました。
目次
受験までに身につけておくべき力とは?
第一部では伸芽会 教育研究所所長の飯田道郎先生が登壇。「2021年度入試に向けての傾向と対策」についてお話をされました。
1960年福井県生まれ。早稲田大学政治経済学部在学中に伸芽会の創立者・大堀秀夫と出会い、入社。子どもの目線に寄り添い子どものやる気を引き出す人気教師として男の子の指導に定評があり、これまで3,000人以上の教え子を難関校へと導く。著書に『9歳までの男の子の育て方』(世界文化社)。本サイトのYoutubeチャンネルであるSHINGA FARMちゃんねるへレギュラー出演中の他、AERA with Kisds+、朝日新聞 DIGITALなど多くのメディアにも取り上げられるなど、幼児教育業界の第一人者として活躍中。
「京阪神では9月、首都圏では10月から本格化する私学入試。秋までに、まずはお子さんの『体験の絶対量』を増やしていただきたいです。大人には当たり前なのに『なぜこんなことがわからないの?』と思うことがあるかもしれませんが、それは体験をしていないから。大きさや長さは見てパッとわかりますが、重さは実際に比べてみないとわからない。体験を重ねて得られる論理的思考が要求されるからです。体験の積み上げなしに『この課題が出るからこういう準備をしなくては』という情報が多いのかなと非常に危惧しております」
また、飯田先生は受験までに身につけておきたい力として、受験をやらされているのではなく、みずから進んでやっているという「年齢相応の自立度」、言葉で理解し、表現できる「言語能力」、そして、どこでも誰とでもやってのける「実践力」を挙げています。
飯田先生によれば、合格する子には共通点があり、「明るく素直で子どもらしい。いろんなことに興味があり、人のいうことに耳を傾けられる。何事も最後までがんばろうとするし、挨拶や基本的生活習慣が身についている」ことが多いそうです。
「達成感がやってみたいという気持ちにつながります。上手にほめて自己肯定感をあげていくことも大切です」
「動と静のけじめを大切にする」暁星小学校
続いて第二部では、3校の先生方に学校の魅力や入試に関してお話を伺いました。はじめに登壇されたのは暁星小学校校長の吉川直剛先生。
「本校は幼小中高の一貫校であり、カトリック系の男子校です。『神様を愛し、自分を大切にし、他者を尊重する』というキリスト教の理念に基づく教育によって人格形成をめざしております。どんな時でも、どんな人でも、どんな場所でも注がれている神様の愛を子どもたちに受け取ってもらい、その受けた愛を周りの人に広げ、社会に貢献していく人物を育てていく。これが本校の教育の特徴です。そのほか、『合宿教育』にも力を入れております。2~6年生が年に2回、栃木県の那須に行き、学年により宿泊数は異なりますが、合宿を行います。学舎に泊まり、3年生からはテント設営をしたり、飯盒炊飯をしたり自然に触れ合う機会をも設けています。
男子校というと、みんな活発でワイワイというイメージがあるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。那須合宿でもグランドの真ん中でサッカーをやる子もいれば、グランドの隅っこでひたすら穴を掘っている子もおり、多種多様な子が一緒に学んでいます。また、休み時間は外で元気に思いっきり遊び、授業前は無言で整列し切り替えて次の授業に向かうなど、「動と静のけじめを大切にする」といった指導もしています。
本校が求めるお子さんについては、本校の教育方針をよく理解していただけるご家庭のお子さんが一番ではないかと思っております。本校の中を見ていただく機会は学校説明会と運動会くらいしかございませんが、実際に子どもたちの様子をご覧いただくのもよろしいかと思います。まだ時間もありますし、他校も含めいろいろな情報を集めていただき、じっくりご検討いただければと思います。春から本校のホームページがリニューアルいたします。かなり見やすくなる予定ですのでご期待ください」
「同じ仲間と切磋琢磨しあう12年間」田園調布雙葉小学校
続いてお話いただいたのは田園調布雙葉小学校副校長の筒井三都子先生です。
「本校は、附属幼稚園から高校まで併設したキリスト教カトリックの教えに基づく一貫教育を行う女子校です。中学や高校から新たに生徒を募集することはなく、小学校から12年間という長い年月を共に歩み、成長していきます。卒業生たちは社会に出て、新しい仲間と出会ってもブレることなく自分らしさを発揮し、のびのびと活躍している様子が伺えます。なれ合いで過ごした12年間ではなく、葛藤や困難を乗り越える中で互いの違いを受け入れ合う経験をし、支え合う喜びを知ったがゆえに次のステージで出会う違う価値観を受け止め、人を信じ、共に生きていく力を育んでいるからなのだと思っております。
それから本校は、ないない尽くしの学校でもあります。まずスクールバスがありません。歩くことで体力と精神力を育てたいと考えています。給食も学童もありませんし、導入の予定もございません。給食や学童保育が必要とされていることは理解しております。ただ、どれだけお子様とのかかわりに心と時間をささげられるかに、一つの価値を感じていることの表れでもあります。私たち教師と本校の教育を選んでくださる保護者のみなさまがいつも子ども一人一人と丁寧に向き合い、ときに本気の厳しさ、ときにはやさしく包み込む包容力をもって、忍耐強く寄り添い、強い支えになること。そんな存在として共に歩んでくださるご家庭と共同体でありたいと願っています。
本校が望んでいるのは年齢相応の発達を遂げられ、幼いなりにもコミュニケーションの力をもち、他者と交わることができるお子様です。ただ、保護者の方には『通常の生活を送る』ということを一番大切にしていただきたいです。幼いときに小さな階段を上るように、生活の中で経験を積み重ねていただければなと思います。
受験してくださるみなさまは、どのご家庭も素晴らしくて私どもも困ってしまうというのが現実です。ただ、面接室で入室したあと、丁寧にお三方そろってご挨拶をしていただくこともあるのですが、それがご家族の日常にあればいいのですが、そのときだけだと、かえって困ったことになるのかなと思うことがございます。たとえばご入学後に、私ども教員には丁寧にご挨拶くださっても、用務や受付のものには少し横柄な態度で言葉を交わされるような方もいらっしゃいます。何が困るかと申しますと、お子様がそれをよく見ていて、相手によって態度を変えていいんだと思ってしまうことです。一方で、私たちが見ていないときこそ丁寧に物事を取り扱い、丁寧に受け止めて、学校のプリントに込めた思いを十分に感じ取ってくださっているのを感じたときは、大変ありがたく、みなさまに支えていただいているんだなと感じることがございます。
試験をさせていただく側からすれば、お子様とのご縁がつながるということは、本校の願いと保護者の方限られた時間のなかで合致できたということであって、そのお子様の優劣をつけるものではないと認識してお迎えしております。ですから、ご縁がなかったときに、ご自身の子育てがすべて否定されたとか、存在自体が受け入れられなかったとか、そんな風に錯覚されることだけはないようにいただきたいです。神という存在を信じているものからすると、他に違う招きがあるということ、その方自身が幸せになる道筋がみえないところにちゃんと準備されているんだということを受け止めていただけるような受験期をすごしていただければ幸いです。
「中高等部と連携した充実の教育内容」早稲田実業学校初等部
最後にご登壇いただいたのは早稲田実業学校初等部校長の森国𠮷雄先生です。
「本校は早稲田大学の系属校であり、男女共学の一貫校です。受験勉強を気にせず文武両道に励み、将来の目標をしっかりもち、約95%が早稲田大学へと進みます。校是の『去華就実』や校訓の『三敬主義』のもと、12年間で世のため人のため、みずから汗を流すことができる心優しい人材を育成し、早稲田大学の中核となりうる、調和のとれた人間教育を目指すというのが本校の大きな特徴です。また、初等部の同じ敷地内に中学生も高校生もいるので、子どもたちは先輩たちを見ながら、成長した姿を重ね合わせ、夢や希望を期待に明確にしていきます。
2020年度から情報化やグローバル化に対応するため、新しい学習指導要領が進められています。本校ではすでに全学年の英語の導入やみずから学び考え作り出し表現する教育、いわゆるアクティブラーニングを重視した学びの展開を実践してまいりました。中学年からは専科制が始まり、5・6年では中等部の教員が小中連携で専門的な授業を展開しております。また低学年の自然発見の授業や、2017年から1年次から始まった英語学習も特徴的で、高校までの12年を通してさまざまな海外プログラムを用意しています。これからもさらなる教育内容の充実を目指し、中高等部との連携をより深め、教育の向上に努めてまいります。
そして、本校が求める子ども像についてですが
・身の回りのことを自分である程度できる子
・コミュニケーション力があり、みんなで楽しむために周りを見たりルールを守ったりできる子
・話を具体的にイメージしながら聞き取り、それを基に考える子
・話をよく聞いて素直にのびのび自己表現できる子
など多岐にわたります。試験では、話をしっかり聞くことができるか、最後まであきらめないで粘り強く目標に向かってやれるかどうか、その姿勢を評価させていただいております。
子どもの成長は非常に早く、それに対してのご家庭の取り組みもあるとは思うのですが、いつまでも親が手をかけると子どもの自立は難しいものです。ある程度我慢をして、認めて、見つめてあげること。多少の失敗があってもそれをやさしく包むようなご家庭であって欲しいと私は思っています。本校の全教職員もお子様と保護者のみなさまと誠実に向かい合い、将来社会に大きく貢献をなしうる人格の育成をめざし、全力を尽くしてまいります。
いかがでしたか。4月からは学校説明会や見学会などの公開行事が続々と始まります。早めに志望校を絞り、余裕を持ったスケジュールで進めるようにしたいものですね。
SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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