小学1年の家庭学習法をアドバイス! 中学受験で御三家に合格する子たちが低学年でやっていたこと
小学校に入学して早数ヵ月。学校にも少し慣れてきた今、気になるのが学習のことではないでしょうか。そこで、伸芽’Sクラブ学童で、公立小から私学・国立など、さまざまな小学1年生のお子さんたちを長年指導されている、伸芽会託児局の寺田佳代先生に「小1の家庭学習で注意したいこと」をお聞きしました。
実際に御三家中学に合格されたお子さんたちが低学年でしてきたこと、など中学受験を目指すご家庭へ向けた具体的なアドバイスも必見です!!
目次
低学年では学力より習慣化!小1の家庭学習の目安
1年生の宿題は簡単なものなので、学力の差がつきにくく、科目の好き嫌いもない状態です。だからこそ、この時期は先取り学力よりも、学習習慣をいかにつけるかに注力してください。なぜなら学習習慣が確実についていれば、先々難しい学習になり、塾通いが始まったとしても学力はどんどん伸びていくからです。逆に、1年生で学習習慣が定着していないと、4年生から塾通いが始まったときに量をこなしきれずにパンクしてしまうのです。
1年生の宿題時間は、集中力が持つ30分を目安にしましょう。
ではどうすれば学習が習慣化するのか。それは「この時間になったらやる!」「必ず毎日やる!」につきます。
習い事があって毎日同じ時間にするのが難しい場合は、お家に帰ってきて「おやつを食べたらやる」でもOK。遊んでからだと疲れて集中力がなくなってしまうので、「終わったら遊ぼうね」が理想。1年生から「そういうものだ」と思わせることが重要です。
ちなみに、親の方から「今から宿題やるよ!」ではなく、本人が自発的に始められるのが習慣化です。共働きや習い事で夕方は時間が取れない場合は、朝学習を習慣化するのもいいですね。そして、できた際は「自分から始められて偉かったね」「今週は毎日続けられたね」と思い切り褒めてあげることも忘れずに。1年生はまだまだ親御さんに褒められたい年齢です。褒められたら楽しい→好きになる→結果習慣となるのです。
とはいえ、新1年生の春は、新しい場所で新しいことをしているので、学校に行くだけでも疲れています。まずは宿題を終わらせることを目標に。
さらに注意したいのがGWや夏休みの過ごし方です。長期の休みや旅行でせっかく身についてきた学習習慣がリセットされないよう、可能であれば旅行先にもドリルを1冊持っていくのがおすすめ。休みの日でも「やるものなんだ!」と思わせることがポイントです。
小1の宿題「音読」で子どもを伸ばすコツ
1年生の宿題で必ず出される「音読」。忙しいと家事の合間に聞いてハンコを押すなんてこともあるかもしれせん。でもこの音読は、国語力を伸ばすにはとても大事なんです。
「行を飛ばさず読めているか」(集中力)
「単語ごとに正しく区切れているか」(語彙力)
「言葉の意味を理解しているか」(語彙力)
「登場人物の台詞のように読めているか」(表現力)
など、工夫次第で、語彙力以外にも集中力や表現力まで深められるのです。
意識したい点は、もし違う箇所があってもまずは終わるまで待って、「ここ違ってたよ」ではなくて「もう1回ここ読んでみて?」「こうできたらもっと花丸かも」「ここで区切ったほうが伝わりやすいよ」など、子どもの機嫌を損ねず、プライドを傷つけずに声がけすること!「うまくなってるね」「この言葉ってこれと似ているね」などと感想を言い合うのもいいですね。
また、個人差はありますが、読むのが好きでない子の場合は、「5分で読んでみよう」「1回だけ読もう」など目標を短く明確にするのがポイントです。上手にできなくても否定はしないこと。1年生にもなれば、上手くできてないことは自分でもわかっているものですから、お子さんの気持ちを汲むのを忘れないようにしましょう。
小1の宿題「書き取り」で見るべきポイントとは?
平仮名の書き取りは一見簡単かもしれませんが、雑なものだと学校の先生から「やりなおし」の指摘が入ることも少なくありません。最初は手間かもしれませんが、ご家庭でも1文字1文字褒めながら丁寧に書けるよう指示していきましょう。
伸芽’Sクラブ学童では宿題を細かくチェックしていますが、書き取りが雑な子の場合でも、1文字くらいまともな字があるはずなので、そこを指さして「この文字お手本と似てる!!他の字も同じように書いてみて!」とモチベーションをあげています。「やってみよう」と書きたい気持ちにさせるのがコツです。
やっと1P終わったら、「次の1Pは前のぺージより直しが少なかったらすごいよね!」と
過去の自分と比較して「もっと挑戦してみよう!」という気持ちにさせていきます。
丁寧に書いていて時間がかかる子は、スピード感はおいおい身についていきますから、1年生ならそのままで大丈夫です。「頑張ったね、すごくきれい!でも、そろそろごはんの時間よ」と褒めながら少しずつ時間を意識させてみましょう。
小1の宿題「計算」で親が意識したいこと
計算についてもモチベーションのあげ方は書き取りと変わりませんが、計算は練習あるのみなので、繰り返すうちにできるようになっていきます。競走が好きな男の子などはタイムを計って記録していくのもいいでしょう。反対に、競走が苦手な女の子の場合「失敗が嫌で間違えたくないからやりたくない」とならないために、他人と比べず、頑張った分を評価し、「できるようになるよ」と根気強く声がけしていくことがポイントです。
リビング学習でOK!家庭学習の環境で気をつけたいこと
学習環境は、リビングでも問題ありません。ただし、テーブルの上におもちゃがあったり、横で下の子がテレビを見ているなど、誘惑となるものはさけたいですね。また、学習習慣という言う意味では、たとえリビング学習でも座る位置や学用品置き場の定位置はあったほうがいいと思います。親御さんはつきっきりで見る必要はありませんが、同じ空間で別のことをしていて、わからなかったらすぐに聞ける距離感が理想です。まだ意志が弱い1年生のうちから個室である必要はありませんが、コミュニケーションがとれる状態がいいですね。学童などで宿題をしてくる場合は、わからない箇所に付箋をはるなどして、大変でも帰宅後にちゃんとやれているか確認をしてあげてください。
小1が肝心!「宿題を習慣化させる」約束の決め方
親御さんたちのお話を伺っていると、やはり一番悩ましいのが「約束の守らせ方」だと感じます。学習する意味もわからず、遊びたい盛りの1年生は、そう簡単に約束通りできないと思います。親が一方的に「宿題が終わるまで遊べません」と押しつけてしまうと受け身になりますから、まずは「本人を含めて約束を了承させること」です。「遊んでから宿題だと疲れて眠くなっちゃうと思うから、先にやった方がいいと思うけど、どう思う?」など、相談しながら家族でルールを決めていきましょう。本人も自分で「そうする」と決めたほうが、責任感が出るはずです。
といっても、簡単には守れないと思います。1年生で自分から宿題をやりたい子はまずいません。いたとしても「親が喜ぶから」言っている年齢です。ですから、粘り強く声がけして、守れなかったら×ではなく、守れたら褒める作戦を。宿題ができたらシールを貼って達成感を味わえるよう可視化したり、自分から忘れずに1週間宿題できたら週末に楽しい予定をご褒美にするのもいいでしょう。
そして、体調が悪い場合をのぞいては「今日はやらなくていいよ」の例外は作らないこと。一度破綻させるとすぐ壊れてしまいます。
学童の「集団の力」を上手に使おう!
伸芽’Sクラブ学童でも、毎年4月の時点では45分間席に座れない子が数名います。でも、5~6月になると座るのが当たり前になります。夏休み明けには自分から宿題を教えてくれるようになり、1年生が終わる頃には時間内で終われるようになる子がほとんどです。
このように、その子のペースで成長していけるのは、学童という「集団の力」の影響も大きいと感じます。1年生でも、みんなが宿題をやっている環境に身をおけば、やるのが当たり前となるのです。もし、自宅では勉強がはかどらないのであれば、学童を検討してもいいかもしれません。特に共働きの場合は、宿題をちゃんと見てくれる(丸つけまでしてくれる)学童を選ぶと、親御さんの負担が減り、生活リズムが作りやすくなり、夕食後に「まだ宿題やってないの!?」ではなく親子のコミュニケーションの時間が作れます。
学童に行く場合、注意したいのが頻度です。学習の習慣化が目的の伸芽’Sクラブでは週3以上としています。そうでないと、学童に行かない日にだらけてしまいせっかくの習慣が台無しになるからです。いくつかの学童をかけもちされるお子さんもいらっしゃると思いますが、できれば1つのところに週3以上通える場所を作ると、お子さんも居場所となり落ち着いてリズムが作りやすいと思います。
御三家に合格した子たちは低学年に何をしていたか
私たちは低学年からの塾通いはおすすめしていません。1年生から通って息切れしてし、5年生で嫌になってしまう例もよく見かけます。先述した通り、低学年は習慣さえついていれば4年からでも十分に間に合います。あまり神経質になって先取りするより、低学年では、いろんな経験で興味の幅を広げてあげてください。それがその後の強みになるはずです。
伸芽’Sクラブ学童には、ブライトキッズアカデミーという学童内の塾(1~3年対象)がありますが、1年生では、まず「考える習慣」をつける練習をし、3年生から希望の塾で入塾時にトップクラスに入れるような対策をしていきます。
低学年では、「難しいけれどあきらめないで考える」「工夫して考えたことをほめられた経験」「わかった気持ちよさ」が達成感につながると考えているからです。
実際に、伸芽’Sクラブ学童から中学受験で御三家に合格していくのは、学童のドッヂボール大会でリーダーになったり、サマーキャンプは皆勤賞だったりと、学習以外のさまざまなイベントに積極的に参加してきた子たちです。郊外イベントでも、漢字検定や算数検定のような学習系のイベントでも、とにかくさまざまなことにチャレンジしていくことが重要です。子どもは、実際に自分で体験したことでのみ、成長していきます。
そこで彼らは、目標のための努力の仕方を学び、失敗しながら達成感を味わっていくのです。子どもたちを見ていると、達成感は自分が本当にやりたいことでしか味わえないのだなと感じます。勉強も、いかに子どもたちが主体的になれるか、周りの大人はそれをどうサポートするかがカギとなるのです。
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SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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