立川国際中等教育学校附属小学校も登壇!多摩エリアの小学校受験事情と各校の特徴

立川国際中等教育学校附属小学校も登壇!多摩エリアの小学校受験事情と各校の特徴

2022年に開校した全国初の公立小中高一貫校である立川国際中等教育学校附属小学校を筆頭に、多摩地域の小学校受験が今注目を集めています。そんな中、5月11日に開催されたNPO学校支援協議会主催のイベント「多摩の初等教育の魅力を語る・4校シンポジウム」。

明星小学校、菅生学園初等学校、聖徳学園小学校、立川国際中等教育学校附属小学校の、多摩エリアをけん引する4校の校長先生らが、それぞれの学校の特徴や多摩エリアの子育ての魅力について語っています。

明星小学校の特徴

細水校長先生:明星小学校に来て7年目になりますが、この4月から幼稚園の園長も兼任しております。幼小中高一貫教育校である本校の教育目標は「賢さと豊かさを兼ね備えた輝きをもった人の育成」です。就任してから6年間は英語、理数、プログラミングに力を入れてきました。低学年から理科の授業を行い、算数では教えるのではなく引き出す授業を実践しています。英語に関しては、各学年週に2時間と公立小の3倍の時間を設け、ネイティブ講師とともに物怖じしない英語教育を行っています。今後3年間で掲げるテーマは「探求学習」です。
①問題を発見する力
②解決する力
③追及する力

という3つの力を身につけるべく、高学年からは24人の専任教諭が対応してゼミ形式の探究授業を行っています。

こうした魅力ある授業にするためには、教師一人一人の力が不可欠です。「どんな子に育ってほしいか」を全職員で共有したり、学校独自の教材を研究したり、各生徒の得意不得意を的確にとらえてアドバイスする力を養うなど、誰が担任になってもよかったと思える学校にすべく尽力しております。
学校HP(https://www.meisei.ac.jp/es/

聖徳学園小学校の特徴

和田校長先生:時代は今、先行きが不透明で、将来の予測が困難な“VUCA(ブーカ)時代”と呼ばれています(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性の頭文字の略)。
聖徳学園小学校では、そんな時代を生き抜くために、考える力のある子、これから伸びていく子を集め、特別な教育(英才教育)を実践している小中一貫校です。

生徒はもちろん、教員も個性的な先生が多いのも特徴です。一つの成果にすぎませんが、2010年には10名の東大合格者を輩出しています。また、小1から考える力を一生の財産にしていくプログラムを実践し、入学から毎年知能テストを行っており、卒業までにIQも大きく伸びています。

<卒業生68人のIQ伸び率>
+1~10 5人
+10~20 9人
+20~30 24人
+30~40 15人
+40~50 12人
+50以上 3人

小野先生(英語科主任): AIの普及により、将来的に今ある世界の仕事の約45%が無くなるとも言われています。
そんな時代を生き抜くために今必要なのは、一つ先を見越し俯瞰して見られる認知力です。そのためには、勉強の仕方も戦略的に変えていかなければいけません。

本校ではどの教科も教えすぎない、教え込まないアクティブラーニング形式の双方向型授業がベースです。力をいれている英語学習でも、文科省のテキストではなく、テーマを持った自作テキストを使っていて、たとえば理科とコラボした天体、歴史&地理とコラボした広島の原爆を英語の紙芝居で学ぶ教科横断型の授業があったり、小2から始まるライティングはフォニックス形式を導入し、小4では成田空港で英語のインタビューも行っています。

その結果、今年の小6の1月時点で英検5級が12人、4級が21人、3級が6人という成果も出ています(計60名)。
学校HP(https://el.shotoku.ed.jp

菅生学園初等学校の特徴

布村校長先生:本校は、東海大学系列校であり、小中高を有する西多摩地域唯一の総合学園です。
“自然が教科書”を建学の精神に掲げ、グローバルが当たり前となるこれからの時代に、レジリエンスを発揮しながら、かしこく、やさしく、たくましい子に育つよう、日々のさまざまな体験から生きた学びを実践しております。

特徴的な教育としては1学年1クラスの少人数制なので、手に取るように子どもたちの成長がわかることです。
自然の中での探究的な学びの他にも、中等部に医学難関大コースを設置、地元の横田基地のミドルスクールの子たちとの英語での異文化交流、非認知能力を鍛える全学年での宿泊学習などがあります。

また、本校の魅力は「食」と「空間」だと感じています。あきる野市の山に囲まれた豊かな自然環境や広々とした運動施設に加え、6階のカフェテリア(食堂)では、ホテルシェフの食事を給食として提供し、子どもたちの体づくりを食の面からも支えております。

他にも、習い事(サッカー、チアダンス、英語、日舞、茶道)を完備したアフタースクールや19時まで預かり可能な学童保育も完備しています。家庭と共同しながら子どもたちを育てていきたいと考えています。
学校HP(https://www.sugao.ed.jp/el/

立川国際中等教育学校附属小学校の特徴

横田校長先生:本校は、全国初の公立小中高12年間一貫校であるため、新しい教育システムの構築がミッションです。

12年間のさまざまな取り組みを通して、卒業した生徒が世界で活躍し貢献できる人の育成が目的としています。
令和4年4月に開校した新しい学校なので、現在は小3までしか生徒がおりませんが、中等教育学校とつながる空中歩廊、吹き抜けの開放的な視聴覚ホール、明るい光が注ぐ対話コーナーなど、校舎の隅々まで光と風がいきわたる学習環境となっています。

田中副校長先生:教育内容に関しては、
①探究的な学びで考える人
②語学力と言語能力で伝える人
③学びを実践する学校行事で行動する人
を育成したいと考えています。

探究学習では小1からタブレットを文具として活用しながら、成長段階に合わせて各教科の課題を掘り下げていきます。語学に関しては英語だけでなく多言語教育を重視し、小1から英語の発表の場にも力を入れています。

行事に関しては、小1では近隣の多摩動物公園見学で、生命の大切さや英語で学習した鳴き声を比べたり、小2ではTGGで学んだ英語を使う場を設けるなど、目的を明確にした体験を実践しております。
学校HP(https://tachikawa-e.metro.ed.jp

多摩地区での初等教育の魅力とは?

聖徳学園小学校 和田校長先生:本校は緑豊かな武蔵野市の武蔵境にあります。理科部が主催する星空観望会では、学校の屋上から観察していますが、これはこのエリアならではだと思います。
また、近場に自然豊かな公園がいくつもあるので、遠足や郊外活動でもたびたび活用できるのも魅力的だと感じています。

管生学園初等学校 村田教頭先生:本校は秩父多摩甲斐国立公園のエリアにありますが、豊かな自然とともに、環境問題も顕在化しやすい地域です。

感性が豊かな小学生の時期にこの環境で何を学べるかも重要だと考え、プログラミングで問題解決をはかったり、東海大学の人間環境学科の先生に総合学習のプログラムを考えていただいたりしています。身近な自然環境を生かして、SDGSを自分事に捉えられることも、この多摩地区ならではの魅力だと思っています。

小学校受験のメリット、さらに初等教育の意義とは?

立川国際中等教育学校附属小学校 横田校長先生:私学や国立以外にも都立一貫教育校など、さまざまな小学校がありますので、選択肢の一つとしてお考え頂ければと思います。都立校のメリットとしては、東京都の施策がすぐに反映しやすく、令和の日本型教育を見据えた個別最適な学びを意識した教育を実践できる点です。何より、私学を含めた一貫校は12年間という長いスパンの中で子どもたちを育てていくことが出来るのも魅力ではないでしょうか。

明星小学校 細水校長先生:私自身、公立も国立も私学も経験しましたが、それぞれのよさがあります。私学のよさは、学校の特徴に応じた教育(建学の精神)がある点です。初等教育の意義に関しては、私はみんなで学ぶ楽しさ、成就感、失敗(成功のもと)がいっぱい体験できることだと考えます。

明星小学校 夏坂副校長先生:今日のお話を伺っても4校それぞれのよさがあり、どの学校も素晴らしいと感じました。こうした特徴を理解して「わが子をここで学ばせたい」という同じ思いを持った家庭が集まるのが小学校受験のメリットの一つではないでしょうか。ぜひ一度足を運んで目で見て、お子さんに合う学校を選んでほしいと思います。

どのような国際教育を実践していますか?

聖徳学園小学校 小野先生:私は幼稚園から小中高大予備校まで、男子校女子校、アメリカの英語学校も指導経験がありますが、これからの国際教育とは、単に英語が話せて海外に行けばいいのではありません。

まずは自分の住む地域や日本のことを学び、自分の言葉で話せること。自分や周りのことがわかって、他者への思いやりがあってこそ留学して通用するのです。また、国際教育=英語力だけではありません。本校では、英語圏以外の方にも講演してもらい、子どもたちの知的好奇心をくすぐるような取り組みを行っています。

世界にはこんな国があって、いろんな生活があると視野を広げることが、初等教育における国際教育の目的だと思っています。

立川国際中等教育学校附属小学校 田中副校長先生:本校では語学力とそれを支える言語力をコンセプトに、多言語教育を展開しています。
具体的には、近隣の東京外国語大学、中央大学の留学生に定期的に来てもらい、6言語(英語、韓国、中国、ドイツ、スペイン、アラビア語)を遊びや歌、文字など体験を通して学んでいます。子どもたちと年齢の近い留学生のお兄さんお姉さんたちが、自国に戻って誰かのために学びを生かすという話は、子どもたちのロールモデルにもなっています。

東京都の施策としては、海外学校間の交流や姉妹校の締結にも力を入れているところです。今後は同世代の国際交流も深めていきたいと思います。

初等教育での探究学習はどのように取り組んでいますか?

管生学園初等学校 村田教頭先生:まずは社会の一員として、多数決ではない合意形成という解決策があることを、縦割り班を通して学んでいきます。実際にこの活動を始めてから学力が上がってきています。その理由は、自己肯定感、自己有用感が感じられることで、心が安定するためです。

結果、規範意識が育ち、しっかりと宿題をするようになり、授業がわかり面白いといった学びの好循環につながっているのではと考えています。これこそが探求学習の醍醐味なのではないでしょうか。

明星小学校 夏坂副校長先生:本校は5、6年生になると自分たちで決めたテーマで探究学習を行います。まずは各自調べたいテーマを理数、社会、語学などにジャンル分け、10人程度の班にして24人の職員がそれぞれの班についてゼミ形式で取り組んでいくスタイルです。

たとえば、先日は理数ゼミの5年生が「インコについて調べたい」と言っていましたが、何をどうやって調べていいのかわからない状態でした。生徒になぜインコなのかと聞くと「目が丸くて可愛いから」と答えました。そこから、なんで目は丸いのかな? 他の生き物の目はどう?などの問いをつきつめていけば、動物の目の研究に進むかもしれません。そんな普段何気なく見ているようで、よく見えていないことに気づき、問いをつなげていく時間にできたらと考えています。

自然豊かな環境だけではない、最先端の学びを取り入れた革新的な教育を実践する多摩エリアの小学校4校の取り組みはいかがでしたでしょうか。詳しくはそれぞれの学校のHPで説明会などをチェックして、実際に足を運んでみてください。

著者プロフィール

SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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