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小学校受験でわが子を「キラリと光る子」にするには?

小学校受験でわが子を「キラリと光る子」にするには?

小学校受験で合格する子や小学生以降に伸びる子の特長として「何か光るものをもっている子」「他の子となにか違う子!」と言われることがあります。
そこで今回は、「わが子をキラリと光る子にするために、親は幼少期にどんなことを意識した子育てをすればいいのか」についてまとめてみました。お話を伺ったのは、伸芽会の牛窪先生です。


牛窪基久先生(伸芽会教育研究所 情報室室長)
受験指導歴42年。楽しいお話でお子様や保護者から親しまれる人気教師。慶應幼稚舎、暁星小学校に約300名、横浜雙葉小、精華小に約300名など、合格実績多数。

 

小学校受験で合格するのは「先生が教えてみたい子」

まずお伝えしたいのが、小学校受験で合格するのは「なんでもよくできる子や目立つ子」だけではありません。
アスリートならばトップの成績を目指す必要があるかもしれませんが、小学校受験はそうではないからです。例えるならば、お城の門を打ち破るのがスポーツであるのに対し、小学校受験は門を開けてもらえばいいのです。ではどうすれば門を開けてもらえるか。
それは、試験の門の開閉権限のある学校の先生たちに「教えてみたい子」と思ってもらうことです。
クラスに30人の生徒がいてあなたが担任だったら、全員を積極性がありなんでもできる子にしたいですか? 地味だけど頑張る子、皆の意見を上手にまとめられる子など、さまざまな個性の子をとりたくありませんか?

集団の中で「キラリと光る子」の定義とは?

「先生が教えてみたい子=キラリと光る子」だと仮定した場合、集団の中でキラリと光る子というのはどんな特徴があるのでしょうか。
もちろん、学校によって「活発な子」「礼儀正しい子」「優しい子」「自立している子」など求めるポイントは違います。

ですが、伸芽会の創設者である大堀秀夫先生曰く、
学校側は「知りたいことや不思議がたくさんある状態で入学する子を求めている」と言っています。具体的にどんな子かというと、
・感性が豊かで素直な子
・問題解決できる子
・最後までやり通せる子

だと私は考えます。

なぜなら、先生たちは、授業で先生よりも先に答えを言ってしまうような子ではなく、「なぜだろう?」と素直に疑問を持ち、無我夢中で試行錯誤し最後まで考え通す、そんな子たちと授業をしたいと思っているからです。

プロが「キラリと光る」と感じた瞬間

これまで多くの子どもたちを名門小学校に合格させてきた牛窪先生。過去に「この子はキラリと光る」と感じたエピソードをお聞きしました。

・試験中に「この学校入りたい!」と熱望したA君

行動観察の試験中、真剣に取り組みすぎて、椅子に胡座をかいて座りプリントをやっていると先生が横に立ったので「僕この学校に入りたいな」というと、先生は「頑張れば入れるよ」と言って、姿勢を直させることなく去っていったそうです。その素直さと熱意が伝わり、A君は見事名門男子校に合格しました。

・絵画の課題で「欲しい色を混ぜて作った」Bちゃん

今は30色入りなどのクレヨンもありますが、私はできれば最低限の12色くらいのクレヨンを使うようおすすめしています。ある絵画の授業で、普段から豊富な色数のクレヨンで絵を描いていた子たちは欲しい色がないと手が止まっていましたが、そんな中「ない色は混ぜて作ればいい」という発想のBちゃんは、集団の中でも「試行錯誤していて素晴らしいな」とひと際目に留まりました。もちろん本番でも力を発揮し難関校に合格していきました。

・やったことがない問題でもひるまず挑戦したCちゃん

受験対策をある程度してくると、自分の解ける問題が見た瞬間に分かってしまう場合があります。逆に言うと「見たことない問題は解法がわからず解かない子」も出てきてしまうのです。そんな中、やったことがない問題でもひるまず試行錯誤してチャレンジしていたCちゃんは本番でも実力を発揮し第一志望校に合格していました。

ペーパー試験も面接もない慶應幼稚舎に合格する子はどんな“キラリと光る子”なのか

たとえば、ペーパーテストも面接もない再難関校の慶應幼稚舎では、グループ遊びや運動テストの試験を通して、まさにその子のキラリと光る一面を探していると言えます。

これまで慶應幼稚舎に合格した多くの子たちと接してきましたが、共通しているのは「発想力が豊かである」こと、そして「得意な何かをもっている」ことです。
絵画や制作の課題で、自分の世界やイメージを楽しみながら表現できたり、「電車のことなら何でも知っているよ」「ボールつきなら何回でもできるよ」などと目を輝かせて夢中になれるものがあるかどうか。それらの“発想力”や“得意なこと”を、ご家庭でゆっくりはぐくまれてきたかを試験では見ているわけです。

つまり、小学校考査における絵画とは小学校で言う作文と同じで「何を伝えようとしているか」が一番大切であって、絵が上手、きれいに描けることは「字が上手、きれい」と同じだと思います。「絵『を』かくのではなく、絵『で』何を表現したいか、伝えたいか」が大切なのです。

わが子の光る種を見つけるには早期教育ではない

小学校受験に関わらずとも、小学校以降でわが子を「光る子」にするためには、幼児期に何でも先取りすればいいというわけではありません。混同されがちですが、幼児教育と早期教育は異なります。「3歳で九九が言える」とか「プリントを何十枚できる」といった早期教育は就学後でいいのです。幼児期は、自分なりの道筋でものを考えたり、学ぶことが楽しいと思える子にすることが、結果的に光る子になっていくのです。

親が意識することは
・子どもに判断させる癖をつける
・本物に触れる体験をさせる

算数にしても、足し算引き算と言った演算(早期教育)を覚える前に、ウサギが2匹→おはじきが2個→、〇が2つと段階を踏んでいく経験が大切なのです。演算だけ先取りしてしまって、ウサギを見たり触れたりしたことがない子は、おはじきや〇に置き換えられなくなってしまいます。

ですから、物事が抽象的に考えられるようになる9歳頃までに、どろんこ遊びや自然観察などの外遊びをする、走ったり飛んだり登ったり運動遊びをする、博物館や科学館に行って興味の幅を広げる、お家の中でもブロックをしたり絵を描いたり、水遊びをしてあげてください。こうしたさまざまな経験をしていくうちに、その子の好きなものや落ち着くところが見つかっていきます。それがその子の個性であり、その後光る種になっていくのです。

【まとめ】

小学校受験における幼児教育の考え方は、早く解くための答え方を教える早期教育ではなく、ものの見方や考え方、取り組み方を指導するというものです。
料理で例えると、フルーツナイフや刺身包丁など専用の包丁がなくたって出刃包丁が1本あれば、ケーキもお刺身も工夫次第でカットできるという考え方です。

親御さんも普段から「これがないからできない」ではなくて「大丈夫、何とか工夫してやってみよう!」と思って行動したりお子さんと接したりすることで、お子さんが「問題解決できる子」「最後までやり通せる子」になり、将来さまざまな課題に立ち向かえるような光る子になるのではないでしょうか。

著者プロフィール

SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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