オーストラリアはエシカルスイーツで子どものエコ意識を育む【海外のおやつ】

オーストラリアはエシカルスイーツで子どものエコ意識を育む【海外のおやつ】

自然豊かな環境に囲まれたオーストラリアでは、サステナビリティと環境保護への意識が根強く、日々の暮らしにも浸透しています。子どものおやつに対する意識も年々高まり、エシカルな原材料や環境に配慮した商品が重要な選択肢になりつつあります。オーストラリアのエコ意識を取り入れたおやつの選び方や、日本でも実践できる食育の実例を紹介します。

サステナブルな製品づくりを推奨

オーストラリアではサステナブルな手法で栽培・製造された食品であることが重視され、とくにチョコレートやスナックの業界ではその傾向が顕著です。

チョコレートのCadburyをはじめとする大手メーカーは、カカオの調達先がエシカルであることを保証するフェアトレード認証を取得しています。

こうした取り組みは原材料を提供する農業を支援し、児童労働や環境破壊といった社会問題の改善にもつながります。

親たちの間でも、環境配慮型のおやつを積極的に選択する意識が高まっています。オーガニック農法で栽培された果物や、添加物を使用せず自然由来の材料で作られたスナックなどは、からだにも環境にも優しいおやつといえるでしょう。

リサイクル可能なパッケージが主流に

リサイクル可能なパッケージが主流に
リサイクル可能な素材をパッケージに採用するメーカーが主流となった

環境意識の高まりとともに、おやつのパッケージにもエコフレンドリーな工夫が施されています。

リサイクル可能な素材や堆肥化可能な生分解性素材をはじめ、森林の管理や加工・流通過程が適切に行われたことを保障する「FSC認証」を取得した紙を使った包装材などが主流です。

計り売りのナッツやドライフルーツなどは再利用可能なジップロック式の袋やプラスチックフリーの紙袋で提供されるため、おやつの購入時も環境配慮への重要性を意識する機会となります。

エシカルなおやつを活用した食育を実施

また、オーストラリアの家庭や教育機関ではエコ消費や環境保護について子どもたちが学べるように、食育の一環としてエシカルなおやつが選ばれています。

家庭では、買い物や調理の際に家族が一緒になって食材のラベルを確認。フェアトレードやオーガニックの表示がある商品を選ぶことを通じ、SDGs(持続可能な開発目標)や環境に配慮した消費の重要性を学ぶようにしています。

保育園や小学校でもエコフレンドリーなおやつを提供し、「どのように作られたものを食べるべきか」を子どもたちに考えさせる学習を取り入れています。

このように、おやつを通じて環境保護やサステナブルな社会を実現するための価値観を育てることが、食育の重要な要素として認識されるようになりました。

学校や社会で食品ロス削減の意識を育む

学校や社会で食品ロス削減の意識を育む
主要なスーパーでは食品ロス削減を目的に無料のフルーツが提供されている

学校の庭で野菜を育てる「スクールガーデン」や地元で採れる食材を使った料理教室なども、食育のためのよい機会といえるでしょう。食材がどのように育ち食卓に届くかを学ぶと同時に、食べ物を無駄にしないという意識も身に付きます。

多くの学校では、コンポスト(堆肥化)プロジェクトを実施。食べ残しを再利用してスクールガーデンに使うことで、食品廃棄物削減や循環型社会の重要性を学ぶという教育も行われています。

大手スーパーでは食品ロス削減の取り組みとして、売り物にならない不ぞろいのバナナやリンゴを子ども向けに無料で配布する活動が広がりました。

廃棄されるはずの食品を有効活用するだけでなく、子どもたちが食べ物の大切さを自然に学べるきっかけにもつながります。

おやつタイムにおすすめの工夫やアイデア

オーストラリアの家庭で実践されている事例を以下で紹介します。どの家庭でも工夫次第で、日常のおやつタイムをエシカル学習につなげられるのではないでしょうか。

・フェアトレード商品を選ぶ
チョコレートやスナック菓子はフェアトレード認証マークのついた商品や生産地のサポート活動をしているメーカーのものを購入し、その背景について子どもと話し合う。

・地元産の季節の果物を活用
地元生産者の元で収穫された果物を使い、スムージーやフルーツヨーグルトなどの簡単なおやつ作りを楽しむ。

・リサイクル意識を高める
プラスチック材料の削減を意識し、再利用可能な素材を使ったおやつ容器やお弁当箱を用意する。

・食材のストーリーを伝える
おやつに使われた食材がどこから来たのか、どのように作られたのかを説明し、環境や生産者への理解を深める。

・食品ロス削減を学ぶ
余った食材を活用してクッキーやケーキを焼くなど、食材を無駄にしないアイデアを取り入れる。

まとめ

オーストラリアでは環境保護やエシカル消費を考えるきっかけの場として、日常のおやつが単なるおやつタイム以上の役割を果たしています。

おやつ選びやおやつタイムにちょっとした工夫を取り入れることで、楽しみながら子どものエコ意識を育むことができるのです。

ご家庭のおやつタイムを、小さな教育の場として活用してみてはいかがでしょうか。

執筆者/服部暁美

著者プロフィール

世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。

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