アメリカのPTO活動とは?PTAとの違いや保護者の不満なく運営できる理由
PTA活動と聞くと、「できれば役員は避けたい」などと考えてしまう人も多いのではないかと思います。アメリカには日本のPTAと同じような「PTO」という組織がありますが、活発に活動しさまざまな学校イベントに積極的に関わっています。日本とは違って不満はあまり聞かないのですが、それはなぜでしょうか?
目次
強制ではないPTOの加入や活動
アメリカの小中学校には非営利団体が運営するPTAと、各学校が自分たちで運営するPTO(Parent Teacher Organization)があります。PTOはそれぞれの学校の保護者たちによるボランティア団体で全米PTA団体には未加盟ですが、アメリカではPTOの方がメジャーで全体の約75%を占めています。
活動内容は、季節イベントの企画、資金集め、先生のサポート、校舎や校庭の美化活動など。学校と協力しながら、手が足りていない部分の活動を担っているのがPTOです。
新年度になると、学校からPTO加入勧誘のプリントやEメールが保護者に届きます。PTO加入はあくまで任意のため参加したい人はこの時に申し込みますが、申し込まない人の方がはるか多数です。
ただ、PTOに加入しなかったからといって、自分の子どもがイベントに参加できないなどのペナルティは一切ありません。
PTOメンバーは定期的にミーティングや美化活動に参加することになりますが、これもまた強制参加ではありません。「なるべく参加してくれるとありがたい」程度の推奨度です。
「やれる人がやれることをやる」との考えが浸透
加入が任意であり、さらに加入後も活動が強制されないアメリカのPTO。こうなると、果たして活動に必要な人材が確保できているのかどうかが気になると思います。
ボランティア精神が根強いアメリカでは、「助けを必要とする人がいれば、無償であっても力になってあげたい」と考える人がたくさんいます。そのため、わが子が通う学校の力になりたいからと、PTOに応募する人が毎年一定数います。そして、時間と労力を惜しまず、積極的に学校活動に関わっていきます。
また、PTOに加入していなくても「できる範囲でサポートする」という考えのもと、多くの親がPTO活動に協力します。アメリカには「やれる人が、自分のやれることを、やれる分だけやる」という考え方が浸透しているからです。
PTOメンバーや教師からのリクエストを受けて、工作材料を購入して学校に届けたり、遠足に付き添ったり、特別ゲストとして本の読み聞かせをしたり、イベントの手伝いをしたりします。特殊な仕事や特技を持つ親が、学校で講演会を開くこともあります。
時間がある人は行かれる時に学校へ手伝いに行き、時間はないけれど金銭的に余裕がある人は物品の購入やお金の寄付で援助をする。何も貢献できなくても、それはそれで問題なし。そんな体制がPTO活動を支えているのです。
PTOの参加にはメリットも
とはいえ、共働きも多いアメリカにおいて、PTO活動は時間を取られるうえに負担も軽くありません。それでもPTOメンバーになるのは、日本でも同じかもしれませんが下記のようなメリットを見込めるからです。
●わが子の学校での様子を身近で見られる
教室で子どもたちのサポートをする機会も多いため、クラスの雰囲気やわが子の学校での過ごし方を知ることができます。
●学校の情報をいち早く入手できる
ほかの親よりも早く新情報を知ることができたり、貴重な情報を得られたりするチャンスがあります。
●教師やほかの親との交流度がアップする
教師やほかの親と親交を深めることで、さまざまな相談ができアドバイスも得やすくなります。
●就職時に経歴としてアピールできる
アメリカはボランティア活動を重視する文化のため、求職活動の際にPTOメンバーとして取り組んだ活動を履歴書に記載することで自己アピールできます。これは日本にはないメリットといえるでしょう。
まとめ
日本では子どもの学校生活をサポートしたくても、時間的・金銭的な余裕を考えるとなかなかPTA活動に踏み切れない人が多いはずです。
一方、アメリカのPTOでは「どこまで協力できるかは人それぞれ」という各家庭の事情を踏まえたシステムが上手に機能しているといえます。
最近は日本でも、「無理せず、自分ができる時にできる範囲のサポートをする」というPTOのスタイルを取り入れている学校があるようです。
こういった柔軟な考え方がほかの学校のPTAにも広がっていったとしたら、積極的に参加する保護者も増えていくかもしれません。
執筆者 / 長谷川サツキ
<参照サイト>
https://www.ptotoday.com/pto-today-articles/pto-vs-pta-faqs
https://minesho-pto.com/
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