アメリカのバレンタインデーは日本と違う?小学生がバレンタインを通して学ぶ5つのこと
バレンタインデーは好きな男の子にチョコレートをプレゼントして告白する、女の子にとって一大イベントの日ですね。ただ、アメリカのバレンタインデーは日本と大きく異なり、幼稚園や小学校では大切な学校行事となっています。アメリカの子どもたちがバレンタインデーを通して学ぶ5つのことを紹介します。
目次
授業で愛の「概念」や「語彙」を学ぶ
アメリカのバレンタインデーが日本と決定的に違うのは、意中の人だけではなく、家族や友人、お世話になっている人たちに愛と感謝の気持ちを届ける日だということ。女性も男性もプレゼントを用意し、みんなで贈り合います。
幸せ、共感、感謝、ときめきなどプラスの感情を思い浮かべると、どれも根底に「愛する気持ち」があることに気付きます。2月に入るとアメリカの小学校ではバレンタインデーにちなみ、「愛」をテーマにしたさまざまな授業が数多く行われます。
その1つが、愛という「概念」と、愛に関連する「語彙」を学ぶことです。感謝、幸福、尊敬、親しみ、共感など、「愛」に当てはまる言葉を書き出し、言葉の意味の違いやどんなシーンで使うのかなど、実際にクラスメイトたちと試しながら学びます。
授業では、普段は耳にしないような、少し難しい言葉が登場することも。この時期になると、単語テストでは愛に関連した単語がずらりと並びます。
また、これまで愛を感じたことや感謝したことなど、自分の体験を皆の前で発表することもあります。このように、愛に関連する概念や語彙に数多く触れることで、学びへとつなげるのです。
幼稚園では、愛や感謝、思いやりをテーマにした絵本の読み聞かせが、この時期における定番のアクティビティとなります。
ソーシャルスキルを育てる
思いやりを持って他者と関わり、良好な人間関係を築いていくソーシャルスキルは、その子の人生を何倍も幸せにしてくれる力を持っています。ソーシャルスキルが向上すると他人とのコミュニケーション力もアップし、勉強面や仕事面でよい成果が出ることが分かっています。
バレンタインの時期、学校ではスクールカウンセラーがさまざまなシーンの映像を子どもたちに見せ、「あなたならどう行動する?」「相手はどんな気持ちだと思う?」とソーシャルスキルに関する質問を投げかけます。子どもたちは考え、自分の意見をまとめ、発言し、ほかの人の意見にも耳を傾けて、良好な人間関係の作り方を学んでいきます。
また、バレンタインデーは、日頃身に付けたソーシャルスキルを発揮できるチャンスでもあります。子どもたちはクラス全員分のお菓子を用意して登校し、「どうぞ」「ありがとう」とコミュニケーションしながらクラスメイトとお菓子を交換し、楽しいひとときを過ごします。
自己肯定感を高める
アメリカの小学校では子どもの自己肯定感を高めるために、日ごろから「自分は愛されている」ことを認識できるような取り組みに力を入れています。周りから愛され、そんな自分自身に満足して自信を持つことができれば、人生をポジティブに捉えられるからです。
幸せな人生を送るうえで大切な要素である「愛」についてバレンタイン期間にいろいろ学んだ経験は、自己肯定感の向上につながるはずです。
公共サービスやボランティア活動の仕組みを知る
アメリカはボランティア活動が盛んな国で、小学校でも寄付や慈善活動に積極的に取り組んでいます。そのため、子どもたちは幼い頃からボランティア活動を身近に感じながら成長します。
バレンタインの時期は、愛や思いやりの気持ちから生まれた公共サービスやボランティア活動について学ぶ良い機会となります。社会にはさまざまな困難に直面している人がいることや、自分が寄付した食べ物やお金がどのような経路をたどって必要としている人に届くのかなどを学びます。
例えば、公共サービス施設の職員をゲストスピーカーに呼んで話を聞いたり、社会見学で活動現場を訪れて実際に見たり聞いたりします。これらの体験が、「よりよい社会をつくるために自分は何ができるか」を真剣に考えるきっかけとなっていくのです。
地域社会と交流する
小学校の子どもたちが手作りのメッセージカードやプレゼントを地域の人たちに届けるのも、よくあるバレンタインデーのイベントです。水道局員や病院のスタッフなど社会のために働いている人たちや、介護施設の高齢者などに、「ありがとう」や「大好きだよ」といったメッセージを届けます。
子どもたちはこのような地域活動を通し、普段何気なく過ごしている日々が多くの人たちの支えによって成り立っていることを学んでいきます。
おわりに
アメリカの小学生たちが、バレンタインデーを通して学ぶ5つのことを取り上げてみました。次回のバレンタインデーにはアメリカ流を取り入れ、お子さんと一緒に「愛」について話し合うきっかけにしてはいかがでしょうか?
執筆/長谷川サツキ
<参照URL>
https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/13024511/www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/ishiki/h30/pdf-index.html
出典:内閣府(発行年:令和元年6月)
資料タイトル:我が国と諸外国の若者の意識に関する調査
該当ページ:第2部 調査の結果 > 第1章 人生観関係 > 1.自己認識 > (1)自分自身のイメージ > 【国別】(8ページ)
https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/13024511/www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/ishiki/h30/pdf/s2-1.pdf
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