他人事ではない!将来「引きこもり」にさせないために親が気をつけるべきこと
現在、引きこもりと言われる若者は約70万人いるという調査結果が出ています。(2016年6月内閣府調査)この数字からも今、子どもを持つ親は、決して他人事ではないということが分かると思います。
もちろん、親は不登校や引きこもりにしようと思って育てたわけではないのですが、何気ない日常の会話や子どもへの関わりが、原因のひとつになっていることは確かでしょう。
将来子どもをひきこもりにしないようにするには、親はどのようなことに気をつけて子育てをすればよいのでしょうか。
目次
1.子どもが頑張ったことは、一旦認めて褒めてあげましょう
「這えば立て、立てば歩けの親心」ということわざがあるように、子どもが一つできると、さらなる上を望む親は多いでしょう。それはある意味、親の愛情であり、子どもの意欲にもつながります。ですが、あまりにも急に、どんどん上を子どもに望むと、逆効果です。
お手伝い、勉強、スポーツ……何でも一生懸命、頑張ってやっと達成できたことに対し、「もっと、もっと」と上を要求すれば、子どもは努力が報われない気持ちになり、やる気も失せてしまいます。親の期待通りに頑張ってきた子が、ある時限界になり、キレるか無気力になり、引きこもってしまうことがあります。
子どもが頑張ってできたことは、一旦それを認め、褒めてあげましょう。そして過度なプレシャーを与えないことを心に留め、そのうえで向上心を抱ける言葉がけをしてあげてください。
2.選択肢はひとつでないことを伝えておきましょう
例えば、大学は「○○へ行かないとダメ」、職業は「必ず△△になりなさい」など、親の価値観で決めた将来以外は、認められない、価値がないかのように言っていると、その道に進めなかった場合、「自分には価値がない」と喪失感に苛まれ、引きこもってしまうことがあります。
人生にはたくさんの選択肢があり、人それぞれ、無数の生き方があります。そのことを常に話し、子どもが選んだ人生を尊重してあげましょう。
3.分岐点に立った時の決断は自分でさせましょう
人生には、さまざまな分岐点があります。結婚、就職、進学など大きな分岐点もあれば、喉が渇いたので、ジュースを飲もうか、お茶にしようか、今日の外出には、上着が必要だろうか、それともブラウスだけでいいだろうか……など小さな分岐点に立つこともあります。
その時、「お茶にしなさい」「上着を着て行きなさい」と親が指図すると、決断をいつも親に委ねるようになります。すると、責任も人に委ねるようになり、やがては人生の責任も人に委ね、引きこもるようになる場合があります。
子どもが何かの分岐点に立った時は、自分で考え、決断させるようにしましょう。たまにその決断が誤っていても、子どもの頃の失敗は、今後の学びになります。
SOSサインを見逃さないよう親子の信頼関係をしっかり築いておきましょう
引きこもりは、これらさえきちんとしていれば心配はない、というわけではなく、さまざまな要因が複雑に絡まって引き起こされます。
また、幼い頃、登園や登校を嫌がったりしていた子は、一見不安に感じますが、実は従順に親の言うことに従ってきた子より引きこもりになりにくい、と言われています。なぜなら、その時SOSのサインを出せているからです。親が気をつけなければならないのは、何のサインも出せない子どもです。
子どもが何かに行き詰まった時、心が傷ついた時、サインを出せるよう、またそのサインを見逃さないように、日頃から子どもの声をしっかり聴いて、親子の信頼関係を充分深めておきましょう。
公立幼稚園、小学校での勤務、幼児教室を7地域で展開、小児病棟への慰問、子どもの声を聴く電話相談など、多方面から多くの子どもに関わる。そのような中、子育てに熱心な
故に、その愛情が焦りとなり挫折、絶望感を抱いている親子が多いことに心を痛める。
「子どもの自立」「自己肯定感」「自己制御力」を柱とし、真に子どもの能力を開花させる子育て法を広める活動を2010年から始める。
現在、息子は大学病院で医師として、娘は母子支援の職場で相談員として勤務。実生活に落とし込んだ、親の心に寄り添う記事に定評がある。「難しいことを分かり易く、ストンと腑に落ちて行動に移せること」を理念とし、現在は執筆、講演、幼児教室を中心に幅広く活動中。
資格:小学校教諭・幼稚園教諭・保育士・日本交流分析協会 子育ち支援士
著書:『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(株)KADOKAWA