親の利便性が一番? アメリカにおける離乳食の考え方とリアル

親の利便性が一番? アメリカにおける離乳食の考え方とリアル

赤ちゃんは、生後6ヶ月前後になるといよいよ離乳食がスタートします。月齢や栄養バランスを考慮しながら毎日離乳食を準備するのは、母親にとって本当に大変だと思います。ただ、国によって料理が違うように、離乳食のメニューやアプローチも国ごとに異なります。今回は、日本人から見ると驚くようなアメリカにおける離乳食のリアルについてまとめました。

市販ベビーフードを使うのが一般的

せっかく時間や手間をかけて離乳食を作ったのに、赤ちゃんが食べてくれずガッカリという経験をした方も多いのではないでしょうか。

合理主義のアメリカでは、離乳食は市販のベビーフードを使うのが一般的です。もともと日本に比べて料理に時間をかけないお国柄ですから、離乳食にもあまり手間をかけません。スーパーには瓶詰タイプ、スプーンなしで直接飲めるパウチタイプ、水を加えて使う乾燥タイプなど、さまざまな離乳食がそろっています。どれも手間いらずで、外出先でも簡単に準備できるものが多いのです。

もちろん手作りを好む母親もいますが、こちらも調理方法はシンプルという印象です。離乳食初期なら、フルーツや野菜をブレンダーに入れ、水や液体ミルクを加えてペースト状にするだけ。食材にだしを加えて煮込んだり、網でこしたりという作業はしません。赤ちゃんが手づかみできるようになったら、切ったフルーツや茹で野菜をお皿に盛って離乳食完成です。

デビュー食のおかゆも水を加えるだけ

アメリカでは、生後4~6ヶ月頃から離乳食がスタート。この時期の離乳食には、サツマイモ、インゲン豆、にんじん、バナナ、りんごといった単一食材のピューレを利用します。

日本と同じく「初めての離乳食はおかゆ」という赤ちゃんも多いです。とはいえ、日本のようにお鍋で作るわけではありません。ライスシリアルという、水を加えただけで粥状になる市販品を利用します。白米、玄米、オートミールなどの種類があり、ミルクを加えたり、スープに混ぜたりと幅広く活用できます。

アメリカでは、鶏、豚、牛といった肉類もこの時期から食べ始めます。ただ、理由はわかりませんが魚を離乳食に使うケースはあまりなく、市販のベビーフードでもまず見かけません。

オーガニックにはこだわる一方で味には無頓着

日本で市販されている離乳食は、種類が豊富で味付けも美味しそうなものばかりです。和風、洋風、中華風など多種多様なメニューから選べます。

  

ところがアメリカでは日本ほど子どもの食育が意識されておらず、味には無頓着な印象です。離乳食の中期から後期にかけてのベビーフードでも、味付けを一切していない商品がたくさんあります。フルーツなら甘味があってそれだけでも十分美味しいのですが、野菜や穀物といったメニューだとかなり淡白な味わいです。

なかには、「グリーンピースとビートとチキンのスムージー」といったびっくりメニューもあります。食べてみると正直美味しいとは言い難く、このあたりは日本の離乳食と大きな隔たりがあると感じます。

その一方、オーガニック製品は豊富で、各種ブランドからオーガニック食材を使用した商品が発売されています。アメリカの離乳食は風味や味付けにはこだわらないものの、素材のクオリティを重視する傾向にあるようです。

1歳頃には離乳食はほぼ完了、ピザは1歳で解禁

日本の離乳食は月齢が進むに従い食材の形状や固さがステップアップしていきますが、アメリカでは月齢が上がってもペースト状の離乳食が続きます。生後8ヶ月頃になり手づかみできるようになると、ようやく固形の食べ物が増えて幼児食らしくなります。

日本では離乳食は1歳半頃まで続きますが、アメリカでは1歳頃にはほぼ完了し、大人と同じメニューを食べ始めます。ピザを食べる1歳児も珍しくありませんし、1歳の誕生日には生クリームと砂糖たっぷりのケーキをほおばります。日本の感覚ではびっくりしますが、これも文化の違いなのでしょう。

まとめ

市販のベビーフードを積極的に使い、味付けよりも素材を重視し、1歳には完了するアメリカ式離乳食。味や進め方に細やかな配慮が見られる日本の離乳食に比べるとかなりシンプルな印象ですが、母親にとっては負担が少ないというメリットもあります。離乳食づくりに疲れたら、ときにはアメリカ式を採用してみるのもよいかもしれません。

執筆者:長谷川サツキ

<参考サイト>
https://www.babycenter.com/baby/solids-finger-foods/age-by-age-guide-to-feeding-your-baby_1400680

著者プロフィール

世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。

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