「自己肯定感」が強いブラジル人!背景にあるのは学校教育や社会環境

「自己肯定感」が強いブラジル人!背景にあるのは学校教育や社会環境

ブラジル人は陽気でおおらかと言われていますが、さらなる特性として自己肯定感の強さが挙げられます。幸福と感じている人の割合も高いとされ、その背景には幼児の頃からの学校教育や子どもを取り巻く社会環境があるようです。

自分や家族について知ることから学ぶ

自分や家族について知ることから学ぶ
ブラジル幼児教育は日本のようにルールを守るといった社会的な内容ではなく、自分のアイデンティティを徹底的に分析することから始まります。

自分の似顔絵を描く、自分のからだについて知る、自分の家のことを学ぶなどを通して、作画や文字、数的感覚などの自己表現力を身に付けていくのです。

小学生になると1年生から歴史の授業がありますが、まずは自分や家族について知ることからスタート。

生まれた時のことや名前の由来、家族のルーツ、祖父母のインタビューという自ら調べたり聞いたりして学習することから始まります。その後、徐々に外の世界や他者について学ぶ内容になっています。

ブラジルはヨーロッパ、中東、アジア、アフリカといった世界中にルーツがある人たちで構成されているため、自分のルーツについて知る教育内容も盛り込まれています。

人種差別に対しても厳しい法律があるので、どのようなルーツの人でも尊重されるような教育が基本です。

スキンシップで始まりスキンシップで終わる挨拶

スキンシップで始まりスキンシップで終わる挨拶
子どもが「自分は人から愛されている」という実感を高められる要因の1つに、挨拶の文化も関係していると言えます。

ブラジルでは家族や親戚、友人に会った時に、男性同志は握手、女性同志はハグやキス、男性と女性の場合は握手または頬を寄せ合うキスをします。別れ際にも同じように挨拶をする習慣があります。

我が子の学校で登校の様子を見ていると、送ってきた保護者たちはキスやハグで見送ります。下校のお迎えでは、子どもが保護者の胸に飛び込んでいく様子もよく見られます。

学校内でも、友人や先生と会った時にキスやハグをする場面が目立ちます。

ブラジル人は子ども好きな人が多く、街で子どもを見かければ「かわいい!」「お人形みたい!」などと声をかけてきます。
子どもを褒めてくれる機会がとても多いことも、素敵な特徴と言えます。

このように、親や家族、周りの人たちが子どもと頻繁にスキンシップをしたり、「大好きだよ」「可愛いね」など愛されているという自信につながるような声かけをしたりという習慣は、ブラジルの日常生活でとても大切にされています。

安心できる親子関係や人間関係を築けるとともに、子どもの自己肯定感を高めることに役立っているようです。

SNSの投稿からもわかる自己肯定感

インスタグラムなどのSNSを見ると、投稿する写真でもブラジルならではの国民性が垣間見えます。

ブラジルでも「インスタグラマーヴェウ」という「インスタ映え」に該当する言葉があり、インスタ映えするスポットが急激に増加。そのような場所で撮った投稿では、家族や自分を被写体としたものが多く見られます。

そして、たとえ水着姿の投稿写真であっても、体型にかかわらず誰でもが臆さず自分を見せています。

否定的な見方をする人はおらず、コメント欄も「素敵!」「きれい!」といった前向きな言葉であふれています。

自分に自信を持ち、誇りに思うことができるブラジル人の自己肯定感の強さは、このようにいたる所で確認できます。

まとめ

自分自身やそのルーツを徹底的に分析する学校教育をはじめ、家庭・学校・社会での圧倒的なスキンシップの多さ、周囲が褒めてくれる子どもに寛容な社会、という3つの環境が、ブラジル人の自己肯定感の強さを育てているようです。

自分が愛され尊重されて育ったという実感は大人になっても簡単には消えず、他者を尊重することにもつながっていくと思います。

著者プロフィール

世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。

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