子どもの地頭を育てるコツ&おすすめの遊び方
「地頭がいい子 」という言葉がありますが、「地頭」とはそもそも生まれ持った能力やセンスなのか、それとも後天的に伸ばせる力なのでしょうか。今回は伸芽会の飯田道郎先生と大西眞紀先生に、小学校受験指導で感じる「地頭がいい子」の共通点や、地頭を伸ばす幼児期の体験遊びについてもお話を伺いました。
目次
地頭がいい子とは? 地頭と学力の関係
__辞書※で調べると、「地頭=教養で与えられたものではない、その人本来の頭のよさであり、知識の量ではなく、論理的思考力やコミュニケーション能力などをいう」とあります。そもそも、地頭がいい子とはどういうことなのでしょうか?
※小学館国語辞典編集部編(2012)『大辞泉 第二版』松村明監修、 小学館. [goo辞書/デジタル大辞泉]<https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>2024年9月20日参照
大西先生:伸芽会に通うお子さまたちを見ていると、「この子は元々ひらめきをもっているな」「一味違うな」と感じることがあります。
たとえば、
「1歳でもいたずらを工夫して試行錯誤している」
「好奇心が旺盛で、常におもしろいことを探究している」
といった場面です。一方で、地頭がいい子の中には、コツコツと積み重ねるお勉強が苦手な子もいますから、地頭=学力ではないとも感じています。
飯田先生:地頭のよさは生まれ持った才能だけでなく、日々の生活環境によって大きく変わります。たとえ優れた遺伝子を持っていても、適切な刺激がなければ地頭は伸びません。
また、地頭は勉強の得意不得意だけで判断できるものでもありません。読み書き計算が苦手だからといって、「うちの子は地頭がよくない」と諦める必要はまったくないのです。
幼児教育のプロが考える、地頭がいい子の共通点
__これまで多くのお子さまを指導してきた中で「地頭がいいな」と感じた瞬間や、共通点があれば教えてください。
ひらめきと工夫する力がある子
飯田先生:私が何か問いを投げかけたときに、発想力(ひらめき)・応用力(工夫する)を感じる発言で授業を助けてくれるようなお子さまは地頭がいいなと感じます。
もちろん、勉強だけではありません。集団で行う制作課題で「失敗をしても工夫する」「問題を解決するために考える」「次はこうしよう、と作戦を練る」といった、いわゆる非認知能力が高いことも、地頭がいい子の共通点だと言えるのではないでしょうか。
ポジティブ思考な子
大西先生:ひらめきはとても重要ですよね。たとえば1歳児でもひらめいている瞬間があります。ボールを箱の中に落とす遊びをしていて、最初はうまくできなくても何度かやるうちに「こうすればいいんだ!」とひらめく瞬間は、誰しも経験があるはずです。
こうしたひらめきのきっかけとなる環境を周りの大人が準備してあげれば、地頭は伸ばせると考えています。ほかに、「常に面白いアイデアを考えたい」というポジティブな思考も、地頭がいい子の共通点なのかもしれませんね。
物の見方が複数ある子
飯田先生:確かに、人と違うアイデアが出せるお子さまは地頭がいいと感じます。言い換えれば、「物の見方が複数ある子」ですが、これはご家庭での日々の声掛けや、意識づけの影響が大きいと言えます。
子どもの地頭を鍛えるために親ができること
__地頭をよくするために、家庭で親ができることはありますか?
人と違う意見を持たせること
飯田先生:たとえば授業で私が何か質問をして、Aさんの発言がほめられたとします。すると、それ以降はAさんと同じ発言をする子が多いのですが、「前の子と違う意見を言える子」は地頭がいい子であり、小学校受験でもこういった柔軟な思考力を持つお子さまは高く評価され、合格につながることが多いのです。
今の子ははみ出すことを嫌う傾向がありますから、幼少期からご家庭でも人と違う意見を持つ素晴らしさを伝え、実際に言葉にできる体験が多いと、地頭がいい子に育つのではないでしょうか。
いたずらを叱って終わりにしない
大西先生:幼児期の子どものいたずらをとがめて終わりにしないでほしいです。あるお子さまが1歳のころ、ご自宅のオーディオスピーカーの穴に爪楊枝を100本くらい刺して、親御さんが叱ったそうです。
でも、その子は発達のステップである「ピンチ把握」という人差し指と親指と中指でつまむ動作を獲得したことに気づいて、もっと上手になるためにくり返して遊んでいただけなんです。
それを叱るか笑い飛ばすかで、その先の地頭の育ち方に違いが生まれると感じています。
もちろん、いけないことをしたら叱るべき瞬間もありますから、ひらめきを認めるときと叱るときとの線引きが難しいことはよくわかります。ですが、いたずらの中にも地頭がよくなるきっかけがあるということをお伝えしたいです。
飯田先生:「いいこと考えた!」が楽しいと思える場があるといいですよね。一見悪いことでも、「面白かったね」と親が肯定してあげる。
その後、「あれはお外でやればよかったね」などと伝える。悪いことをしても、受け止め方の違いで、お子さまはいくらでも伸ばすことができるのです。
幼児教育のプロがおすすめする、地頭を伸ばす伝承遊び
__地頭を伸ばすには、幼児期のどんな遊びや体験がおすすめでしょうか?
大西先生:私がおすすめするのは、昔ながらの伝承遊びです。今回は2つご紹介します。
その1「オニごっこ」
大西先生:オニごっこはただ逃げる遊びではありません。危険回避をしながら人の動きを読み行動するという、人間が生きるために必要な要素が詰まっている高度な遊びです。
オニごっこには、色オニ、高オニ、手つなぎオニなど、さまざまなバリエーションがありますが、たとえば「ひょうたんオニ」(地面にひょうたんの絵を描き、オニ以外の子はひょうたんの中に入り、オニがひょうたんの外から中の子をタッチするというルール)では、ひょうたんのくびれているところはオニがタッチしやすいため、オニとの位置関係を見ながら駆け引きが生まれます。このように、考える内容が複雑であればあるほど、地頭が育つのです。
飯田先生:要は遊びの工夫ですよね。○○オニは地域でルールが異なったりしますから、親御さんも小さな頃は、新しいアイデアを考えながら遊んでいたのではないでしょうか。
独自のルールを作っていく面白さ、勝つためにどう努力するか、オニごっこはまさに集団で地頭がよくなる遊びだと言えます。
その2「缶けり」
大西先生:今は缶けりができる場所が少なく、やったことがないというお子さまも多いかもしれません。詳しいルールは一般社団法人鬼ごっこ協会をご覧ください。
缶けりでは、オニから逃げる瞬発力、現状を的確に把握する状況把握力、捕まった仲間を助ける協調性などが養われますし、遠くにいる仲間と目配せなどで気持ちを伝えることでも、地頭が鍛えられます。外遊びが理想ですが、難しい場合はおもちゃの〇×ボタンなどを使えば、おうちの中でも応用できるはずです。
飯田先生:野球の盗塁のサインみたいですね。仲間を援護する気持ちや、どこにパスをすれば相手がうまくいくかを予測する経験は、チームスポーツにも通じそうですし、勇気や決断力といろいろな力が身につきそうです。
遊びで思い通りにならない体験が地頭を育てる
__伝承遊び以外にはどのようなものがありますか?
飯田先生:伝承遊び以外に、たとえば「将棋や囲碁」でも地頭を鍛えることができます。小さなお子さまでしたら、「将棋崩し」もおすすめです。「どうすれば多く回ってくるか」を考え、相手の難度を上げるかけひきをしていく経験は思考力を磨きます。
大西先生:将棋には本来ルールがありますが、将棋崩しのように「違うルールで遊んでもいいんだ」と工夫する原体験にもなりますね。
飯田先生:子どもはルールがあるからこそ考えるんです。ルールがあったほうがちゃんと動ける子もいれば、ルールを破る方が好きな子もいますが、どちらも正解なんです。
大西先生:遊びは何をするかも大事ですが、親や家族以外の人と遊ぶ経験といった、「誰と遊ぶか」もポイントになってきますよね。
飯田先生:おっしゃる通りです。いつも同じ仲間や家族だけでは、けんかは少ないかもしれませんが刺激も少なくなります。子どもを成長させるのは昔も今も「思い通りにならない体験」です。たとえるなら、昭和の頃にあった近所のお兄さんやお姉さんと遊ぶような「路地裏の遊び」です。
伸芽会では、創立時から「路地裏の遊び」の大切さを掲げてきましたし、今も集団学習にこだわるのはそのためです。本来親は遊びを教えるのではなく、集団の中で遊ぶ環境を用意するだけでよいのです。とはいえ、今は核家族も増え、ご近所付き合いも減っていますから、なかなか難しいでしょう。
そんな親御さんに昔ながらの遊び場であり学びの場を提供しているのが、伸芽会や伸芽’Sクラブ(託児)です。我々は集団でのさまざまな体験をしながらヒントを与えて地頭を育てる働きかけをしています。これが、伸芽会の「教えない教育」であり、「巻き込み型の教育」なのです。
伸芽会式の学びとは?
小学校受験において学校側が求めているのは、知識の量よりもそれを生かせる力です。教えられたとおりに答えることよりも、自分で発見したものを発展させていく創造性があふれていることです。
伸芽会では、合格につながる創造性の芽を伸ばす独自の教育として、「造力教育」「体験力教育」「自助力教育」を掲げ、半世紀以上の実績に基づく指導で合格へ導きます。
詳しくは伸芽会HPを御覧ください。
https://www.shingakai.co.jp/about/
IQで子どもを選ぶ学校も? 幼児期のIQについて知っておきたいこと
SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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