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子育て

年中、年長児必見! 子どもを伸ばす冬休みの過ごし方

年中、年長児必見! 子どもを伸ばす冬休みの過ごし方

クリスマスやお正月、家族が集まる年末年始は親子で不規則な生活になりがちですが、だらだらと過ごしたり家の中でテレビやゲームばかりしていてはもったいない! そこで、この時期にしかできない遊びや勉強法など、子どもを伸ばす冬休みの過ごし方を伸芽会の飯田先生と牛窪先生に伺いました。小学校受験を控えた年中さん、受験後の年長さんに対するアドバイスも必見です!

小学校受験を控えた年中さんが冬休みに意識したいポイント

__受験を控えた年中さんのご家庭に対して、冬休みの過ごし方のアドバイスをお願いします。

飯田先生:年中さんにとっては、小学校入試前の「最後の冬!」ということを意識してほしいですね。雪遊びをしたり凧揚げをしたり、冬にしかできない外遊びもたくさんあります。そして、新しい年に向けて家の中を家族で大掃除をしたり、冬は野菜が取れないからお漬物や保存食を作るといった、物事に対する“心構え”を意識することも、勉強をする姿勢にも通ずると私は思います。絵本なども使ってぜひ冬ならではの学びの機会を増やしてあげましょう。

もし、冬休みに帰省や旅行するタイミングがあれば、そこは学びの大チャンスです。

たとえば、事前に地図を広げて、ここからここへ行くという“距離の感覚”を知った上で出かけると、興味も意識も全然違ってきます。Google Earthなどのデジタルマップで移動中も「今はどの辺りかな?」と調べたり、「僕の家から遠ざかっていけば宇宙にまで行けるんだよ!」などと話せば食いつかない子どもはいないはずです。

こうした距離を知った上で、飛行機に乗ると、感動も違ってきますよね。アナログとデジタルを使い分けると学びの楽しさが2倍になるというわけです。

冬休みは期間も短いけれど、クリスマスにお正月もあって生活リズムが壊れがちです。遅寝遅起きになると、新年から立て直すのがとても大変ですから、そこは早寝早起きを心がけましょう。

先取りしすぎは要注意! 小学校受験を終えたご家庭へのアドバイス

__小学校受験が終わったご家庭は、冬休みをどのようなことに意識して過ごせばよいでしょうか?

牛窪先生:受験が終わった年長の冬は、一番のんびりしたい時だと思いますが、来年4月から小学校で好スタートを切るためには、受験前と同様、規則正しい生活や学習習慣を心がけてほしいですね。では、実際に算数と国語に関してどのような学習をしていけばいいか、具体的なアドバイスをしていきましょう。

【算数の先取り学習の注意点】

正しい準備で合格された方を前提とすると、理科や算数は概念的には3年生まで終わっている状態です。たとえば、「2人で分けるより3人で分けたほうが少ない」と実感できているはずです。そこから無理に計算ドリルに入るのではなくて、小学校受験で使ったプリントを活用してみましょう。小学校受験では答える際に基本的に文字や数字を書かないので、数量の問題も〇の個数で表現したりします。その横に数字を書いていくことで、〇と数字が頭の中でうまく結びつくはずです。この土台がしっかりできていれば、小学校以降で数を使った計算もスムーズに習得できるはずです。

【国語の先取り学習の注意点】

先述した通り、小学校受験では字を書かないので、受験をしない同学年のお子さんよりも書きについては後れを取っている場合もあります。ただし、私学は学校や先生によって「良しとする」字の形が多少異なるので、ご家庭で字の形にこだわり、矯正しすぎると、かえってお子さんが混乱することがあります。ですので、おおまかに平仮名の書き順だけ徹底しておくことをおすすめします。その代わり、イントネーションを重視した平仮名の音読はぜひやってほしいですね。小学校に入ると、最近は平仮名文の音読をあまりせずに漢字に入ってしまう傾向があります。

たとえば、「ぼくはうみへいきました」の文章を見て、即正しいイントネーションで音読できることを目標にしてください。

ワクワク感を持って学校生活、授業に臨めることが、入学時に一番必要な精神状態ですので、くれぐれも、授業中に「先生それ知ってる!」などと言ってしまうことがないよう、先取りしすぎには注意しましょう。

お正月は目標設定のいい機会!

__お正月を学びにつなげるにはどんなことを意識すればいいでしょうか?

飯田先生:日本ならではの伝統が詰まったお正月は、子どもにとって学びのチャンスがたくさんあります。まずおせち料理をなぜ作るか、子どもに説明できますか?

ちなみに…

「おせちとはお節供〔おせちく〕の略で、年の始めにその年の豊作を祈って食べる料理や武家の祝い膳(※)、新年を祝う庶民の料理などが混ざり合って出来たものです。さらに正月三が日は主婦を家事から解放するという意味を含め、保存の効く食材が中心のものになったといわれています。またお正月に火を使うことをできるだけ避ける、という物忌みの意味も含んでいます(日本文化いろは辞典)」。

※祝い膳…お正月などのおめでたい時に食べる料理の事です。正月の祝い膳には、おせち料理のほかにお屠蘇〔とそ〕、お雑煮などが挙げられます。

おせちの意味を知って、「お母さんも休んでいいんだよ、いつもありがとう」という感謝の機会を持てるといいですね。おせち以外にも門松餅つきなどお正月の行事はたくさんあります。これらについて絵本で学ぶのもいいでしょう。
さらに、気分も新たになるお正月は目標設定のいい機会です。書初めもいいでしょう。今年はこれを頑張る!と具体的な目標を家族一人ずつで設定し、約半年後の七夕でできているかをチェックするのが私の指導では定番です。

コロナ前とコロナ後で変化した、冬休みの過ごし方

__コロナ前と後で、子どものたちの冬休みの過ごし方に変化はありますか?

飯田先生:冬の寒空のもと、家族みんなで大掃除をさせられたり、火鉢でおじいさんが暖をとっていたり……私自身は、冬と言えば、子どもの頃のことを思い出します。このように、本来、冬は子どもにとって多くの学びの機会がありますが、冬の過ごし方もコロナ前と後でだいぶ変わってきました。

コロナ前は旅行やお出かけもしやすかったので、たとえば「年末年始は家族みんなでハワイ」が定番のご家庭の場合、冬が寒いことにピンとこないお子さんもいらっしゃいました。

ですが、コロナ後は年末年始に親戚が集まる機会が減り、おじいちゃんおばあちゃんの田舎も行きにくくなってしまいました。特に都心の核家族の場合だと、暖房のきいた家の中で過ごせばさほど寒くありませんし、季節行事もできることに限りがあります。その結果、鏡餅やお飾りは家にあっても、門松を見たことがない子や、雪が降り積もった景色や霜が降りた地面を踏むといった寒い冬ならではの体験をしたことがないお子さんも増えています。

特に、幼児期は体験を増やすことで伸びていく時期でもあるので、できる範囲でさまざまなことにチャレンジしたり、日本文化について話す機会をご家族で持てるといいですね。

さらに、「忘年会や新年会など大人が集まる場所で子どもたちは自分の親の立ち位置を見ているんですよ」と飯田先生。日頃あまり話さないお父さんやおじいちゃんが乾杯の音頭を取ったり司会をしている、お母さんの料理がおいしいよと周りの人たちに褒められる……。

子どもたちは、よくも悪くも親を冷静に見ているそう。見栄をはれとは言いませんが、「僕のお父さんかっこいい、お母さん素敵!」とわが子に尊敬される絶好のチャンスかもしれませんよ。

監修者プロフィール
飯田道郎

1960年福井県生まれ。早稲田大学政治経済学部在学中に伸芽会の創立者・大堀秀夫と出会い、入社。子どもの目線に寄り添い子どものやる気を引き出す人気教師として男の子の指導に定評があり、これまで3,000人以上の教え子を難関校へと導く。著書に『9歳までの男の子の育て方』(世界文化社)。本サイトのYoutubeチャンネルであるSHINGA FARMちゃんねるへレギュラー出演中の他、AERA with Kisds+朝日新聞 DIGITALなど多くのメディアにも取り上げられるなど、幼児教育業界の第一人者として活躍中。


著者プロフィール

ライター・エディター。出版社にて女性誌の編集を経て、現在はフリーランスで女性誌やライフスタイル誌、ママ向けのweb媒体などで執筆やディレクションを手がけている。1児の母。2015年に保育士資格取得。

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