オーストラリアの子どもの口内ケアは日本とこんなに違う!?

オーストラリアの子どもの口内ケアは日本とこんなに違う!?

オーストラリアでは、子どもの口内ケアにかなり力を入れています。しかし、その方法は「フッ素を歯に塗ってその液を飲み込む」「うがいをした後の水を飲み込む」など、日本では馴染みのないものばかりです。筆者が保育士として働く保育園でも実践されている、一風変わったオーストラリア式歯のケア方法を紹介します。

子どもの発達に重視されている口内ケア

まず、オーストラリアにおける口内ケアの考え方を見ていきましょう。子どもの口内ケアは発達に不可欠で非常に重要とされ、保育学生が使う教科書を見ても「口腔衛生は健康的な食事や言葉の発音に不可欠であり、虫歯や歯の問題があると痛みや不快感が学習や遊びに影響する」と記述されています。

具体的な内容の中でも、日本人の目を引くのは下記のような記述です。

・一日中子どもに水を提供する
・ 食後に口の中で水をすすいで飲み込むように子どもに勧める

また、オーストラリアの親たちはこれに加えて、子どもの歯にフッ素を塗ることが大切だと考えています。

現地でよく使われる子ども向けの口内ケア商品のほとんどにはフッ素が添加され、さらにフッ素を歯に塗った後はそれを唾液と一緒に飲み込み、うがいの際にもその水を飲み込むことが推奨されているのです。


フッ素が添加されている子ども用口内ケア商品の説明書き

おやつには丸かじりできるフルーツを提供

日本では考えにくいですが、なぜオーストラリアではこの口内ケア方法が推奨されているのでしょうか?保育の教科書の説明によると、吐き出した水は汚れているとの考えから、吐き出された水が子どもの手や洗面台に触れることで病気に感染する交差汚染リスクを防ぎたいという意図だそうです。

そのため、「吐き出さずに飲み込む」ことが推奨されています。

しかし、本当にオーストラリアの保護者たちは交差汚染のことを考えてこの方法を子どもに推奨しているのでしょうか?

そこで、「吐き出さずに飲み込む」を実践しているオーストラリアの保護者たちに尋ねてみたところ、次のような回答が返ってきました。

「フッ素を塗ったのに水でうがいをして吐き出したら、せっかくのフッ素が外に流れ出てしまう。それでは塗った意味がなくなってしまうでしょう?」

つまり、一般的な保護者は交差汚染を気にしているのではなく、せっかく歯に塗ったフッ素が流れてしまうことを懸念して水を吐き出さないように子どもに伝えているようです。

オーストラリアの保育の教科書には歯磨き以外にも、普段の食事に注意することが口内ケアにおいて重要だと書かれています。

実際、筆者が働く保育園では、アフタヌーンティー(おやつの時間)に甘いお菓子を与えることはありません。


筆者の働く園で提供されたおやつ

お菓子の代わりに提供するのは、山盛りのフルーツや野菜など。フルーツは切った状態ではなく、丸ごとの場合も多いです。これは、りんごなど誤飲しない安全な大きさのフルーツを丸かじりすることで、丈夫な歯と顎を作れると考えているからです。

その効果のためか、オーストラリアの子どもたちの多くは非常に強い歯を持っています。保育園で働き始めた当初、3歳ぐらいの子どもがボリボリとりんごやにんじんを丸ごとかじっている姿を見て驚きました。

子どもたちは食事の後、それぞれ水筒に入っている水を飲んで、口の中に残った食べ物の欠片を洗い流します。こうすることで、食事をしても清潔な口内を保つことができるのです。

まとめ

このように、オーストラリア式の口内ケアは歯にフッ素を塗って守ること、食事中や食後に水をたくさん飲んで口を清潔に保つこと、無理のない範囲で固い物を食べて歯や顎を丈夫にすることなど、親子の負担が軽いのが特徴。筆者が働く保育園の子どもたちは、この方法で白く歯並びの良い健康的な歯を保っています。

「子どもの歯を守る」と聞くとプレッシャーを感じてしまう方も多いかもしれませんが、まずは負担のかからない小さなことから始めてみてはいかがでしょうか。

執筆者/トラン摩耶

著者プロフィール

世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。

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