実は5~6歳に多い!子どもの「泣き落とし」を解除するコツとは?
「もっと遊びたい」、「違うテレビが見たい」、「お菓子が食べたい」…。それが叶わないと、すぐに“泣き落とし”へ。ある程度の年齢になったのに、それでも泣いて何とかしようとする姿に、どうしたものかと悩む親御さんは少なくありません。5歳前後の”泣き落とし“に、親はどんな対応をすればいいのでしょうか?
目次
5~6歳の泣き落としが目立つ理由
「まったく、あの子は泣けばいいと思っているんだから!!!」
このように、子どもの泣き落としに悩むケースは非常に多く、カウンセリングでもよくテーマとして挙がります。赤ちゃん時代は、泣くのが仕事と言われているように、ママも「ま、泣いても仕方ないか」という気持ちがあるのですが、それが、3歳、4歳、そして5歳になっても続いていると、「いつまでたっても泣けばすむと思って」とエンドレスな泣き落としに困り果ててしまうのです。
たしかに、泣くことが多い赤ちゃん時代を過ぎると、成長とともに、だんだんと「泣き落とし」は減ってくるのが一般的です。その子の持って生まれた頑固さ、意固地さなども関係してくるので、一概に何歳までにとは言えませんが、5、6歳になると、「泣けばいい」という作戦をあきらめる子がぐっと増えてきます。それに伴い、「泣けばいいと思っている子」が目立ってきてしまうことになります。5、6歳くらいが、泣く子、泣かない子の差が一番開く時期かもしれません。
「泣けばいい」から「泣いてもしかたない」に持っていくには?
小学校に上がると、1クラスの人数も増え、泣いてはいられない状況がもっと増えてきます。幼稚園のうちに、「泣けばなんとかなる」という状況を脱出したいと考えている方も多いでしょう。では、「泣けばいい」から、「泣いてもしかたない」に、どうやったら持っていくことができるのでしょうか? まずは心理学的に、何が起こっているのかを見ていきましょう。
心理学では、ある行動が増える、もしくは続く、こういうとき、その行動の裏に、何らかのメリットがあると考えます。つまり、泣き落としが多いお子さんの場合、結果的に、泣くことが、その子にとって「得」なので、泣くことが増えてしまっているというわけです。もっとも多いのが、親が子どもの泣きに堪忍して、結果的には要求を飲んでしまっているケースです。
たとえば、夕食の準備中、あと30分というところで、「ジュース飲みたい」「クッキー食べたい」と大泣き。ママ的には、もちろんあげたくない、しかも、「泣けばすむと思って!」と憤りも感じている。それにもかかわらず、しつこくいつまでもわんわんと泣かれてしまうと、「あ~面倒くさい」「もういいや」となって、渋々ながらも、「これだけだよ」と言ってあげてしまう…こんなパターンです。
泣き落としをなくすには、この“メリット感”を消すことがポイントになります。
泣き落とし解除、実践するときにはこの2点に気をつけよう
もし、
● 泣けば、クッキーをくれる
● 泣けば、買ってくれる
● 泣けば、動画を見せてくれる
のであれば、誰だって、「やっぱり泣いてよかった」と思ってしまいます。
要は、
● 泣いても、クッキーをくれない
● 泣いても、買ってくれない
● 泣いても、動画を見せてくれない
に持っていけばいいのですが、言うは易く行うは難しです。なぜなら、ママがある日突然、これまでとは真逆の反応を示したら、その反動も大きいからです。この点をクリアするには、それなりのコツが要ります。ここでもっとも大事なポイントを2つご紹介しましょう。
ポイント1 一時的なリバウンドはあって当然と心得る
初期段階で起こることがほとんどなのですが、泣いたとき、ママがいつもみたいにリアクションをしてくれないと、子どもは、「あれ、泣きが効かない?」「ママが反応してくれない?」と感じ、さらに泣きを激しくすることがよくあります。
このリバウンドの大泣きがなぜ起こるのか、電気のスイッチの例を使って説明しましょう。
私たちは、家の中の照明が切れたとき、まずどうリアクションするでしょうか? 「あれ、変だな?」「接触が悪いのかな?」と何回もスイッチをガチャガチャッと勢いよくオンオフしますね。
子どももこれと同様で、ママに泣いて訴えても効かないとき、「もっと激しく」「もっと大きく」とそれまで以上の勢いで泣いて、本当に反応してくれないのかを確かめるようになります。この段階で多くのママが屈してしまいます。「余計に泣きがひどくなってきてしまった」「このやり方は効かないのだ」と感じてしまうからです。そして結局、クッキーをあげてしまう、動画を見せてあげる、など、要求を飲んでしまうのです。
すると、さらに状況は悪化します。次回以降、これまで以上のパワーで泣くのが、新たなテンプレートになってしまうのです! 子どもなりに、「激しく泣くことがポイントだったのだ」と理解するからです。
ですので、いったん一貫してやろうと決意したら、とことんやりぬくのが大事になります。大泣きされてしまうと、「もういいや~」となってしまうものですが、そこをグッとこらえ、乗り切れると、「あ、本当に泣いても効かない」ということが子どもに伝わり、徐々に泣きが減ってきます。減る前には、いったん悪化する時期があることを頭に入れて、頑張ってほしいと思います。
ポイント2 「ほめ」を使って、スピードアップする
先ほど、泣きのメリットをなくすには、
● 泣けば、クッキーをくれる
● 泣けば、買ってくれる
● 泣けば、動画を見せてくれる
から、
● 泣いても、クッキーをくれない
● 泣いても、買ってくれない
● 泣いても、動画を見せてくれない
に持っていけばいいと書きましたが、この真逆の対応は、上述のとおり、リバウンドを起こします。それをできるだけ早く緩和するには、「泣いていない状態をほめる」のがポイントになります。
大泣きや癇癪のときなどは、必ず泣きのピークがあるものです。それが少し収まったときに、すかさず、「自分で気持ちを落ち着けられたね。がんばったね」「自分で泣き止めたね。強い子だね」とほめてあげるのです。自分で自分の感情をなだめる機会を持つことは非常に大事なこと。それをママが、「できたね」と意識してキャッチしてあげることで、その子のセルフコントロール力は効率的に高まっていきます。
大泣きしているときというのは、ママがいくら言って聞かせようとしても、素直に聞き入れてはくれません。そういうときは、危なくないこと、他者に迷惑をかけないこと、これが守られていれば(たとえばお家の中など)、お子さんがある程度感情を抑えられるまで、そのまま見守るのも一つの方法です。その際、ママからの小言はナシです。ママがブツブツ、クドクドと小言を言ったりすると、母子とも脱線しますので気をつけてください。
泣き落としをなくす道のりは、一筋縄では行かないことも多いですが、泣こうが泣くまいが、対応に差をつけないようにし、さらには、ほめを活用し、「泣かない方がいい気分♪」という思いができる働きかけをすると、だんだんと泣きに頼らなくなってきます。
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育児相談室「ポジカフェ」主宰&ポジ育ラボ代表
イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。ポジ育ラボでのママ向け講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポート。2020年11月に、ママが自分の心のケアを学べる場「ポジ育クラブ」をスタート。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。HP:https://megumi-sato.com/