幼児期の塗り絵のメリット・デメリット、おすすめの遊び方と注意点

幼児期の塗り絵のメリット・デメリット、おすすめの遊び方と注意点

幼児期の遊びとしてはもちろん、近年では大人にも人気の塗り絵。知育の観点ではメリットが多いですが、やり方次第ではデメリットもあると言われています。そこで、今回は塗り絵のメリット・デメリットや遊ぶ際の注意点についてまとめました。小学校受験にも役立つ、塗り絵で非認知能力を育む方法も必見です。

幼児期の塗り絵で得られるメリット

幼児期の塗り絵で得られる効果は主に5つあります。

①運筆力や巧緻性が高められる
塗り絵では丸や角など細かい部分を塗り分けたり、濃淡をつけて塗ったりします。そうした鉛筆をうまく動かす技術である“運筆力(うんぴつりょく)”が向上するのも塗り絵ならではの特徴です。運筆力が高まることで、きれいな字を書けるようになったり、絵画の画力がアップするというメリットもあります。

②色彩感覚や図形認識力が身につく
隣り合う色や全体のバランスを考えながら色の組み合わせを決めていくため、遊びながら自然に色彩感覚が養われていきます。小さいうちは同じ色で何ヵ所も塗ってしまうことがありますが、ぬりえ枠=閉じたかたちの概念が成長するにつれて、たくさんの色を使い分けながら、枠内の色付けを楽しめるようになります。何より、色選びには個性が現れるため、子どもの好みや性格を理解する手がかりにもなるでしょう。

③集中力がアップする
「枠からはみ出さないように塗ること」や、「どの色で塗ろうかと考えること」には、集中力が必要です。初めは短い時間しか集中できなくても、少しずつ集中できる時間が長くなっていくはずです。集中力が上がれば、その後の学習や習い事にも役立ちます。

④達成感を味わえる
塗り絵が完成したときに達成感を味わえるのも塗り絵ならではのメリットです。上手か下手かは関係なく、自分の力でできたことを褒めてあげることで、自信や自己肯定感にもつながります。「やればできる」という気持ちが強くなることで、他のことにもチャレンジしたい気持ちが芽生えてくるはずです。

⑤親子の絆が深まる
「ここは何色にする?」「次はどこを塗る?」などと親子で話をしながら塗り絵を楽しめば、自然に絆が深まっていきます。また、完成したときのうれしい気持ちを共有できることも大切なポイントです。

幼児期の塗り絵のデメリット

幼児期の塗り絵がうまくいかないケースとしては、以下の通りです。
・出来栄えにこだわりすぎると型にはめた色になり、想像力をつぶしかねない
・「はみ出さないように」など指摘しすぎると、ストレスを感じてしまう

上記のような観点から、子どもに塗り絵を積極的にはさせない国もあるようです。
一般的に大人の塗り絵では、脳の活性化やリフレッシュ効果、ストレス解消にもなると言われていますが、子どもの塗り絵の場合はあくまで遊びであり、目的は先述したような①~⑤であることを意識したいですね。

幼児に塗り絵をさせる際の注意点

塗り絵をさせる際に親が注意したいこととして、以下のポイントがあります。

・親の感覚で「その色は違うよ」などと指摘しないこと
・出来栄えではなく「楽しんだ姿」を認め、喜ぶこと
・塗りたい絵は基本的に子どもに選ばせること
・無理強いしないこと
・仕上がりを見本や他の子と比べないこと


親は「ここはこの色であるべき」などと型にはめがちですが、正解はありませんから、子どもの発想を尊重してあげましょう。

そういった点からも、キャラクターではなく、図形や動植物、果物などの方が、塗り絵を自由に楽しめるかもしれません。塗り絵の楽しさの伝え方として、お子さまに1番響くのは、「させる」意識から少し方向を逸らして、親自身が塗り絵を楽しむ姿を見せてあげることです。

大人塗り絵をご自身で塗ってみると、子どもの気持ちやかけてほしい言葉が実感できることと思います。

塗り絵で非認知能力を育む方法

最後に、伸芽会の大西眞紀先生に、小学校受験にも通じる“塗り絵で非認知能力を育む方法”についてお聞きしました。
塗り絵には「平行に手を動かす」「白い部分が少なくなるよう三角塗りを意識する」といった認知能力(算数脳)はもちろん、「くじけない心」「塗り残しがないか(問題)を見つけて解決する能力」「やりぬく力」「想像(創造)する力」「コミュニケーション力」「行動する力」「我慢する力」といった非認知能力も育むことができます。


非認知能力とは?

非認知能力とは、主に意欲・意志・情動・社会性に関わる3つの要素
①自分の目標を目指して粘り強く取り組む
②そのためにやり方を調整し工夫する
③友達と同じ目標に向けて協力し合う

からなり、特に幼児期(満4歳から5歳)に顕著な発達が見られると言われています(「中央教育審議会 初等中等教育分科会 幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会」より)。


また、私立や国立小学校で行われている教育内容に通ずるため、小学校受験の合格者は非認知能力が高いとされています。 詳しくはこちらの記事もご覧ください

では、年齢別で意識したいポイントを解説していきます。

【2歳児】
囲まれた枠を認知できる年齢は2歳頃ですが、まだ筆圧も弱いので、枠から出てもまったく問題ありません。ただし、白い部分(塗り残し)がないかどうかのチェックは2歳でもできるはずです。

小さいうちから「自分で見直しをして間違いを見つけられる練習」を遊びながらしておくと、小学校受験でも役立つ力となります。

この年齢におけるおすすめは、イラストが凸凹になっている「凸凹塗り絵」です。紙を重ねた“こすりだし”の手法を使うため、はみ出してもきれいな絵が浮かび上がり、達成感が得られます。 【2歳児】 【2歳児】 ©凸凹ぬりえ くだもの編 絵:とみたあすか(コクヨ株式会社)

【3歳児】
3歳になると、手首を固定して塗る力が発達してくるので、○△□の単純な線画を平行に手を動かして塗る練習をしてみましょう。はみ出しても問題ありませんが、たとえば△の線画をかき氷に見立てて自由な色で塗る際に「甘いシロップをかけようね。白いところがない方が美味しくなるよ」などと声掛けすると、意識して丁寧に取り組めます。

また、満3歳では、塗る箇所が2つあり領域の区別が必要な“2枠塗り”は、3割くらいのお子さんが難しいと感じますが、3歳後半になると、2枠~3枠塗りができるようになります。お子さんの発達を踏まえて、ちょうどいい難易度の塗り絵を選ぶようにしましょう。ちなみに、上記のような理由からこの年齢では「果物塗り絵」がおすすめです。 【3歳児

【4歳児】
満4歳になると、指の力や巧緻性、集中力も備わってきますから、絵柄が細かく規則性がある「マンダラ塗り絵」にもチャレンジしてみましょう。自由な発想で楽しむことで、色彩感覚を育めます。 【4歳児】

幼児期の塗り絵には得られるメリットがたくさんありますが、与える塗り絵の難易度や声掛けを注意して、発達に応じた効果を楽しみつつ、認知・非認知能力を育んでいきましょう。

著者プロフィール

SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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