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アメリカで話題!ダライ・ラマも絶賛する「意識的な子育て(コンシャス・ペアレンティング)」とは?

アメリカで話題!ダライ・ラマも絶賛する「意識的な子育て(コンシャス・ペアレンティング)」とは?

自分の子どもには、最高の教育を与えてあげたい。わが子を思うからこそ、親は真剣に子育てに向き合います。しかし、世間にはさまざまな情報があふれ、どうやって子育てをしたら良いのかわからなくなる時もあります。心理学のベストセラー作家が提唱する「意識的な子育て」には、子育てのプレッシャーから解放され、親子がマインドフルネスに生きるヒントが散りばめられています。ダライ・ラマも絶賛した、アメリカで話題の子育て法をご紹介します。

最大の特徴は焦点が「子ども」でなく「親自身」にあること

「意識的な子育て(コンシャス・ペアレンティング)」とは、全米ベストセラー作家であり、臨床心理学者のシェファリ・ツバリ博士が提唱した育児法です。最大の特徴は、アプローチの焦点が「子ども」ではなく、「親自身」にある点です。

この育児方法では、「子どもは親の庇護を受けるべき弱い存在ではなく、親と対等な独立した人間である」と考えます。子どもの行動や性格を改善しようと働きかけるのではなく、親は自分自身の内面へと意識を向けるのです。

親が内面の自我をしっかりと認識できることにより、「あれもしなきゃ、これもしなきゃ」という子育ての思い込みから解き放たれます。その結果、子どもは真の意味で自分のアイデンティティを確立し、困難を乗り越えられる力を身に付け、親子の信頼関係が深まっていくというものです。

7つの考え方に基づいたアプローチ方法

「意識的な子育て」では以下のような7つの考え方に基づき、子どもへのアプローチを行います。

①子育てとは、親から子への一方的なしつけではない。相互に影響を与え合う、人間関係の構築である。子どもは独立したひとりの人間であり、親が子に学ぶこともある。
②意識的な子育てとは、親のエゴ、願望、執着を手放すことである。
③子どもの言動・行動に注目するのではなく、親は自らの言動、願望、行動規範などに意識を向ける。
④問題に直面した際、その状況にすぐ反応しない。あらかじめ「どこまでOKで、どこからダメなのか」という線引きを明確にしておく。そしてポジティブなフィードバックを行う。
⑤目の前にある問題(癇癪など)だけを解決しようとしない。癇癪を起こすまでのプロセスに注目し、問題の全体像を捉える。
⑥子育てとは、子どもを常にハッピーにさせることではない。子どもは困難に立ち向かっていく過程で成長するので、親のエゴで子どもの成長を邪魔してはいけない。
⑦「受け入れる」とは、どのような状況においても傍にいて関わっていくことである。

「意識的な子育て」ならではのメリット

「意識的な子育て」では、親は自分自身に焦点を当てて言動や精神面を振り返ります。これは親にとって、単なる子育て以上のメリットがあるようです。

まず、健康面の向上です。継続的に自分の内面を見つめるマインドフルな生活は、親自身のストレスや不安感を軽減する効果があります。たとえば毎日瞑想することで、集中力がアップし、さらには加齢に伴う記憶力の低下や、血圧抑制、睡眠改善の効果も期待できるとされています。

また、親が子どもを独立したひとりの人間と認め、お互いに尊重しあうことで、言葉遣いも丁寧になります。その結果、家族間の会話が増え、子どもは親との健全かつポジティブな関係を通して、社会に出ても健全な人間関係を構築できるようになります。

さらに、2019年に発表された論文では、子どもの認知力アップにも影響があるとしています。「意識的な子育て」によって幼児期から大人に上質な言葉でたくさん話しかけられた子どもは、そうでない子どもに比べ、認知力の向上や攻撃性の低下、知能の発達が見込まれると記されています。

4ステップで解決可能な実践方法

それでは、「意識的な子育て」の実践編です。子育てで起こりうるシチュエーションを例に、「呼吸する・振り返る・境界線を設置する・受け入れる」の4ステップを解説します。

例)4歳のお子さんが、白い壁一面に油性ペンで落書きをしています。そこへあなたが通りかかり、惨状を目の当たりにしました。

① 呼吸する
思わず「何しているの!」と声を張り上げたり、子どもの手からペンをもぎ取ったりしたくなりますね。しかし、ここはぐっとこらえてください。大きく深呼吸をし、心を落ち着かせます。それから落ち着いてペンを回収しましょう。

②振り返る
惨状を見た時の、自分の心の反応を振り返ります。ここは非常に重要なパートです。自分の反応をとっさに言葉にしてしまう前に、何が感情のきっかけになったかを考えます。ペンの落書きで多少ユニークな壁にはなりましたが、誰かがケガをしたわけでもないし、除光液を使えば落書きを消すこともできるでしょう。そう考え、自分の感情をそっと手放します。

③境界線を設置する
「油性ペンを使えるのは親が側にいる時のみ」など、明確な境界線を設けます。すでに子どもがそのルールを知っているなら、約束を破っている事実を伝えます。同時に、子どもが今後好ましい行動を取りやすくなるよう、油性ペンは子どもの目につかない場所に保管するなどの対策も必要でしょう。大切なのは目の前の問題だけを解決することではなく、問題のプロセスと全体像を見ることです。

④受け入れる
最終的に、現在の壁の状態を受け入れます。こうして、徐々に自分のエゴを手放していきます。

おわりに

「意識的な子育て」は、親子がお互いを尊重し、精神的な絆を深め、より良い関係を築いていくためのアプローチです。その方法はシンプルですが、難しいと感じる方も多いかもしれません。

しかし、無意識に行っていた親の支配を意識的に放棄することで、親は自分を取り戻し、子どもはより自分らしさを発揮できることでしょう。親子でマインドフルな人生を手に入れるため、「意識的な子育て」をぜひ取り入れてみてください。

<参照サイト>
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/10888438.2019.1641505
https://www.healthline.com/health/parenting/conscious-parenting

著者プロフィール

世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。

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