2歳、3歳、4歳…年齢に応じた正しい我慢のさせ方を知っていますか?
「もう〇歳なんだから、我慢しようね」と、子どもに言い聞かせている親御さんは多いと思いますが、実はこれだと子どもに伝わっていないことが多いんです。
子どもにすれば、なぜ〇歳だったら、我慢しなければならないのか、何をどう我慢すればよいのか分からない場合が多いからです。
そこで今回は、年齢別で正しい我慢のさせ方や親が接する際のポイントを詳しくお伝えしていきます。これを実践して、自分で判断して我慢できる子を目指しましょう!
目次
なぜ我慢が必要なの?
子どもの健やかな成長を願う中で、必ず必要なことが、「我慢する力」を教えることです。その力が身についていないと、順番を待つことやルールを守ることができず、幼稚園や小学校での集団生活に支障をきたしたり、欲しいものがあったときに、「買って、買って!」とダダをこねたり、自分の思い通りにならなければ、いわゆる「キレる子」になる場合もあるでしょう。そうならないためにも、幼少期の子どもに「我慢」を教えることは、とても大切です。
ですが、子どもは、いろいろなモノに興味や関心を持ち「触ってみたい」「行ってみたい」「試してみたい」という意欲を持っています。それらは子どもの成長において、とても重要な過程のひとつでもあります。
そのような時に、我慢させることばかりを優先してしまうと、子どもの意欲の芽を摘み取ってしまうことにもなりかねません。
ではどのように「我慢」することを教えていけばよいのでしょうか。3つのポイントをお伝えします。
ポイント1 我慢する理由を説明する
子どもに我慢を教える時は決して「我慢しなさい!」と頭ごなしに強要しないことです。子どもは我慢させようとする親に反発心を抱き、さらに親の言葉に耳をかさなくなるでしょう。
「なぜ我慢しなければいけないか」の理由をきちんと説明してから、我慢することを教えましょう。
ポイント2 子どもの言い分にまずは耳を傾ける
子どもの主張や言い分には、しっかりと耳を傾けてください。そのうえで、我慢しなければいけない理由を伝えましょう。まずは子どもの気持ちを受けとめることが大切です。
ポイント3 具体的に説明する
子どもは一概に「我慢しなさい」と言っても、何をどうすればよいのか、分からないこともあります。特に年齢の低い子どもには、伝わらないことが多いです。ですので、具体的に説明してあげてください。
例えば、
「ポットを触ると、中から熱いお湯が出てやけどをするから、触りたいのを我慢しようね」と話してあげるといいでしょう。
次にさらに詳しく、年齢別の我慢のさせ方を説明します。
2~3歳児への我慢の教え方
2歳を過ぎると、歩行もしっかりし、行動範囲も広がり、身の回りのあらゆるものに、興味関心を持ちます。ですが、危険への認識はまだできておらず、親はヒヤヒヤする場面が多くなることでしょう。
また、自我が芽生えはじめ、何でも「イヤイヤ」と反抗する時期でもありますが、しっかり子どもの言い分に耳を傾けてあげてください。
大人の言う事が分かっているようで、完全には理解できていないこの時期ですが、我慢しなければいけない理由はしっかり説明してください。特に危険を伴うことは、親がきっぱりとした態度で臨みましょう。そして子どもの気持ちを受けとめ、親の気持ちを伝えるようにすればよいでしょう。
例えば、公園で、すべり台の順番を待てない場合、
「○○ちゃんは、早くすべり台で遊びたいのね、でもね、お友達も並んで待っているでしょう。だから自分の番が来るまで、我慢しようね。順番をきちんと守ってくれるとママ、嬉しいな」
と、話すといいでしょう。
4~5歳児への我慢の教え方
4歳を過ぎると、食事や着替え、トイレなどが一人でできるようになってきて、基本的生活習慣がかなり確立されてきます。また自分と他者との違いにも気づき、少しずつ相手の気持ちや周囲の状況も分かるようになってくるでしょう。
社会にはルールや決まりがあるということも含めて教えていってください。この時期は、相手や周囲の人の気持ちを考えさせるようにし、我慢を教えていくとよいでしょう。
例えば、病院の待合室で騒いだ場合、
「ここはね、病院。頭やお腹が痛かったりする人がいるの。他の人に迷惑がかかるから、静かに待っていてね」と話すといいでしょう。
6~7歳児への我慢の教え方
行動範囲や友人関係も更に広がり、社交性も出てきます。心も体も一段と成長し、物事の因果関係や、これから先の未来のことも理解できるようになります。
待つこと、我慢の先には、目標の達成や嬉しいことがあることも伝えるといいでしょう。
例えば、習い事が嫌になった場合、
「スイミングを頑張って続けていると、お魚みたいにスイスイ泳げるようになるよ。海水浴に行った時、楽しいよ。だからもう少し我慢して、続けよう」と話してみましょう。
自分で判断し「我慢」できる子になるように
人から言われたり、押しつけられてする「我慢」が続くと、子どもの心は卑屈になったり、また時には、抑圧された気持ちが爆発することも起こります。
目指すは、自分で判断し、セルフコントロールできる我慢です。相手の気持ちや社会的状況、物事の先のことを理解させながら、自分で考え、自らの意志で我慢させることを心がけてください。
親が心に余裕を持って、子どもの我慢する力を少しずつ培っていってあげましょう。
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公立幼稚園、小学校での勤務、幼児教室を7地域で展開、小児病棟への慰問、子どもの声を聴く電話相談など、多方面から多くの子どもに関わる。そのような中、子育てに熱心な
故に、その愛情が焦りとなり挫折、絶望感を抱いている親子が多いことに心を痛める。
「子どもの自立」「自己肯定感」「自己制御力」を柱とし、真に子どもの能力を開花させる子育て法を広める活動を2010年から始める。
現在、息子は大学病院で医師として、娘は母子支援の職場で相談員として勤務。実生活に落とし込んだ、親の心に寄り添う記事に定評がある。「難しいことを分かり易く、ストンと腑に落ちて行動に移せること」を理念とし、現在は執筆、講演、幼児教室を中心に幅広く活動中。
資格:小学校教諭・幼稚園教諭・保育士・日本交流分析協会 子育ち支援士
著書:『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(株)KADOKAWA