いつかやってくる寂しい「親離れ」の準備できていますか?空の巣症候群にならないために!
あんなに「ママ、ママ!」と後追いしていた可愛いわが子が、ある日突然「自分でする!」「あっちいって」「一人で行くからついてこないで!」と言い出す時期。そう、親離れはある日突然やってきます。
心にぽっかり穴が開いた「空の巣症候群」にならないために、親として幼児期から心が構えしておきましょう。
目次
子どもが親を頼る期間は、意外と短い?
「ママ、ママ!」と、片時も離れないわが子、洗濯物を干しに行くのも、トイレに行くのも後追いをしてくる子どもに、「早く、手が離れて欲しい」と、思うことがあるでしょう。
そうかと思うと、ある日、突然「ママは、あっち」と、親を手で押しのけたり、「ママ、見ないで」と言って、何かを隠そうとしたり、そのような言葉や仕草をすることもあるのではないでしょうか。
「いつもママの傍にくっついていた子がなぜ?」と一瞬、戸惑いや不安を感じると思います。一体いつまで続くのかと思っていたママへの後追いですが、親離れの時は、案外早くくるかもしれません。
「空の巣症候群」とは?
そして子どもが親離れした後、急に焦燥感や無気力感に襲われ、心にぽっかり穴が空いたように感じることがあります。この症状を心理学用語で、「空の巣症候群」と言い、子育てに熱心で、完璧を目指す親ほど、その傾向に陥りやすいとされています。
今まで、子どもの健康や勉強、交友関係の心配など、一生懸命に子育てをしてきた親に多く、満たされない気持ちに苛まされるでしょう。
では、この空の巣症候群にならないためにも、親は日ごろから、どのような心構えで、子どもに関わっていけばよいのでしょうか。子どもの「親離れ」について考えながら、その方法について説明します。
親が感じる「親離れ」の瞬間
いつもママに頼り、傍にいた子どもが、ある時、親から離れていくように感じた瞬間はないでしょうか。
例えば
・服を着替える時、手伝っていたのに、「自分でする!」と親の手助けを断った。
・いつも手をつないで歩いていたのに、急に手をつながなくなった。
・今まで、お友達に家に遊びに行くとき、着いていっていたのを、小学校に入学したとたん、「ママは来ないで!」と言った。
・お風呂に一人で入ると言い出した。
・親と出かけるより、友達と遊ぶ方を優先するようになった。
・「クラスで好きな子ができた」と、話してきた。
など、子どもが、親離れした、と感じる瞬間は、様々な場面であると思います。
少し成長したように感じ、嬉しい反面、どこかに寂しさも感じられるママもおられるかもしれませんね。
「親離れ」を早めるスマホの普及
そして、昨今、子どもの親離れを早めているものに、スマートフォンの普及からSNSなどを手軽に使用できる状況があります。親に尋ねなくても、スマホで検索すれば、さまざまな情報を一人で簡単に収集できます。
またSNSは、手軽に見も知らぬ人とつながることができ、親の知らないところで、子どもの世界を一気に広げることでしょう。それらの子どもを取り巻く環境が、子どもの親離れを早める要因の一つにもなっています。
「親離れ」したようで実はまだまだ親離れしていない子どもの成長
親離れを早めるスマホ普及ですが、それは便利さと同時に、危険に遭遇させるものにもなり、スマホにまつわる多くの事件やニュースが世間では起こっております。
つまり子どもは、一個人として、スマホを使いこなしている訳ではなく、一見親離れしたかのように感じても、実はまだまだ親離れしていないのです。
また一度は「一人でする」「ママはあっち」「着いてこないで」などと言っても、翌日、もしくは数分後には親の傍に寄ってきて「ママ、手伝って」「聞いて、聞いて!」ということもあるでしょう。
子どもは、親から離れたかと思うと、また親の元に戻り、それを繰り返し、螺旋を上向きに描くように、親離れしていきます。
「親離れ」は子どものペースに合わせて
ある日突然、親離れしたかのような言動、振る舞いに親は、ドキッとしたり、嬉しさと同時に寂しさを感じたり、いろいろな思いや感情を抱くことでしょう。ですが、まだまだ完全な親離れをした訳ではありません。親から離れてみて、少し不安を感じたり、ママやパパが恋しくなると、また親の元に戻ってきます。
先ずは、親がこれらの一連の言動は、自然で、健やかな成長であることを理解しましょう。そのうえで、子どものペース合わせ、親離れしたかのような振る舞いをするときは、離れて見守りましょう。そうしながら、親も一緒に、子離れしていく準備をするとよいでしょう。
小さな親離れから徐々に、どちらも慣れていきましょう
日常の中で、「え?これって親離れ?」と思う瞬間、親も一歩、「子離れ」を考えてみましょう。
例えば、
趣味を探してみる。
夫との会話を増やしていく。
知識や経験を活かし、何ができるか考えてみる。
など、自分の気持ちが、イキイキできる何かを考えてみるとよいでしょう。
子どもの「親離れ」のペース合わせ、親も「子離れ」した後のことをワクワクしながら、思案してみるのも楽しいですね。
いくつになっても、心はいつでも抱きしめてあげる
子どもは、小さな「親離れ」を繰り返し、やがては完全に親離れしていきます。親もそれに合わせ、少しずつ子離れしていく「心」と「行動」の準備をしていくといいですね。
そして、子どもがいくつになっても、「親子である」ことは変わりないことも心に留めておきましょう。
「いくつになっても、心はいつでも抱きしめてあげる」という気もちも忘れず、ステキにエンジョイしたママのセカンドライフを楽しみまたいですね。
公立幼稚園、小学校での勤務、幼児教室を7地域で展開、小児病棟への慰問、子どもの声を聴く電話相談など、多方面から多くの子どもに関わる。そのような中、子育てに熱心な
故に、その愛情が焦りとなり挫折、絶望感を抱いている親子が多いことに心を痛める。
「子どもの自立」「自己肯定感」「自己制御力」を柱とし、真に子どもの能力を開花させる子育て法を広める活動を2010年から始める。
現在、息子は大学病院で医師として、娘は母子支援の職場で相談員として勤務。実生活に落とし込んだ、親の心に寄り添う記事に定評がある。「難しいことを分かり易く、ストンと腑に落ちて行動に移せること」を理念とし、現在は執筆、講演、幼児教室を中心に幅広く活動中。
資格:小学校教諭・幼稚園教諭・保育士・日本交流分析協会 子育ち支援士
著書:『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(株)KADOKAWA