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子育て

【食育】 子ども×料理で非認知能力や生きる力を伸ばそう!

【食育】 子ども×料理で非認知能力や生きる力を伸ばそう!

「好きなことを伸ばしたい」「食育について学ばせたい」「小学校・中学受験に役立てたい」と、さまざまな理由から料理を習い事として始める子が増えていると言います。

そこで今回は、食育スクール「青空キッチン」の爲我井あゆみさんに、非認知能力を始めとする子ども×料理で得られること、さらに家庭でできる食育の育み方についてアドバイスをいただきました。日々の食事の中でできることから始めてみませんか。


爲我井あゆみさん
一般社団法人「日本キッズ食育協会」チーフトレーナー。幼稚園教諭・保育士の資格ももち、2014年に3歳〜小学生のための食育スクール「青空キッチン」立ち上げメンバーとして、レッスン内容・レシピの監修を行っている。

料理で非認知能力が伸ばせる理由

__子ども×料理のメリットについて教えてください。料理でも非認知能力は伸ばせるのでしょうか?

非認知能力とは?

非認知能力とは、主に意欲・意志・情動・社会性に関わる3つの要素
①自分の目標を目指して粘り強く取り組む
②そのためにやり方を調整し工夫する
③友達と同じ目標に向けて協力し合う

からなり、特に幼児期(満4歳から5歳)に顕著な発達が見られると言われています(「中央教育審議会 初等中等教育分科会 幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会」より)

また、私立や国立小学校で行われている教育内容に通ずるため、小学校受験の合格者は非認知能力が高いとされています。
詳しくはこちらの記事もご覧ください。
子どもが料理をすることで得られることは、主に以下の項目があると考えています。

・達成感を味わうツールとなる
・褒められる経験になる
・やる気が出る
・集団作業をするとき目標に向けて協力できる
・感情をコントロールできるようになる(集団の場合)
・相手を認め合うようになる(集団の場合)

これらは、まさに非認知能力と共通していますから、料理でも非認知能力を伸ばすことは可能です。
※今回の料理と非認知能力の関係に関しては、あくまで私どもの教室での経験に基づいてお話させていただいております。

ご家庭でもよいのですが、子ども同士で料理をする(お料理教室など)方が、より非認知能力の成長を感じられる機会だと考えています。

なぜなら、非認知能力は他者との関わりで伸びやすい傾向があるからです。

たとえば、
・「調味料が開かない」など困った際に協力を求めるコミュニケーション力が養える
・教わった料理を家庭で再現して、家族に「美味しい」「すごい」と認められる
など。

食育には、子どもにとって身近な「食べる」行為まで含まれるので、褒める・認めるといったリアクションが取りやすいこともメリットと言えます。

あくまで、非認知能力をはじめとする子どもを伸ばす「ツール」の一つと考えていただけるとわかりやすいと思います。

__野菜を使った料理の方がより非認知能力を伸ばせるという研究結果 もあるようですね。
これは絶対というわけではないのですが、たとえばお菓子やケーキ作りは最初からワクワクしていて期待値が高い状態なのに対し、野菜の調理は、苦手な子もいますし、素材の下処理などの作業過程が多いのが「違い」と言えます。

野菜を洗って切って、種を取ったり、皮をむいたりしながら、野菜の素材自体の違いを実感しやすいため、より非認知能力を伸ばしやすいのではないでしょうか。

子育てにおける食育の定義

__現代の子育てにおける食育の定義とはどのようなものとお考えですか?
食育の定義は食育基本法に定められていますが、ご存じない方も多いのではないでしょうか。

弊協会では以下の5つをキッズ食育の定義としています。

【キッズ食育5つの定義】
1.興味を持って積極的に食を取り込もうとする
2.食に携わる人に感謝できる
3.食が自分の身体と能力に重要であることを理解している
4.適切な調理の仕方を知っている
5.食の大切さを自分の言葉で表現し、伝えることができる

この定義を広く一般家庭に浸透させることを目標に掲げ、私たちは2015年に食育スクール「青空キッチン」を立ち上げました。
食育で何よりも意識したいのが「食が体を作る」ということ。
健康でなくてはどんな夢も成り立ちませんから、食育は心情意欲態度における基礎作りです。

親御さんは離乳食から始まり子どものごはんに向き合う時間が多くなると思いますが、食育へのハードルを下げスクールにも頼りながら少しでも子育てを楽しんでいただけたら嬉しいです。

食育スクール「青空キッチン」でできること

__食育スクール「青空キッチン」ではどのようなことができるのでしょうか?
青空キッチンは、料理(調理)と教育の融合をテーマに、
「さまざまな食材・料理に触れる」
「素材から調理する」
「自分でやってみる」
「お友達と協力する」
「新しい知識や発見」
を掲げ、料理を通じて五感を育て、考える力、表現力、社会性を育み、子ども達の潜在能力を引き出すお手伝いをしています。

身につく力としては、調理の技術、栄養バランスや安全性など食を選ぶ力はもちろん、食事のマナーや考える力、自立心も養うことができます。

食育スクール「青空キッチン」でできること
他の料理教室にはない取り組みとしては、「思考力を伸ばすワーク」を使って、栄養や食に関する知識を学び、そこから世界へと目を向けていく点です。

たとえば、韓国料理であれば、地図や図鑑を使ってお友達と一緒に調べながら韓国に関する探求学習へと発展させていきます。

探求学習

料理は小学校受験や中学受験にも活かせる

__「青空キッチン」にはどのような経緯で来られる方が多いのでしょうか
料理が好きで習い事として通う子、好き嫌いを克服したい子、健康のために食育の知識を養いたい子など、きっかけはさまざまです。

たとえば、偏食や小食で悩まれてスクールにたどり着いた子は、「食で褒められる経験が少ない」可能性があるので、レッスンで褒められることで、食への興味関心を持つことも多いです。

他にも、料理が好きで継続するうちに、結果的に小学校や中学の受験にも役立ったという声もいただいています。

やはりテキストで見るのではなく、実際に体験した経験は記憶に残りやすいと感じています。

また、長期的に続けてきた小学6年生の子は、食育スクールが成功体験や最後までやり抜く力につながって、中学受験でも活かせた、と話してくれました。

青空キッチンは、女の子より男の子が多いスクールもあります。「料理=女性がやるもの」とは思っていませんが、私たちの考えに共感して料理を習いたいと思ってくれる男の子が増えるのは嬉しいです。


年齢別、子ども×料理の注意点

__子どもと料理をする際の注意点を年齢別で教えてください!
まず、「大人が思っているより子どもたちはできる」ということです。

ただ、どうしても危ないと手出し・口出しをしてしまう気持ちはとてもよくわかります。その場合は、料理の基礎を第三者に学ぶのも手だと思います。

【3歳頃】
やりたい気持ちをいかに実践に結びつけるかがポイントです。お母さまと同じようなことがしたいので、隣で道具を使い、参加している気持ちにしてあげましょう。

安全に配慮すれば、教室では3歳から火も使えます。ご家庭ではサラダスピナーを使い、サラダ係に任命するとやる気がアップするかもしれません。

【5歳頃】
ハサミもある程度使える時期なので、子ども用のハサミで「これなら切れる」というものを任せてみましょう。

ハサミの次はトングや菜箸など、年齢によって道具をステップアップさせるのがポイントです。

包丁に関しては、目を離して任せられるまでは一緒に練習が必要なので幼児向けもありますが、「年長さんになったら・小学生になったら使おうね」と楽しみをとっておくのもおすすめです。

親や先生から褒めてもらえるのが何より嬉しい年ごろなので、上手に褒めながら、自己肯定感をあげていきましょう。

【7歳以降】
小学生になったら、できることがどんどん増えていきます。教室に通う子は高学年になれば大抵の物は作れるようになります。

朝ごはんを家族分用意したり、お母さまから頼まれたらお米を(鍋で)炊くことが習慣という子もいます。

盛り付けにも個性が!
子どもたちを見ていると料理は個性そのものだと感じます。一つひとつこだわってお手本の写真を忠実に再現したい子、盛り付けの見た目にこだわる子など盛り付けの仕方も個性豊かです。

ご家庭でもお皿選びや盛り付けでその子の個性を感じ、楽しんでみてくださいね。

家庭でできる手軽な食育のすすめ

__料理以外に家庭でできる食育はありますか?
食品を赤、黄、緑の3つのグループに分類した「3色食品群」をご存じでしょうか。

4~5歳になると少しずつ理解できるようになりますから、くり返し伝えながら食事の会話に盛り込んでみましょう。

「3色食品群」
(伝え方例)
「今日のご飯も全部のグループが揃っているか見てみよう!」
「赤グループの食べ物はどこに入っているかな?」
「緑グループは○○くんを風邪の菌から守ってくれるよ!」
「黄グループは元気よく遊べる力になるよ!」

など、クイズ感覚で食べ物の役割を伝えると、苦手な食べ物も食べてくれることもあります。

ちなみに、バランスの黄金比は、「黄(主食):赤(主菜):緑(副菜)=3:1:2」と言われていますが、1日単位で考えずに1週間単位で考えながら、バランスのよい食事を目指してみてください。

__子どもが食育を学ぶとどんな変化がありますか?
青空キッチンに長く通う親御さんからは、
「口内炎が出来た際、体のために野菜を食べなきゃと、自らトマトを口内炎のない反対側の歯で食べていました」

「食に対する苦手意識が減り、自分のために食べる力や作ってくださる方への感謝の気持ちが芽生えました。最近では苦手なものも手をつけないということがなくなりました」

というお声をいただいています。食育はあくまで「食に興味を持つきっかけ」です。

難しく考えずに、お子さまと食の会話を楽しむだけでも食育ですし、野菜を触って手先の感覚を豊かにすることも立派な食育です。

食事の準備を最初から最後まで行うことを目標とせず、年齢に合った集中力の中で楽しんでみてくださいね。

子どもの食育ラボ」では子どもの食のプロが教える食育のヒントやレシピが満載です。 また11日に、青空キッチン監修の食育に関する本『スポーツキッズのための強い体をつくる食育レシピ』(現代書林)が発売されます! 詳しくはこちらをご覧ください。
著者プロフィール

SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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