7月14日は国を祝うフランスの「革命記念日」で、祝日に制定されています。全国各地でパレードや花火、ダンスパーティーなど革命記念日を祝うイベントが開催され、なかでもパリはお祝いムード一色に染まります。フランスではどのように革命記念日を祝うのか、また、なぜ7月14日に制定されることになったのかなど、本記事でご紹介します。

軍事パレードや航空ショー、花火で盛り上がるパリ

日本語では一般的に「フランス革命記念日」や「パリ祭」との名称が使われますが、フランス語では「フランス国祭日」や「フランス国民祭」、または日付からとった「7月14日」と呼ばれています。 この日のパリは国を挙げた行事としてさまざまな祝賀イベントが目白押しで、市民だけでなく観光客たちも大いに盛り上がります。

なかでもパリ市民の関心を集める行事といえば、シャンゼリゼ通りの軍事パレードです。パレードの幕開けとなるのは、フランス空軍アクロバットチームによる航空ショー。青、白、赤というフランス国旗のトリコロールを空に描きながら戦闘機が舞う様子は、テレビなどで見たことがある方も多いのではないでしょうか。

フランスの大統領や首相、国民議会の各議長、駐仏外国大使などが出席した会場で、軍用ジープや騎馬隊、戦車などの軍事パレードは凱旋門からコンコルド広場へと進んでいきます。さらに夜になると、フィナーレを飾る花火がエッフェル塔から打ち上げられ、音楽やプロジェクションマッピングと融合した美しいショーが繰り広げられます。

全国で無料イベントや美術館解放などを実施

革命記念日は祝日で学校や企業などは休日ですが、パリの美術館をはじめとする主要文化施設の多くは通常通り開館。モナリザが展示されているルーブル美術館をはじめ、パリの多くの美術館や記念館がこの日は入館無料で楽しめます。
百貨店やショッピングセンターも通常営業しているところもあり、祝賀ムードに便乗し革命記念日の特別セールを行う店もあります。

また、パリだけでなく、フランス国内のいたるところで無料のコンサートやイベントが多数開催されます。花火は全国各地で打ち上げられるため、もし当日フランスに滞在する機会があれば、それぞれの街のイベント会場をチェックするとよいでしょう。この時期のパリは日が落ちるのが遅いため、どの街でも花火の打ち上げは22時半〜23時ごろという遅い時間になります。

7月14日制定のきっかけはバスティーユ牢獄襲撃の成功

7月14日が革命記念日に制定されたきっかけとなったのが、フランス革命の発端でもある1789年7月14日のバスティーユ牢獄襲撃です。バスティーユ牢獄といえば、王政に反対する政治犯が収容されることで知られていた専制政治の象徴的な場所でした。

1789年、パリの民衆は国民議会の成立に湧いていました。ところが成立に対抗しようとしたルイ16世は、民衆の人気を集めていたネッケル大臣を罷免。怒ったパリの民衆たちは一気に蜂起し、7月14日にバスティーユ牢獄へ押しかけて銃撃戦の末、囚人解放に成功したのです。これをきっかけに暴動は全国的な動きへと広がり、フランス革命へとつながっていきました。

バスティーユ牢獄襲撃翌年の1790年7月14日、革命政府はバスティーユ奪取1周年を祝い、パリで大規模な国家式典「連盟祭」を開催。この「連盟祭」はフランス革命を締めくくるものと受け止められました。
その後1879年に、フランスは「共和国」としての定着を図るために国祭日を制定することを決定。複数の候補日のなかから、最終的に1789年のバスティーユ牢獄襲撃と1790年の連盟祭が行われた7月14日が選ばれました。こうして翌年の1880年から、 フランスの共和政の始まりを象徴する日として7月14日が国を挙げて祝う国祭日（「革命記念日」）となったのです。

まとめ

フランスでは国の標語として憲法に「自由・平等・友愛」が明記されていますが、その起源は革命記念日制定のきっかけともなったフランス革命です。この標語はフランス人にとって「民衆が勝ち取った」という意識が強く、国民の精神的基盤となっています。

そういった歴史的、政治的背景を鑑みながら革命記念日の行事を眺めてみると、また違った見方ができるかもしれません。日本ではなかなかお目にかかれないような華々しい祭典なので、お子さんと一緒にユーチューブなどで一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。

執筆／Mariko Dedap