フランス人の大切なお菓子、新年に食べるガレットデロワとは?
フランスでは新年の最初の日曜日に、必ず「ガレットデロワ」というお菓子を食べます。1月のエピファニー(公現祭)と呼ばれるキリスト教のお祭りの日に合わせ、家庭や学校、職場で振舞われるのです。どのようなお菓子でどういった祝い方をするのか、フランスの伝統菓子であるガレットデロワについて紹介します。
目次
クリスマス最終日の定番お菓子
フランスでは1月になってもクリスマスのお祝いが続きクリスマスツリーも飾られていますが、お祝いの最終日にあたる年明けのエピファニーに食されるのが定番菓子のガレットデロワです。もともとキリスト教の3人の王がイエスの誕生に祝福をあげにやってきた、というお話から生まれた風習なのですが、現在もフランス人の伝統行事として続いています。
ガレットデロワは家庭でも作りますが、年末年始はパン屋さんやパティスリー、スーパーなどフランスの至る所に並びます。アーモンドクリームがたっぷり入ったサクサクのパイで、普通のお菓子と違うのはパイのなかに「フェーブ」とよばれる陶器の人形が1つ入っていることです。
この人形が当たった人は「王様(女王)」となり王冠を授けられるので、市販のガレットデロワにはかならず紙でできた王冠が付いています。
家庭でのお祝いは王冠やキスで盛り上がる
ガレットデロワの種類や祝い方は地域や家庭によってやや異なりますが、筆者のように小さい子どもがいる家庭では以下のようになります。
ガレットは参加者の数に合わせて均等に分けるものの、ランダムに配るため、大人がガレットを切り分けている間に最年少の子どもがテーブルの下に隠れてガレットの受取人を指定します。「これは誰の分?」、「ママの!」、「じゃあこれは?」、「私の!」というように、テーブルの上と下で会話のやり取りが行われます。
そして全員分に配り終わったらテーブルの下に隠れていた子も席につき、陶器のフェーブを噛んだり飲み込んだりしないように気を付けながらガレットを頂きます。自分のガレットにフェーブが入っていれば大当たりで、「王様」または「女王様」となって王冠をかぶります。そしてパートナーとなる王様か女王様を指名し、もう1つの王冠をかぶせてあげて頬にキスします。
陶器の人形「フェーブ」は大事なコレクションに
幼稚園や小学校では人数が多いため、家庭とは違いお祝い方法は簡素化されます。テーブルの下に隠れて受取人を指定したり、「王様」がパートナーを選んでキスしたりすることは省略。先生や職員が切り分けたガレットを配り、子どもたちは自分のガレットにフェーブが入っていないかドキドキしながらガレットをいただきます。
フェーブが当たった子は大喜びで紙の王冠をかぶります。フェーブと王冠は貰うことができ、周囲の子たちはフェーブを見ようと集まってくるのです。
フランスの小学生に「何か集めているものはある?」と尋ねると、ちょっと考えてから「フェーブ!」と答える子の多いこと。多くの子どもたちが、当たったフェーブを大切にしまっているようです。
筆者の娘も集めたフェーブを小箱に貯めていました。学校で友達にあげたり交換したりして、中学校生活の半ばぐらいまで、フェーブ集めを楽しんでいたように思います。
(筆者の娘が集めたフェーブの一部)
職場でも多人数やチームで楽しむ
職場でもガレットデロワを祝いますが、複数の有志や上司などが準備して周囲の人たちを招いて祝うことが多いようです。50人規模の合同パーティーを開催したり、10人程度のチーム内だけで企画したりと、ケースバイケース。大勢で祝う場合は会社の会議室などを使い、ガレット代金は経費で出してもらえます。
ガレットはあらかじめ切り分けてお皿に置き、皆が各自取っていくセルフサービス式。さまざまな飲み物も用意され、フランスらしくシャンパンが提供されることもあります。
忙しい人はガレットを食べ早めに引き揚げますが、そうでない人は1時間半ほどお喋りを楽しみます。同じ会社に勤めていても大勢で集まる機会は多くないため、ガレットデロワは社内の交流の場や情報交換の場としての役割も果たしています。
エピファニーは日曜のため幼稚園・学校や職場では当日にこだわらず、その前後の日にガレットデロワのお祝いをしているようです。
まとめ
クリスマスの最後を締めくくるフランスの伝統行事、エピファニー(公現祭)には欠かせないガレットデロワ。地域や家庭によってガレットの味や祝い方は多少変わるものの、「フェーブ」が入っていることや、フェーブが当たった人は王冠をかぶるといった伝統はフランス全土で共通のようです。
家族や友人にとどまらず幼稚園や学校、職場でも祝うエピファニーのガレットデロワは、フランス人にとってこれを食べないと新年を迎えた気分にならない重要なお菓子といえるでしょう。
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