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子どもの癇癪とADHDはどう違う? ~育児セラピスト&医師がお答え~

子どもの癇癪とADHDはどう違う? ~育児セラピスト&医師がお答え~

手をつけられないわが子の癇癪に、「もうどうしたらいいの……」と親の心が折れて泣きそうになってしまうことがありますよね。そこで今回は、ママを悩ます「癇癪」について、育児セラピストの高橋未来さんと、発達障害児の専門家であるどんぐり発達クリニックの宮尾益戸知医院長にお話を伺いました。気になるADHDとの違いも必見です!

まず最初に、前職の右脳教育の幼児教室で0歳〜小学校4年生までの各クラスの担任を担当し、100組程度のご家庭と関わってきたという、育児セラピストで㈱Hacksii代表取締役の高橋さん(https://hakushi-no-recipe.com/)に、子どもが癇癪を起した時の対処法について教えていただきました。

なぜ子どもは癇癪を起こすのか

さっきまでご機嫌だった子が、少し気に入らないことがあると、泣き喚いて手がつけられなくなること、ありますよね。幼児教室で働いているときにも何人も見てきました。

外でやられると人の目が気になるし、家の中だとイライラが爆発しそうになる。子どもたちはなぜ癇癪を起こすんでしょうか?

少し整理をしながら改善策をお伝えしていければと思います。

一体なぜ、子どもは癇癪を起こすのでしょうか?

性格と言ってしまえば終わりですが、ほとんどの場合は、言葉でうまく表現できないことが原因だと言われています。語彙力があれば自分の状況を言葉で説明することができますが、語彙力の乏しい子どもは、言葉で説明できない分、態度で示すしかないんです。

大人が癇癪を起こすことが少ないのは、そういう理由なのですが、たまに大人でも似たような状況になっていることがあります。

例えば子育てについてご主人と口論になった時、つい物に当たりたくなること、ありませんか? その時の感情を思い返してみていただくと、大抵「なんでわかってくれないの!?」がほとんどだと思います。この、「なんでわかってくれないの!?」が実は子どもの癇癪にも繋がっているんです。

癇癪が起きたときの対処法

では、目の前で泣き喚く子に、どう接したら良いか一緒に考えてみましょう。まずはご自身が物に当たりたくなった時、どうして欲しいと思っているか、振り返ってみてください。

自分の気持ちを理解して欲しい、と思いませんか?

「どうして泣いているの!いい加減にしなさい!」とイライラをぶつけて怒鳴ってしまっては、余計に刺激してしまいます。

ポイントは、共感してあげることまずは抱きしめて落ち着かせてあげましょう。そして、「何が嫌だったの?」と尋ね、何に対しての気持ちを表現しているのかを探りましょう。

答えてくれたことに対して、絶対に否定的な言葉をかけないでください。例えば「みんな普通にやってる当たり前のことでしょ?」など。「そっか、〜が嫌なんだね」と、子どもが答えたことを繰り返して返答します。

次に、「どうして嫌なのかな?」と、理由を尋ねます。ここでも否定的な言葉をかけない、子どもの答えを繰り返す、を忘れないでください。子どもがきちんと話を聞いてもらえている、という感覚を作ることが大切です

それから、最後にママの自分の意見も伝えてみましょう。例えば、にんじんを食べるのを嫌がって泣いているのであれば「にんじん食べると元気になるから、元気になって欲しくて食べて欲しかったんだ」など。

もしかしたら、全て「わからない」と返ってくることもあるかもしれません。その時は、「そっか、わからないか。こういうことかな?」と、ママの方から例を出してみてあげてください。

癇癪を起した理由を理解すること

大切なのは癇癪を起こさせないようにすることではなくて、なぜ子どもが癇癪を起こしているのかをきちんと理解しようとすることです。

ママが自分を理解しようとしてくれて話を聞いてくれた、ということは子どもの自己肯定感を向上させ、豊かな心が育まれていきます。一人の人間であることをきちんと理解した上で向き合っていくことが、何より大切なポイントです

では続いて、発達障害児の専門家である、どんぐり発達クリニック(https://www.donguri-clinic.com/book.html)の宮尾益戸知医院長に、医学的な観点からアドバイスをいただきました。

癇癪とADHDとの見極め方

知的能力が高いADHD要因のあるお子さんは癇癪持ちであることが多いです。あと、ADHDと自閉症スペクトラムの症状にも癇癪があります。

ギフテッドの子どものかんしゃくは、人からの指摘を受け入れられない、間違いを認めないことによります。ADHDのかんしゃくは、自分への攻撃が重なってくることからおこります。次々と攻撃が重層していくイメージです。馬鹿と5回言われれば、5回分仕返しをします。周りからは1回分の仕返しと思いますのでおかしいと思われてしまいます。

自閉症スペクトラムでは、自分に対する攻撃が行われたことがフラッシュバックとして蘇りそのときに一時的に戻ってしまうので、周りからは分からない時におこってしまいます。

誰でも、指摘され、間違いを認めることは嫌な物です。その度合いが成長の過程によるものか、治療が必要かに分かれてくるというイメージです。

たとえば、私のクリニックを受診されるお子さんたちに、今日の調子を尋ねると、ギフテッドの子はいつも自分が正しいと思っています。完璧でなければ気が済みません。人は70%ぐらいで完璧と思っていますし、機能がだいじょうぶであれば、「まあいいか」とおもってしまいます。

ギフテッドの子どもはその30%がゆるせないのです。たとえば、「今日の調子は」と聞くとギフテドの子どもは、「調子が悪い」と言い、どのくらい悪いかと聞くと30%悪いと言います。一方の付き添いの親御さんに調子を聞くと、「調子はまあまあ。割合だと70%くらい」といいます。状態の良さはどちらも70%だとしても、30%悪いことが気になってしまうのです。このことは、自閉症スペクトラムの人も同様です。

ADHDの側面では、衝動的に注意を向けたことにストップがかけられてしまうとかんしゃくを起こしてしまいます。彼らは、常に頭の中に「面白いと思うもの」を持っているので、「やらなきゃいけないこと」に注意がいかないのです。遊びに夢中で目の前で衝動を抑えられないんですね。

対処法は「完璧はない」と教えること!

なぜ子どもが癇癪を起こすのかというと、「自分が非難されるのが嫌」、「ちゃんとできないことが嫌」など、何かしらの許せない理由があるからです。

これらの対応方法は、ADHDであろうとなかろうと同じで、「パーフェクトはないと教えること!」です。

たとえば、お母さんが毎日完璧なオムライスを作るとします。でもある日、卵がぐちゃぐちゃになったものを「味は同じだよ」と出しても、いつか子どもは「きっとそうだよな」と理解するはずです。

癇癪を克服するには、子ども自身が「この世に完璧はない」と気づくことなのです。それが日々の訓練や心の成長で自然と獲得できるか、治療が必要かどうかの違いということですね。

親が疲弊したら病院で相談を

癇癪などの「衝動の押さえられなさ」や「落ち着きのなさ」が気になる度合いはご家庭によって異なるのですが、受診の目安としては「親が疲れてしまったら」でいいと思います。

夫婦で疲れ果てて受診されたご家族に対しては、私は親と子を別で話をしていきます。お子さんには、その子のいい所を具体的に取り出して「君はすごい! でもここだけできると大したもんだよ」と伝え、親御さんには「お子さんはこういう風に考えて頑張ろうと思っているんだけど、うまくできないので認めてあげてください」という風に。

ADHDは薬で症状が落ち着いたり改善することも多々ありますから、親子で疲れてしまったら一度受診をしてみるのもいいでしょう。

最後に、私が今気になっているのが、コロナ禍で親御さんが家にいることが増え、子どもが以前のように好き勝手できずにストレスを溜めてしまっている子が多いということ。

親もリモートワークで知らず知らずに仕事場の雰囲気を家に持ち込んでいるんですね。出来ない部下を怒るように、お子さんを怒っていませんか? お子さんは「今までと同じようにやっているのに、細かいことを言われちゃう……」となるわけです。子どもも家ではリラックスしたい場所であることも理解してあげてください。

著者プロフィール

SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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