男の子の本音を引き出す!聞き方の「あ・い・う・え・お」とは?
幼稚園の年中、年長ともなると、「園での様子を知りたいけれど、聞いても話してくれない」と悩むママは多いものです。特に男の子のママによく見られ、しつこく聞きすぎると、うるさがられるという声も聞かれます。
そこで、今回は、男の子の本音を引き出すためのコツを、心理学を交えてお伝えしていきます。
目次
話を聞いているようで、聞いていない!?
子どもの本音を聞き出したいときというのは、たいがい、ママの心で「気になっていること」があったりするものです。
「このごろ、おとなしい」「最近、泣いてばかりいる」「なんかいつもイライラしている」など。子どもの最近の様子に、ママなりの推察をかけ合わせて、「何だか最近、やけに○○だな。大丈夫かな」「園で友達とうまくいっているかな」と気になるようになり、ならばと、あれこれと質問を投げかけてみるのです。
でも、「聞きたい」はずなのに、いざ子どもが話し出すと、うまく聞き役に回れないことも少なくありません。それが度重なると、子どもは多くを語らなくなります。
ママが話を聞いているようで、実は聞けていない、こんな状況のときに、子どもは口を閉ざす傾向があるのです。
では、子どもの話を聞きたいのに、うまく聞けていない状況とはどんなときに起こりやすいのでしょうか? 子どもたちがママに本音を話したがらなくなるパターンを見ていきましょう。
会話のキャッチボールが途切れるパターン3
男の子に限らず、親子間の会話がどうもはずまない、子どもが身の回りの出来事を話したがらない、このような場合、次の3つのパターンのどれかに陥っていることが多いようです。
パターン① ママの質問があいまい+マンネリ過ぎて答えにくい
「今日はどうだった?」
「幼稚園で何したの?」
男の子に限らず、子どもがうまく答えられない質問の典型例です。
「ふつうだった」
「いつもと一緒」
こんな風に切り返されて会話が終了。
一日何時間もいる園では、さまざまな事が起こります。それをひと言「どうだった?」と聞かれても、何をどう答えていいのか、子どもたちにはわかりにくいのです。
「今日はだれと一番たくさんおしゃべりしたの?」「ママが迎えに行ったとき、何してたの?」「お弁当のおかず、どれが一番美味しかった?」これだと、具体的なので、答えやすくなります。
パターン② ママが一方的に話しをまとめ上げてしまう
「それは○○した方がよかったよ」「〇〇しちゃダメだよ」と、せっかく話したのに、すべてママ的に結論づけられてしまうのも、子どもが避けたい状況です。これは、大人同士(とくに夫婦間)でよく見られるのでイメージしやすいと思います。
たとえば、ママがただ愚痴を聞いてもらいたくて話しているのに、パパに「ああすればいい」「こうすればいい」と求めてもいないアドバイスを言われる、これなどが当てはまります。
ママの心には、「アドバイスが欲しくて聞いてもらったんじゃない」「ちっともわかってくれない」という思いが残ります。
もしお子さんが何かしらの不安があって話を打ち明けてくれたときは、ママの「そうだったんだね」「うん、うん、そっか」という柔らかなうなずきの方が、どんな指示的な言葉よりも、子どもの心にすっと届きます。
パターン③ 警察の尋問のように質問攻めにする
親は子どもの不安や悩みをわかってあげたいと思うものです。ただ、その思いが強くなり過ぎて、根掘り葉掘り聞こうとするのも、子どもたちはいやがります。
自分が好きなことや興味のあることに対して、あれこれ質問されれば、子どもは得意げに答えてくれるかもしれませんが、イヤだなと思っていることや聞かれたら厄介なことは、できれば言いたくないものです。
幼稚園生であれば、少々生意気なところはあっても、まだまだママに甘えたい年頃です。基本的に、質問攻めにしたところで、大収穫は見込めませんので、それよりは純粋に甘えさせて、まずは心のバリアを解いてあげる方が得策です。
この3つに共通するのは、子どもから話を聞きたいという「子ども⇒ママ」という方向性を望んでいるはずなのに、いつのまにか、「ママ⇒子ども」とママが会話の主導権を握ってしまっているということです。
子どもがやっと口を開いたのに、最後まで聞かずに、会話を乗っ取ってしまうケースも意外に多いもの。子どもの話を聞くときは、その方向性を意識することがポイントです。
聞き方の「あ・い・う・え・お」
心理カウンセリングをするときに、カウンセラーに求められる大事な資質が「傾聴力」です。ただ耳に入ってくる言葉を“聞く”のではなく、姿勢を傾け、心も傾けて“聴く”ことができるかを指します。
母子の関係でも同じ。子どもの心の声を聞きたいときは、「傾聴」を意識しましょう。
これまでに、「聞き方のあいうえお」というものを耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。ここでご紹介しますと、
あ:相手を見て
い:いいところを見つけて
う:うなずきながら
え:笑顔で
お:終わりまでしっかりと
まさに、傾聴のあるべき姿です。
上で挙げた3つのパターンを見ると、どれも「あ・い・う・え・お」が実践できていません。それにより、子どもは、話していても「どうせわかってもらえない」と感じやすくなるのです。
ママは、親の責任から、「子どもに何か指導をしなくては」という思いが先に出てしまうものです。でも、お子さんが打ち明けている最中に、ママが頭の中で何を言うべきかを考え出してしまうと、その段階で、傾聴がストップしてしまいます。
トークテクより、自然と言いたくなる関係づくりを
子どもの本音を聞き出すというのはとても難しいものです。その場をトークテクニックだけで切り抜けられるほど、簡単ではありません。5歳くらいになれば、毎日のやりとりから、ママの出方は予測がつきます。
自分がイヤな思いをするようなことや(どうせ叱られる)、マイナスになるようなこと(○○はダメと言われる)は、「言わない方がいい」と判断するようになります。
一番大事なのは、普段からの関係づくりです。ママが自分のことを全面的に受け入れてくれているとわかっていると、子どもは何でも話しやすくなります。
“全面的に”とは、
・もし幼稚園で友達とけんかをしても
・もし友達に仲間外れにされても
・もし発表会で大失敗をしても
・もしテストで0点を取っても
それでも、ママとパパだけは受け入れてくれるという信頼感のことです。
「言ってもわかってくれない」と感じると子どもは話したがらなくなります。「言っても絶対に受け入れてくれる」とわかっていれば、話しやすくなります。
テストでは0点を取っても、ママにとっては、いつも100点満点なのがわが子の存在。その思いで、日ごろから「あ・い・う・え・お」を意識すると、あえて聞き出そうとしなくても、自然と話してくれることが増えてくるはずです。
育児相談室「ポジカフェ」主宰&ポジ育ラボ代表
イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。ポジ育ラボでのママ向け講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポート。2020年11月に、ママが自分の心のケアを学べる場「ポジ育クラブ」をスタート。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。HP:https://megumi-sato.com/