ステイホームでさらに人気の卓上ゲーム、イタリアでは子どもから高齢者まで!
ステイホームが続く昨今、子どもたちがパソコンやタブレットに触れる機会は劇的に増えました。そうしたツールは今後の人生で不可欠のものであり、早い時期に触れるのは悪いことではありません。一方で、家族が自宅での生活を余儀なくされているなか、アナログともいえる卓上ゲームにも注目が集まっています。クリスマスや復活祭などの休暇中に一族郎党が結集することが多いイタリアでは、子どもから高齢者までともに楽しむことができる卓上ゲームがまだまだ人気なのです。
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広場などで楽しめる卓上ゲームは高齢者の日常的な社交手段
コロナによるロックダウンによりレストランはおろかバールも閉まってしまったイタリアで、現在は見られなくなってしまった光景があります。それは、バールの片隅や広場の一角でカードゲームなどに興じる高齢者の姿です。
イタリアの高齢者たちには、朝から晩まで町の広場やバールにたむろしておしゃべりやゲームを楽しむ習慣がありました。昨年春に北イタリアで爆発的に新型コロナウイルスが広がったのも、密になって集う高齢者たちの慣習に一要因があるといわれたほどです。飽きることなく1日中ゲームを楽しむ彼らの遺伝子は、子どもや孫にも脈々と受け継がれています。
サンタクロースが持ってくるゲームの数々
イタリアのクリスマスはまさにプレゼントが宙を飛び交う勢いで、なかでも子どもたちへのプレゼントは彼ら自身が望むものに加え、親が贈りたいと思うものを数個そろえるのが常です。子どもたちは当然タブレットなどで遊ぶゲームを欲しますが、親たちはそれに加えて書籍やアナログな卓上ゲームを「サンタクロースから」として贈るのです。
これらアナログなゲームはすぐに開封されて、クリスマス休暇中に家族で楽しむことになります。どこの家にも山積みにされていることが多く、人数や状況に応じて卓上に登場するのです。
クリスマスや復活祭だけではなく、夏の休暇や誕生日パーティーにも人々はこうしたゲームを持参し、子どもたちは大自然のなかでも楽しみます。それぞれの家でルールが異なりちょっとした口論になることもありますが、そこはちゃんと話し合ってルールを決めるあたりが、いかにもゲーム慣れしているといえます。
週末の青空市場一角にも設けられる卓上ゲームコーナー
農業王国のイタリアは、各地で青空市場や農家直営の市場が開催されます。週末を利用してこうした市場を訪れる家族のために、ゲーム好きの大人が卓上ゲームコーナーを設けていることもしばしばあります。人数や子どもの年齢を見て、おすすめのゲームを伝授してくれるのです。
2020年のイタリアでは、復活祭もクリスマスも厳しい移動規制が実施されました。外食も外出もままならないなかで、自宅にある卓上ゲームは時間つぶしにはもってこいの楽しみ。さらに数々の研究から、こうした卓上ゲームにはストレスを軽減したり思考力を伸ばしたりする効能も認められています。いずれにしても、イタリアでは卓上ゲームの需要が減る様子はありません。
家族で楽しめる卓上ゲームおすすめ5選
家族で楽しめる卓上ゲームですが、実際に購入するとなると商品数が多くて頭を抱えてしまうこともあります。イタリアで人気のゲームのいくつかをご紹介したいと思います。
① 5歳児から高齢者までともに楽しめるシンプルなゲーム「MIKADO」
日本のお菓子「ポッキー」にイタリアでは「MIKADO」という名前がついているためか、細長い棒だけで構成されるこのゲームも同じ名で呼ばれています。イタリアでは「シャンハイ」という呼称もあり、東洋的なゲームという認識があるようです。17センチの細長い棒41本を卓上にばらまき、ほかの棒を揺らすことなく抜いていくゲームです。棒に塗られた色によって点数が異なり、集めた棒のポイントを競うゲーム。ちょっとでもほかの棒に触れたらアウトなどで、家族で大騒ぎしながら楽しめます。ルールがシンプルであるため、5歳の子どもでも参加できるのがメリットといえます。
② 「おばけキャッチ」は反射神経のよい子どもの方が有利
イタリアの卓上ゲームコーナーで子どもたちの人気を独占していたゲームで、小学生になれば楽しめます。イタリアでは「ファンタスカッティ」という名前ですが、日本でも「おばけキャッチ」として知られています。いくつかのバージョンがありますが、基本はおばけ、バケツ、瓶、ネズミ、樽(ときには白い布)のオブジェである物体をテーブルの中心に並べて、カードをめくっていきます。カードに描かれた絵のなかに、物体と色が一致するものがあればそれを、一致するものがない場合は逆に、色も物体も存在しないものを選んで奪うゲームです。大人よりも、反射神経のよい子どもの方が圧倒的に強いです。
③ 色も美しい2人向けのゲーム、理系脳を育てる「カタミーノ」
カラフルな色のパーツで構成された「カタミーノ」は、オランダ生まれの知育玩具です。適応年齢は3歳からで、プレーヤーは2人に限定されますが大人でも楽しむことができます。相手よりも早くブロックを埋めていくゲームで、3万6千を超える組み合わせが可能なため、数学的な脳の発達に寄与するといわれています。
④ 幻想的なカードで想像力と語彙力をつける「ディクシット」
数々の受賞歴を持ち上質でビジュアル的にも美しい「ディクシット」は、クリスマスの贈り物として人気があり、8歳以上6人で楽しめます。ルールを簡単には説明しにくいのですが、抽象的なカードから想像できる言葉を駆使しつつ、対戦相手たちがどんなことを考えているのかというイマジネーションを働かせる必要があります。ゲームをしていると大人の方が陳腐な言葉しか使わないことも多く想像力の重要さがわかりますが、大人だけで遊んでも醍醐味のあるゲームです。
⑤ ステイホーム中でも世界中を旅できる「チケット・トゥ・ライド」
小学校高学年くらいから楽しめるのが「チケット・トゥ・ライド」です。プレイ人数は5人までで、かなり長丁場になるゲームなので週末の午後にはよい時間つぶしに。ゲーム開始時に各プレーヤーに秘かに割り当てられた都市に向けて鉄道を敷いていくのが目的のゲームですが、かなり戦略的頭脳を要します。2004年にドイツ年間ゲーム大賞を受賞したゲームで、アメリカ版やヨーロッパ版に加え日本バージョンもあります。
最後に
卓上ゲームはルールを理解するのが面倒という人も少なくありません。ところが1度ゲームを始めると、時間が経つのを忘れてしまうほど没頭できるから不思議です。終わった後には、PCやタブレットを使ったゲームとは異なる爽快感があります。子どもたちの柔軟な脳は、卓上ゲームを楽しむなかで大人と渡り合うほどのパワーを見せてくれます。ステイホームが続くこの時期、ぜひ家族で卓上ゲームを囲んでみてください。
【参照URL】
https://www.sciencedaily.com/releases/2019/11/191126140413.htm
https://d.repubblica.it/life/2020/04/11/news/pasqua_pasquetta_famiglia_isolamento_benefici_gioco_bambini_ragazzi_adulti_ricerca_consigli_psicologa-4711922/
https://www.giochi-da-tavolo.it/benefici-giochi-da-tavolo/
世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。