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子育て

パパたちは家に居場所がない?『家事でモメない部屋づくり』著者 三木智有さん

パパたちは家に居場所がない?『家事でモメない部屋づくり』著者 三木智有さん

「10年後もただいま!と帰りたくなる家庭にしよう」がスローガンのNPO法人tadaima!代表を務める三木智有さん。インテリアコーディネーターの経験を活かし、日本で唯一の家事シェア研究家として、子育て家庭の模様替えコンサルタントを行っている。

今回は、子育て世代のSHINGA FARM読者に、「家族みんながハッピーになれる部屋作り」をテーマにお話しを伺いました。“夫と家事をシェアするための部屋づくり”のコツも必見です!


三木智有さん
家事シェア研究家・子育て家庭の模様替えコンサルタント。NPO法人tadaima!(http://npotadaima.com/)代表取締役。家事シェアを広めるための講演を年間80本以上、子育て家庭の模様替えを年間100件以上行う。日本唯一の家事シェア研究家として、2016年内閣府「男性の暮らし方・意識の変革に関する専門調査会」委員に選任。パパが家事育児の視点を少し変えるための情報を日々発信している。著書『家事でモメない部屋づくり』も発売中。 note(https://note.com/tomoari_miki)Twitter(https://twitter.com/tadaima_tomo

パパたちの「家の中に居場所がない」という声がきっかけに

__家事シェア研究家という仕事について教えてください

インテリアコーディネーターとしてこれまで2,000件以上のご家族の相談を受ける中で、パパたちの「家の中に居場所がない」という多くの声を耳にしてきました。

家のインテリアや収納ってどうしてもママに主導権がありますよね。その結果、パパは家に興味が持てず、居場所がなくなり、家事もできないのではないかと考えました。

そこで、100人のご夫婦にヒアリングし、「どうしたら男性にとって住みやすい家になるか」を調査していくうちに、インテリア×家事シェアにはその家庭にあった最適解があること。さらに、家を整えることで、ママの「パパに家事をもっと手伝ってほしい」という不満や、パパの「居場所がない」という悩みが解消されることが分かったんです。

そこで、2011年からNPO法人tadaima!を立ち上げ、家事シェア研究家として模様替えのコンサルタントを行っています。

家事の悩みは、その家にあったインテリアで解決できる!

__家が整う(最適化される)とどんないいことがありますか?

お悩み①「朝出かけるまでのバタバタをなんとかしたい」

このお宅は2階に寝室とクローゼットがあり、子どもの身支度をする場所でした。キッチンや洗面台は1階にあり、そこで朝食を食べるため、ただでさえ忙しい朝にママが1階と2階を何度も行き来しなければいけません。そこで、1階に子どもが自分で身支度できる場所を設け、朝出かけるまでの準備を夫婦で分担しやすくなる導線を確保しました。

お悩み②「夫婦でリモートワーク、子どももオンライン学習が増え、全員のデスクがない」

これはコロナ禍で増えたお悩みですが、兄弟がいたり、マンション暮らしが多い今の住宅事情では、家族全員が一人一部屋持つのはほぼ不可能です。話を伺うと、パパの書斎(デスクと趣味グッズ置き場)があることがわかりました。

パパたちは自分の居場所として書斎をキープしたいものですが、ご本人にも納得していただき、この部屋を“家族のコワーキングスペース”に模様替えしたところ、お悩みが改善されました。

ポイントは、家族それぞれが棚一つでもいいので自分だけの場所を持つこと。あとは、この部屋を会社の会議室のように「共有する」と言う意識を持ち、「zoomの時間は貸し切れる」などルールを決めていけばいいのです。

大事なのは家族をチーム化して考えること

__家事シェアを見据えた模様替えをするために大切なことを教えてください

もっとも大事なことは、“家族のチーム化”です。3つのポイントごとにお伝えしていきます。

その1 家族で課題を共有する

「ソファにある脱ぎっぱなしの服が嫌」「靴を脱いだら揃えてほしい」など、課題を提案する人は気になる人。気にならない人は全く平気なもの。ですから、誰かが気になる課題を提案する際は、命令でなく相談として冷静に提案すること。課題をシートなどで見える化するのも手です。課題が共有できたら、改善策としての仕組みを話し合っていきましょう。

その2 理想を追い求めすぎない

たとえば、足の踏み場もないような散らかった状態からSNSに出てくるような素敵な収納を目指すのはハードルが高いです。「床に散らかっていないこと」が今の目標ならば、引き出しの中の服のたたみ方は目をつぶりましょう。モデルルームもミニマリストも目指さなくていいので、理想を追い求めすぎず、ひとつひとつ段階を踏んでいくことがポイントです。

その3 誰かひとりに家事育児を集中させない

課題を話し合う上で重要なのが、「家族の誰もが使いやすいかどうか」。ママしか場所が分からない、大人しか届かず出し入れできないのは家族が家事をシェアしにくいインテリアです。家族全員が自立した生活が送れる家を目標に考えていきましょう。

夫婦が家事でモメる主な原因は2つ

__夫婦はなぜ家事でモメるのでしょうか

「自分なりに頑張っているつもりなのに、妻に家事をしていないと言われる」これが一番多いもめごとです。夫婦はなぜ家事でもめるのかを分析した結果、次のことがわかりました。

家事の8割はマイナスを0に戻す作業である

「飲みかけのペットボトルを流してラベルをはがしてゴミ箱に捨てる」「トイレットペーパーが切れても交換しない」……。こうしたマイナスを0に戻す家事が一番イライラするものです。家にいる時間が短く、家事をシェアできてないパパは、せめてこうした家事のマイナスを増やさない努力をしましょう。

互いに家事を家族事化していない 

仮に掃除はパパ、料理と洗濯がママと家事を分担したとしましょう。でも自分でしない家事は大変さがわかりませんから、「自分の方がこんなにやっているのに!」という不毛な喧嘩がはじまってしまうのです。

家事や育児のシェアについて夫婦で話し合う際のコツ

やってるアピールは不毛なのでやめましょう。「褒めてほしい、認めてほしい」といった承認欲求の場にせず、お互いにどうしたいかの具体策を提案する場にすること。

また、パパも攻められると防御して「こっちは仕事してるんだから!」などと本位ではない失言をしてしまうこともあるので、攻め合うのではなくお互いを理解し合うことを心がけましょう。

さらに、遠まわしな表現などで「察してほしい」ではなく、「家事について話したい」と正直に伝えること。

子どもの年齢別!模様替えする際に大切なこと

__模様替えでチーム化と家族シェアを加速させるコツを教えてください!

模様替えとは仕組みとルールづくりです。子育て世代の模様替えにおいて注意したいのは、オシャレだけを重視するのではなく、子どもの成長に合わせて部屋の模様替えをすること。3~5年先を見据えた部屋づくりが理想です。

【2~3歳まで】

自分で考えるのはまだ難しいので、自分でできる環境を作ってあげましょう。おもちゃや絵本が子どもの背丈でも届く、出せる、しまえるインテリアを。

【4歳~6歳】

増えるおもちゃの「いる・いらない」を自分で決められる練習をして、それができる収納を目指しましょう。日々の洋服を選ぶのもそうです。片づけはその延長線上として考えて。

【7~10歳】

小学校入学したら学習机を!と思うかもしれませんが、低学年はリビング学習の家庭が多いので後からで十分。まずはランドセルと教科書類が入るラックと一人寝ができるベッド、本棚を準備しましょう。7~10歳で一人寝や自分で身支度ができるインテリアが理想的です。

【10~12歳】

小学校高学年になると、集中できる学習スペースを欲しがる子もでてきます。こで改めて子ども用のテーブルやデスクを考えましょう。また、学年が進むにつれ本が圧倒的に増えるので、大きめの本棚を収納として活用するのも手。家族で本を共有する場合は、ファミリーライブライリーにするのもおすすめ。

まとめ

家事シェアのコツは夫婦や家族が積極的にコミュニケーションをとり関係性を深めること。ママは「自分だけが頑張ればいい、手伝ってもらうのが悪い」などと思わずに、家族というチームで助け合いの関係を築いていきましょう。家族がチーム化できる家づくりができると、ママも心にゆとりがうまれ、家族みんながハッピーになれるはずです。

とはいえ、家族や夫婦では解決策が見いだせないと言う方もいるでしょう。そんなときは、プロのカウンセリングを受けてみてください。年末~春は引っ越しシーズンで繁忙期なため、秋から冬の今がねらい目とのこと!HP(http://npotadaima.com/)からご予約を。

三木さんの著書『家事でモメない部屋づくり』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)もぜひチェックしてみてください!

著者プロフィール

ライター・エディター。出版社にて女性誌の編集を経て、現在はフリーランスで女性誌やライフスタイル誌、ママ向けのweb媒体などで執筆やディレクションを手がけている。1児の母。2015年に保育士資格取得。

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