歯磨き、虫歯、口呼吸…小児歯科医に聞いたママが知っておくべき子どもの歯のこと
「虫歯は親の遺伝」「乳歯なら虫歯になっても問題ない」「永久歯が曲がって生えてきたけど大丈夫?」など、子どもの歯にまつわる疑問を小児歯科医の先生に直撃! 虫歯予防の正しい歯磨きや食事の仕方まで…ママが知っておきたいことが満載です。
あなたはお子さんの歯のこと、ちゃんとわかっていますか?
有明デンタルクリニック 小児歯科医の先生
「歯が生えてこない時期から、何か気になったら相談できるようなかかりつけの小児歯科医を作っておきましょう。小さいうちから歯医者に歯のチェックに行くことを当たり前にしておくことが虫歯予防の一番の近道です」。
http://www.ariake-dental.com/pediatric/index.html
目次
Q1 虫歯は親の遺伝だって本当ですか?
骨格や歯の形などが遺伝で親と似てくることはありますが、虫歯になりやすいかどうかは遺伝ではなく個人の問題。たとえ虫歯が1本もない人でも口の中に多少の虫歯菌はあるものなので、それが食生活や歯磨きの習慣などによって虫歯になるかならないかが決まります。
家族だと同じものを食べ、似たような生活習慣になるので、虫歯のあり、なしが似てくることはあると思いますね。
Q2 乳歯は虫歯になっても大丈夫?
初期の虫歯であれば、乳歯の場合は抜け替わってしまいますので、永久歯にはそこまで影響がありません。ただ、乳歯の虫歯を放置しておいて奥深くまで進行してしまった場合は、永久歯に問題が出てくる場合もあります。
乳歯は永久歯に比べて素材がやわらかいので、虫歯の進行が早いです。また、乳歯の虫歯は見た目に茶色や黒くならず、子どもも痛がらないことがほとんどなので、親が気づくことは難しいです。
どんな大きさであっても虫歯があることは口の中全体の環境にもよくありません。そのためにも定期的に歯科検診を受けましょう。
Q3 フッ素コートってするべきですか?
これも賛否両論ありますが、私は無駄ではないと思います。特に生えて間もない歯にはフッ素の成分が浸透しやすいのでより効果的です。
フッ素を塗る目安としては、上下左右の奥歯4本が生えそろう頃(およそ1歳半頃)。継続してコーティングすることが重要なので、4カ月~半年に一度のペースで塗ることをおすすめします。
フッ素入りの歯磨き粉も同様です。歯医者さんで使うものより濃度は薄くなりますが、毎日使うものですから、入っている方が効果が期待できると思います。
ただ、毎日の歯ブラシと、おやつの管理をしっかりすることが1番の虫歯予防であり、フッ素はプラスで使うものと考えてください。フッ素を塗ったからといって絶対に虫歯にならないわけではありません。
Q4正しい歯磨きや歯磨き粉のことが知りたい!
本数や生え方にもよりますが、2~3分を目安にしてください。理想は食事を食べたあとは毎食することですが、難しい場合は夜寝る前はしっかりと。
歯磨き粉はジェルタイプと白い研磨剤入りのペースとタイプがありますが、ペースとタイプの方が汚れがしっかり落ちます。辛くて嫌がる子もいると思いますが、2,3歳頃からはペーストに移行できるといいですね。
つける量は歯ブラシの毛先2列くらいにゴマ粒程度で十分。つけすぎは歯磨き粉の成分を体に取り込みすぎてしまうことにつながるので気をつけてください。
また、「仕上げ磨けは何歳まですべきですか?」という質問もよく受けますが、できれば9~10歳まではしてあげてほしいです。
仕上げに効果的なフロスは歯の隙間がない場所を重点的にすればOK。子ども用のものも販売しているので、小さい頃から習慣づけておくと楽だと思います。
Q5歯磨きをしないで寝ちゃったときどうすべき?
寝ている子の口を無理矢理開けてまでするのはちょっと現実的ではないですね。毎日だと困りますが、たまにであれば特に問題はないでしょう。翌朝しっかり磨いてあげてください。
食事やおやつの後に水かお茶を飲むという習慣をつけておけば、もし歯磨きをしないで寝てしまったとしても食べ残しが減らせるので、多少の虫歯予防の効果はあると思います。
Q6 スプーンの共有やお口へのチューは絶対NGなの?
「絶対にさせない!」と頑張っているママさんもいらっしゃいますが、私は愛情表現の手段のひとつなのではと思っています。とはいえ、虫歯だらけのパパにはしてほしくないですよね。
ママやパパのお口の環境をキレイにしておけば、お口のチューもスプーンの共有も多少ならば問題ないはずです。
Q7 永久歯が曲がって生えてきたけど大丈夫?
永久歯はしっかり生えそろうまでは多少前後したり歪んでいるものですので、これは特に心配ありません。全部生えそろってくるころにはまっすぐになっていることがほとんど。それでも気になる場合は歯科医に相談してみてください。
ぐらぐらして下の歯が生えてきてもなかなか抜けない場合は、早く抜いたほうがいいこともありますので一度診てもらうといいでしょう。平均的には6歳で下の前歯の揺れが始まるとされています。
生え変わりのスピードは個人差がありますが部位によっては過剰歯などの別の問題が隠れていてなかなかぬけないこともありますので、一度相談してみるといいでしょう。
Q8 虫歯になりやすい食べ物や飲み物って何ですか?
ズバリ、砂糖と酸です。お菓子などの甘いものに含まれるお砂糖は虫歯の大好物ということはよくご存知かと思いますが、酸性の飲み物も同様なんです。
100%のジュースや乳酸菌飲料、炭酸飲料やスポーツドリンクなどにも酸が含まれているので要注意。これらには味付けに砂糖も加わっていることも多いので酸で歯が虫歯になりやすい状態になり砂糖で虫歯菌が増えるといったダブルパンチのような状態になります。
また、お菓子のときはジュース類ではなくお茶やお水にしたり、料理で使う砂糖を代用糖に変えることは虫歯予防効果になると思います。
これらの飲み物は体に必要な時もあるので絶対に飲んではいけないわけではないのですが、バランスよく取り入れてください。
Q9 口呼吸だと虫歯になりやすいって本当?
本当です。口呼吸になる子は口を閉じる筋肉が弱かったり、生まれつき扁桃腺が大きかったり慢性鼻炎だったりと原因はさまざまですが、ずっと口を開いていると唾液の量も少なくなり、虫歯菌を増やす原因になることも。
最近は子ども用のマウスピースもありますから、鼻呼吸の練習を小さいうちからしておくといいかもしれません。ちなみに、マウスピースは爪噛みや舌を出す癖などにも効果があります。
Q10 甘いものを食べた後は水を飲むと虫歯予防になる?
なると思います。先ほど述べた通り、ジュースやスポーツドリンク類にも糖や酸が含まれていますから、甘いものを食べた後は水やお茶を飲むといいと思います。
ただ、気を付けたいのが食事の際のお水。早食いや水で流し込んであまり噛まないと唾液の量が少なくなってしまいます。「水を飲む際は口の中が空っぽになってから」とよく噛んで食べる癖を小さいうちからつけてあげてください。
いかがでしたか? 乳歯でも永久歯でも子どもの歯の状況は日々変化しているので、検診で「ここが磨き残ししやすいから注意です」など、子どもの歯の特徴をチェックしてもらうことが一番大切だそう。気軽に相談できるかかりつけの歯科医を見つけておくといいですね。