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子育て

コロナ自粛明けの学校や保育園が再開、親がやっていきたい心のケア

コロナ自粛明けの学校や保育園が再開、親がやっていきたい心のケア

いよいよ本格的に始まりつつある学校や園生活。ここ2~3カ月、家で過ごしてきた子どもたちは、今どんなことに不安やストレスを抱えているのでしょうか。4つの側面から考え、お子さんのタイプ別に、親が気をつけていきたいポイントをまとめてみました。

休校明けの今、4つの側面から見えてくる子どもの不安

まずは、子どもや親の不安や懸念を体力面、精神面、生活面、学習面と4つの観点から見ていきたいと思います。

なお、”不安“というのは、非常に複雑で抽象的な感情です。そのため、保育園、幼稚園、小学校低学年の子どもたちでは、まだその複雑な思いを言語化できないだけでなく、キャッチすることすら難しいことは知っておいてほしいところになります。

その代わりに、愚痴、文句、不平、不満、ぼやきのような形で出てくることもあるので、それも含め、ここで見ていきましょう。

その1 体力・運動面

・運動系の習い事ができないでいる、早くやりたい
・でも、もし自分だけついていけなかったらどうしよう
・学校が始まったけれど、休み時間はボール遊びが禁止。思うように遊べない

親御さんからは、休校中、すっかりインドアで過ごしたため運動不足になっているという声を聞きます。小さい子が自ら「最近は運動不足だ」と感じることはなくとも、現実問題、体力が落ちて、疲れやすい子もいるでしょう。

その2 精神面

・久しぶりに友達に会うのでドキドキする
・新しい先生がどんな先生か気になる
・友達が作れるかちょっと心配
・友達に会えなくてもかまわない
・幼稚園、学校に行きたくない

親御さんからは、家にずっといたことで、すんなりなじめるかという不安が圧倒的でしょう。休校中、友達に会いたかったという子もたくさんいますが、一方で、すでに、「行きたくない」と渋っているお子さんもいます。精神面でのサポートは非常に大事になってきます。

その3 生活面

・朝ちゃんと起きられない
・家を時間どおりに出られない
・テレビを見たり、ゲームをしている方がいい
・学校よりも家にいる方がいい
・ママと一緒がいい

親御さんからは、生活リズムが元通りになるのだろうかという不安の声が聞かれます。とくにゲームや動画などスクリーンタイムが増えたことへの懸念は大きく、学校に行く日常への切り替えへの不安は大きいようです。

その4 学習面

・勉強が分からない
・勉強がめんどうくさい
・勉強(宿題)をやりたくない

親御さんからは、学習面での不安の声は多く、勉強習慣をどうつけていったらいいのか、家庭でどうサポートしたらいいのかということに不安を感じている方も多いようです。

以上、4つの側面から見てきましたが、どれも独立した困りごとではなく、すべてがつながっています。休校中、お家にいなくてはいけなかったので、運動不足にならざるを得なかった。それをきっかけに、ゲームにはまり、勉強は後回し。体力が有り余っていて、夜更かしになり、朝がなかなか起きられない……。

では、学校再開の今、できるだけスムーズになじんでいけるよう、親はどのようにサポートしていったらいいでしょうか。

タイプ別 親が心がけたいケア

今回のような事態を経験しても、その子それぞれ受けるインパクトは違います。学校再開を指折り数えて待っている子もいれば、行き渋りを起こす子もいます。そこで、特に気をつけていきたいタイプのお子さんを3タイプ挙げ、接し方のポイントを見ていきたいと思います。

【タイプ1 切り替え下手な子】

もともとの気質で、環境の変化にすぐに順応できる子もいれば、ゆっくりと適応していく子もいます。実際、子どもの約15%がゆっくり適応タイプという研究結果もあります。

赤ちゃん時代からの行動の様子を見ていて、新しい場所、新しい人、新しい経験を前にすると、まずは抵抗感を示す傾向があったという慎重派のお子さんは、今回のような状況ではストレスがかかりやすいことが多いので、いつも以上に気にかけてあげましょう。焦らせると、逆にこじれてしまうのがこのタイプなので、気質には抗わないことが大切です

また学校で普通以上にエネルギーを使っているので、帰ってきたらヘトヘトということもあるでしょう。スキンシップを多めにし、できていることからほめていくことを心がけてください

【タイプ2 小学1年生】

今回の休校は、3月から6月にかけてと学年またぎだったため、だれもが休校開始時の学年よりも1つ進級しています。一般的に、1つ学年が上がることで求められるものは変化しますので、このタイミングで新1年生になったお子さんの中には、通常以上の不安を感じている子も多いと考えられます。

小学校に上がるタイミングは、親が子育てで「節目」と感じる時期で、「お兄ちゃんなんだから」「お姉ちゃんなんだから」が出やすくなりますですが今年はその思いを少し保留にしましょう。まずはしっかりと甘えさせてエネルギー補給し、学校に慣れることが最優先です。

【タイプ3 生活リズムが崩れた子】

再開した学校や園に順応できるかどうかは、上記のような気質やタイミングも関係していますが、生活パターンが崩れたことで学校への抵抗感を示す子もいます。リズムが崩れると、どうしても就寝時刻が遅くなり、朝に影響することが多いので、何よりリズムを取り戻すことが大事になります。

大人もそうですが、生活リズムは崩すのは簡単、立て直すのは大変。ただ、学校に朝行って午後に帰ってくるというパターンで、リズムはある程度確保しやすくなるので、平日を上手に活用し、リズムを取り戻していきましょう。

以上、学校や園の再開に向けて親が心がけていきたいことをまとめてきましたが、子どもの変化は愚痴や文句のような言語のみならず、

・食欲が落ちた
・癇癪を起すことが増えた
・弟・妹につらく当たるようになった
・表情が乏しくなった(嬉しい、楽しいという表情が減った)
・友達と遊びたがらない

のような形で出てくることもあるので、しっかりと様子を見ておくことが大事になります。

基本的に、どの子にも必要なのは「甘えること」です。いつも以上にすり寄ってきたり、抱っこを求めたり、手をつないできたり……。これは、不安を解消するためのエネルギーチャージのような行動なので、そのサインを見逃さず、意識的に満たしてあげるよう心がけてみてください。

著者プロフィール
佐藤 めぐみ

育児相談室「ポジカフェ」主宰&ポジ育ラボ代表
イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。ポジ育ラボでのママ向け講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポート。2020年11月に、ママが自分の心のケアを学べる場「ポジ育クラブ」をスタート。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。HP:https://megumi-sato.com/

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