子どもは一人で外出も留守番も禁止！イタリアの「子ども放置禁止刑法」と家庭の対処法
イタリアでは他欧米諸国と同様に、11歳未満の子どもによる一人での留守番や登下校を含む外出は禁止されています。違反した場合の罰則も厳しく、刑法で裁かれるほどの重罪となります。イタリアにおける子ども放置禁止刑法の現状と、共働き家庭などがどのように対応しているかを紹介します。
目次
違反への罰則はかなり厳しく懲役も
11歳未満の子ども一人での留守番や外出だけでなく、イタリアでは14歳未満の子どもを室内・車内に放置することも「未成年者または無能力者の遺棄」となる刑法591条で禁止されています。自分で自分の世話をできない人の「監護」を怠った場合に適用されるもので、14歳未満の子どもを車の中に置き去りにしたり、家に一人で放置(留守番も含む）したりする行為なども含まれています。
刑罰は、遺棄(放置)した場合は6か月から5年の懲役、その行為が人身傷害を引き起こした場合は1年から 6年、死亡をもたらした場合には3年から8年の懲役です。さらにその行為が親や保護者、養親によって行われた場合、罰則は増加します。
例えば13歳といえば日本では中学生ですが、その子を一人で自宅に1時間放置するだけでも児童遺棄の罪となる可能性があります。ただ、2歳の子どもを一人で残すことと比べると、どちらの場合も犯罪ではあるものの必ずしも同じ条件とはいえず、裁判官は刑を科すにあたり客観的な見地から罰則の重さを検討します。
共働き家庭などには祖父母が強い味方
11歳未満の子どもはひとりで外出することが法律で許されていないため、小学校の登下校や習い事、子ども同士で遊ぶ場合の送り迎えなどは保護者の義務です。ミラノでは両親共働きやシングル家庭の送迎は、主に祖父母またはキッズシッターが担当します。
多くの祖父母は日常の送迎だけでなく、3か月間と長いイタリアの夏休み中には仕事を休めない親の代わりに孫を海や山の別荘に連れて行くなど、1か月以上面倒をみます。日本に比べると、祖父母への依存度が高いのが特徴といえます。
プロのキッズズシッターが活躍
祖父母に頼れない共働きやシングル親家庭では、ベビーシッターやキッズシッターを雇うことが一般的です。
シッター業務だけでなく家庭内の家事全般も請け負うため、休憩時間はあるものの拘束時間は6時間から12時間と長くなります。子どもが生まれてすぐに雇われ、母親以上に「母親業」を担うシッターも少なくありません。
長期間にわたり責任がある子育てを担うシッターは学生などのアルバイトではなく、就労の滞在許可を取り納税もしている外国にルーツがある女性たちで、彼女たちはシッターのプロとして稼働。友好的だったり、家事能力が高かったり、真面目で責任感が強かったりと、シッターに必要な各種要素を備えている人がほとんどです。
イタリアでシッターや家事代行サービスを探す場合、派遣会社はあるものの、優秀なシッターさんたちの繋がりで紹介してもらう「口コミ」が最も有力な方法です。
まとめ
このように、比較的治安のよい日本と比べるとイタリアの子どもを守るための法律は保護者にとって厳しく、長期間にわたり対応するのはかなり大変といえます。それでも何とかクリアしているのは、祖父母のサポートもありますが、信頼できるシッターサービスやシッターさん同士のつながりが整っていることが大きいのではないでしょうか。
日本ではベビーシッターの利用率はまだ低いようですが、いざという時のためにこういったサポートシステムの存在を知っておくとよいかもしれません。
イタリアの義務教育は「対話」が基本、親子間でも相手の意見を尊重
世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク（2019年4月時点）。
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