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子育て

高IQやMENSAと子どもの非認知能力との関係

高IQやMENSAと子どもの非認知能力との関係

「IQという言葉自体には馴染みがあるけれど、自分のIQは知らない」「どうやって測るのか」という方は多いのではないでしょうか。

また高いIQがテーマになると出てくるのがMENSA(メンサ)会員のこと。この記事では認知能力であるIQや高IQ集団のMENSAについて触れながら、子どもを導いていく上で大切な認知能力と非認知能力のバランスについてもお伝えしていきます。

IQが高いなど、知的に高い子どもや芸術的才能に優れている子ども「ギフテッド」、子どもの才能の伸ばし方については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
【医師監修】ギフテッドの子どもとは?発達障害との違い、特徴や判断基準を解説
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意外と知らないIQのこと

“IQ”とはIntelligence Quotientの略で日本語に訳すと知能指数を指します。この言葉自体には馴染みがありますが、意外とその中身は知られていません。自分自身のIQを把握していない方がほとんどだと思いますが、実際にどのように測るかをご存じでしょうか?

ネット上にもIQテストは散見されますが、それとは別物で、実際には心療内科などの医療機関や公認心理師や臨床心理士などの専門家がいるカウンセリングルームなどで検査を受けることができます。

正式な知能検査にもいくつか種類がありますが、もっとも代表的なのがウェクスラー式知能検査というものです。

対象年齢によって3つに分かれており、幼児用のWPPSI(ウィプシー)、児童用のWISC(ウィスク)、成人用のWAIS(ウェイス)があります。
・WPPSI:2歳6ヵ月~7歳3ヵ月
・WISC:5歳0ヵ月~16歳11ヵ月
・WAIS:16歳0ヵ月~90歳11ヵ月


児童用のWISCはWISC-Ⅴ(ウィスク・ファイブ)が最新ではあるものの、現段階で一番普及しているのはWISC-Ⅳ(ウィスク・フォー)になります。

WISC-Ⅳでは、
・言語理解
・知覚推理
・ワーキングメモリー
・処理速度

の4つの指標をそれぞれ数値化し、全体的な認知能力を表す全検査IQ(いわゆるIQ)を導きます。

参考までに、最新のWISC-Vでは、指標の変更があり、
・言語理解
・視空間
・流動性推理
・ワーキングメモリー
・処理速度

からIQを導きます。

これでわかるのが、IQ=学力というよりも、その子どもの能力がどんなバランスなのか特徴を把握し、得手不得手を知る手がかりになる数値であることです。このような知能検査で測定できる能力は「認知能力」とも呼ばれ、よく「非認知能力」と対比されます(その対比は後半で解説します)。

IQの数値は、
・130以上:非常に高い
・120~129:高い
・110~119:平均の上
・90~109:平均
・80~89:平均の下
・70~79:低い
・69以下:非常に低い

のように分類されます。

このような情報を見て、わが子のIQはどのくらいなのか気になった方もいるかもしれません。念のためにお伝えしておくと、知能検査は頻繁に受けるものではなく、再び検査する場合は最低でも1年は間隔を空けることが望ましいとされています。

正確な数値を測るためには、“慣れはNG”だからです。検査の内容がネットなどの外部に漏れていないのも、実施する専門機関により厳格に管理されているからです。測るべきときに測るものなので、その点は注意が必要になります。



MENSAとは? 子どもでも入れるの?


IQというとMENSAという言葉を思い出す方もいるかもしれません。
昨今のクイズブームでは、高IQの頭脳集団が超難問に挑む番組が人気で、その中でMENSAという言葉を聞くこともあります。
「お笑いタレントの○○さんがMENSA会員になった」とか、「実は○○さんもMENSA会員」のように紹介され、気になっている方も多いのではないでしょうか。

MENSAとはイギリスで創設された高いIQを持つ人達が所属する国際グループで、「全人口のトップ2%」が基準とされています。その人が所属する地域や国、世界レベルでのイベントで交流しています。
日本ではJAPAN MENSAがその活動を支えています。入会するルートは2つあり、以下のようになっています。

・証明書入会判定:指定の知能テスト(WISCなど)の結果を提出し、判定してもらう
・入会テスト:全国各地で行われている入会テストを受ける


注意点としては、
・入会テストは15歳以上が対象
・15歳未満の入会は専門医等の証明書が必要
・生涯3回まで受験が可能
・再受験の場合は1年以上の間隔を空ける

が挙げられます。

合格に必要なIQ値などの合否判定の基準は非公開となっていますが、IQが130以上の人の割合は2%強とされているので、MENSA入会の要件になっている「全人口のトップ2%」はここに該当すると言えます。
(出典:JAPAN MENSA



潜在的なIQを開花させるために必要な非認知能力

ここまで、IQについて述べてきましたが、最後に非認知能力について触れていきます。

・認知能力とは、IQのように数字で測れる能力
・非認知能力とは、数字で測れないその子の資質


とされ、非認知能力の代表的なものとして、
・目標の達成
・他者との協働
・情動の制御

に関わるスキルが挙げられます。

具体的には、
目標の達成
・途中しんどいと感じることも踏ん張ってやり切る忍耐力
・自ら意欲的に目標に向かって取り組もうとする情熱やモチベーション
・自分の気持ちや行動をコントロールする自己制御の力


他者との協働
・相手の気持ちや置かれた状況を思いやる力
・信頼し合える人間関係を構築するスキル
・互いに尊重し合い、譲り合いながら進める力


情動の制御
・自分を大切に重んじる自尊心
・自分の力を信じられる自信
・置かれた状況に対し前向きに捉えられる楽観性


などが重要とされています。

親はつい「数値化できる能力」に目が行きがちです。しかし、良い成績を取るためにはIQの高さだけでは不十分で、コツコツと努力したり、踏ん張ることで到達できるものでもあるのです。

また、「クラスでうまくやってほしい」「立派な大人になってほしい」のようなことも親は願うものですが、これらも認知能力だけでは叶わず、非認知能力も大切なことがわかります。

私の相談室での事例を見ても、非認知能力は親の声かけや接し方がとても重要な役割を担っていると感じさせられます。

「勉強をしない」という場合でも、叱りつけてやらせるのと、励まして、褒めて、並走するのでは、その子のモチベーションが変わってきますし、ひいては、努力の習慣やその子の自己肯定感、自己効力感(「自分ならできる」「きっとうまくいく」という感情)などにも影響を及ぼしていきがちです。

数値化できる能力が気になりつつも、それを開花させるための資質もとても重要なので、これを機会に、認知能力と非認知能力への関わりという視点で、日ごろの声かけや接し方を振り返ってみてください。



小学校受験に合格する子は非認知能力が高い!?

認知能力と非認知能力どちらも大切であることをお話ししましたが、非認知能力はこれからの時代を生きる子どもたちに欠かせない力として幼児教育の分野でも注目されています。



非認知能力とは?


非認知能力とは、主に意欲・意志・情動・社会性に関わる3つの要素
①自分の目標を目指して粘り強く取り組む
②そのためにやり方を調整し工夫する
③友達と同じ目標に向けて協力し合う

から成り立ち、特に幼児期(満4歳から5歳)に顕著な発達が見られると言われています(「中央教育審議会 初等中等教育分科会 幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会」より)。


また、私立や国立小学校で行われている教育内容に通ずるため、小学校受験の合格者は非認知能力が高いとされています。
詳しくはこちらの記事もご覧ください。




著者プロフィール
佐藤 めぐみ

育児相談室「ポジカフェ」主宰&ポジ育ラボ代表
イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。ポジ育ラボでのママ向け講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポート。2020年11月に、ママが自分の心のケアを学べる場「ポジ育クラブ」をスタート。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。HP:https://megumi-sato.com/

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