メンタルリープの計算方法とツールを解説 【石川卓磨さん監修】
メンタルリープとは、生後20ヵ月の間に起こる10回のぐずり期のこと。 “では、わが子は今どのリープにいるの?”というママやパパのために、すぐにわかるメンタルリープの計算ツールをご用意しました。メンタルリープの具体的な計算方法も解説します。 メンタルリープの名付け親である石川卓磨さんに聞いた、月齢別の対処法も必見です。
メンタルリープとは何か知りたい方は、コチラの記事をご覧ください。
「完全版!【メンタルリープとは】生後20ヵ月で10回起こるぐずり期」
目次
メンタルリープとは
赤ちゃんの「何をしても泣き止まないぐずり泣き」には、実はちゃんと理由があります。オランダのプローイュ博士の研究によると、生後20ヵ月の間に10回のぐずり期があり、これを「メンタルリープ」と呼びます。
この期間、赤ちゃんの脳は急激に成長し、新しいスキルや認識能力を獲得します。そのため、赤ちゃんは内部の変化にとまどい、いつもより機嫌が悪くなることがあるのです。
この10回のぐずり期は、赤ちゃんが新しい世界の見方や理解を形成している証拠。いうなれば、「知能の急成長期」とも言えます。「どんなにあやしてもダメ!」とさじを投げたくなるあの大泣きは、成長に伴う“とまどい泣き”なのです。
プロ―イュ博士の研究は、世界累計200万部の育児書『The Wonder Weeks』にまとめられており、日本では共訳者である石川卓磨氏が「メンタルリープ」と翻訳したことで、広く知られるようになりました。
メンタルリープの計算方法
メンタルリープの計算では、出生日(誕生日)ではなく、妊娠期間から数えた出産予定日を起点にカウントしていきます。
なぜなら、メンタルリープにおける赤ちゃんの成長は、お腹にいるときから変化が始まっていると考えているから。そのため、出産予定日と出生日がずれている場合は、出産予定日からの週齢を「メンタルリープの〇週」と表記します。
<メンタルリープ週(月齢)の目安>
5週(生後1ヵ月頃)
8週(生後1~2ヵ月頃)
12週(生後2~3ヵ月頃)
19週(生後4ヵ月頃)
26週(生後5ヵ月頃)
37週(生後8ヵ月頃)
46週(生後10ヵ月頃)
55週(生後1年0ヵ月頃)
64週(生後1年2ヵ月頃)
75週(生後1年5ヵ月頃)
メンタルリープは全部で10回あり、それぞれの段階で、成長や発達段階の意味が異なるということがポイントになります。
予定日より早く生まれた場合と遅く生まれた場合で、同じ誕生日でもメンタルリープの週齢が異なる場合があるという点は興味深いですね。
メンタルリープ計算ツール
我が子について、「今はメンタルリープの期間にあたるのか?」「このリープはいつ終わるのか?」といったリープの状況がわかるように、出産予定日を元に簡単に計算し知ることができるツールをご用意しました。
下記日付欄に出産予定日を入力し、ボタンをクリックすると簡単にお調べいただけますので、活用してみて下さいね。ただし入力するのは出産日(誕生日)ではないことにご注意下さい。
メンタルリープはいつまで?月齢別の特徴
メンタルリープの10回のステップにはそれぞれ名称があり、クリアするごとに、赤ちゃんはより高いレベルのことができるようになります。ここでは各段階の変化と達成を順に解説します。
ステップ①五感のリープ
・メンタルリープ5週(生後1ヵ月頃)
生後1ヶ月を過ぎた頃に起こる初めてのメンタルリープです。この時期から視界がクリアになり、音も敏感になり、触れる感覚が磨かれるため、身の回りの色や形、音、感触など新しい世界を五感を通して感じとり、興味を示し始めます。
行動例:じっと何かを見つめる、触れられると笑う
ステップ②パターンのリープ
・メンタルリープ8週(生後1~2ヵ月頃)
新生児時代の原始反射が少なくなるこの時期が、2度目のメンタルリープ。日常の繰り返しといった身の回りの物事には規則性があることに気づき始めます。好奇心が芽生え、小さな変化にも敏感になります。
行動例:音の方に顔を向ける、自分の意志で行おうとする
ステップ③推移のリープ
・メンタルリープ12週(生後2~3ヵ月頃)
第3のメンタルリープは、光や音の強弱など、動きや変化のあるものを認識し、興味を示す時期です。
行動例:何かを見たいときに体をよじる、頭をひねる、目で追うようになる。光の強弱、音の強弱など、動きや変化のあるものに興味を持つ
ステップ④出来事のリープ
・メンタルリープ19週(生後4ヵ月頃)
第4のメンタルリープは、感覚が一段と複雑になり、これまでの3つのリープで得たものを重ね合わせ、物事の変化を複数の五感を使って複雑に感じ取るようになる時期です。手の器用さも向上し、自分と他者の関係を理解し始めます。
行動例:手で物がつかめるようになる、物を口に入れる、親の居場所を探す
ステップ⑤関係のリープ
・メンタルリープ26週(生後5ヵ月頃)
第5のメンタルリープは、物事の関係性を理解するようになる時期。目で見えるものの位置関係や距離感が分かるようになり、細かいパーツにも興味が増します。
行動例:見慣れない人をじっと見る、細かなパーツなどに興味を示す、舌を使って音まねをする
ステップ⑥分類のリープ
・メンタルリープ37週(生後8ヵ月頃)
第6のメンタルリープは物事を分類する力がつく時期です。認知力が発達し、物事の区別や比較ができるようになり、外の世界にも興味を持つようになります。
行動例:それまで同類だと思っていた動物を区別できるようになる。比べることが好きになる、外に出て探索するのを好む
ステップ⑦順序のリープ
・メンタルリープ46週(生後10ヵ月頃)
第7のメンタルリープは物事の一連の流れを理解し、実現しようとする時期です。自分でたべることに挑戦したり、物語など流れのある遊びにも興味を示すようになります。
行動例:スプーンを使って一人で食べようとする。流れのある遊びを好む。パパママがする手の動作を追ってまねる
ステップ⑧工程のリープ
・メンタルリープ55週(生後1年0ヵ月頃)
第8のメンタルリープは順番が決まっている一連の流れを1つの作業としてとらえ、実行する力が芽生える時期です。また、親の作業を観察したり、道具や手順を理解し始めます。
行動例:親のお手伝いをし、その作業に必要なものを準備する。ママのお化粧を観察する
ステップ⑨原則のリープ
・メンタルリープ64週(生後1年2ヵ月頃)
第9のメンタルリープはルールや原則を求める時期に入ります。自分の物など所有に関する認識が深まり、自己主張をしながら他者の関係やコミュニケーションのルールを学んでいきます。
行動例:自分の物と他人の物の区別がつく、交渉や駆け引きをする
ステップ⑩体系のリープ
・メンタルリープ75週(生後1年5ヵ月頃)
最後のメンタルリープは、周囲の環境に合わせて適応できるようになる体系のリープです。自我の発達がはじまり自己主張を強める時期でもあります。
行動例:「自分がやりたい」「自分で決めたい」など自我を出した行動が増える
メンタルリープの対処法
メンタルリープ中にはどんなことに注意すればいいのでしょうか。メンタルリープの名づけ親である石川卓磨氏(@mentalleap_sis)に伺いました。
泣いたらいくらでも抱っこでOK
メンタルリープ中の赤ちゃんはお母さんへの「抱っこ」の欲求があるので、泣いたらなるべく抱き上げてあげましょう。最近では抱き癖が出るのは1歳からと考えるのが一般的なので、0歳のうちはいくらでも抱っこしてOKです。
過去のデータを見ても、よく泣き抱っこを求める子はコミュニケーション力が高く、お母さんを動かしているため、学校の成績がいいという研究もあります。
ずっと抱っこでも問題ありませんが、あくまでお母さんが無理のない範囲で接してください。また、食べなくても時間で片づける、寝なくても時間になったら電気を消すなど、できる限り生活のリズムが乱れないように工夫してみましょう。
リープ期は旅行など赤ちゃんのストレスになることは避けよう
リープ期の赤ちゃんは1日生きるのが大変な時期で、黄昏泣き(たそがれなき)とも言われるように、夕方や夜になるにつれて疲れがたまってぐずるというデータもあります。ですから、昼間に環境が変わるストレスをなるべく与えないようにしましょう。
ちなみに、遠出の旅行や厳しいねんねトレーニングで一定期間抱っこをしてもらえないこともストレスになります。泣くことは赤ちゃんにとって言葉です。
泣いたら抱っこで応えてくれるというコミュニケーションは社会性や言葉の発達、情緒にもつながります。旅行に行く際はメンタルリープカレンダーに沿って計画を立てるといいですね。
リープ期の成長に合わせたおもちゃで発達を促そう
リープ期は赤ちゃんにとって世界が一変するくらい感覚が変わる時期。ですから、そのリープ周期の発達に適した遊びをして、それに慣れさせてあげるとぐずり期間が短くなります。
例えば生後3ヵ月頃(メンタルリープ12週)の「推移のリープ」なら、振る動きに反応するので、ガラガラやバウンサーもおすすめ。
生後生後1~2ヵ月頃(メンタルリープ8週)の「パターンのリープ」は手で押す触る、目でゆっくり動くものや音の推移を追える時期なので、そういう感覚を刺激するおもちゃで遊ぶといいでしょう。
何より、赤ちゃんが自分からやっている行動を応援してあげるのがポイントです。
運動神経がよくてもリープの先取りはNG
例えば、白人の子に比べて黒人の赤ちゃんの運動発達は早いと言われているように、筋肉の発達や体つきなどにより差はあります。その習得の差はあっても、発達が始まるメンタルリープ時期はどの赤ちゃんも同じです。
音が早い、運動が早い、見るのが早いなど赤ちゃんによって個人差はありますが、それはその子の特性です。運動神経がいいからといって先取りリープはせずに、今興味があることに合わせたものをやれば大丈夫です。
ねんねトレーニングは1歳以降で
メンタルリープの考えでは、1歳まではあまりしないほうがいいとされています。生後6ヵ月まではメラトニンやコルチゾールなど寝るために分泌されるホルモンの分泌が定まっておらず、体内時計も完成するのは2歳頃だからです。
ねんねトレーニングを行うとしても1歳からゆるやかに始めるのがおすすめです。
最後に……
メンタルリープはあくまで成長の目安です。「今の時期はこうでなきゃ」「なんで泣き止まないの!」などと思わないこと。
大事なのは、親が赤ちゃんに寄り添い、何らかの反応を示してあげることです。そして、周りにいる人たちにもメンタルリープの理解が広まり、「いくら頑張っても泣き止まないこともある」と思えることも大切かもしれません。
<監修者 プロフィール>
石川卓磨さん
東京学芸大学大学院博士課程・連合学校教育学研究科。育児書ワンダーウィーク訳者でメンタルリープを日本に伝えた研究者。育児に奮闘する妹ママとともにメンタルリープ兄妹として、パパママのために育児コミュニティ「メンタルリープ相談会」(@leap_gakusha)を開設。0~2歳児のぐずり期に関する育児情報交換や交流、専門家への相談の場を提供している。メンタルリープを月齢別で解説したインスタグラム(@mentalleap_sis)も必見。
【参考文献】http://www.thewonderweeks.com/
不思議な週齢ワンダーウィークス:http://wonderweeksjpn.com/
完全版!【メンタルリープとは】生後20ヵ月で10回起こるぐずり期
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SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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