私はいいママ?をはかる親子の「アタッチメント」とは!?

私はいいママ?をはかる親子の「アタッチメント」とは!?

働くママと専業ママ、立場が変わると悩みの質も違ってきますが、いい育児をするために必要な心がけは一緒です。双方のママが意識して強化していくべきものとは? 子育て心理学から見た「いい育児のバロメーター」についてお伝えしていきます。

働くママ、専業ママ、それぞれの悩みの特徴とは?

日々のカウンセリングで感じるのは、育児の悩みは人それぞれではあるものの、共通する点も数多くあるということ。働くママ特有の悩み、専業ママ特有の悩みが存在します。

  • 働くママが抱えがちな悩み

「子どもに寂しい思いをさせていないだろうか」

「子どもと向き合う時間が限られてしまう」

「常に時間に追われていて余裕がない」

  • 専業ママが抱えがちな悩み

「ずっと子どもと一緒なので煮詰まる」

「雨の日などは、遊びネタが尽きてしまう」

「日々にメリハリがない」

子どもとの時間がなくて悩み、あり過ぎても悩む。そして、どちらも、

「いい育児をしているだろうか?」

「私はいいママだろうか?」

と自問してしまうのです。

いい子育てをしているかのバロメーター、どこで判断すればいい?

育児は、学校のテストのように、明確な点数が出るわけではないので、自分がいい子育てをしているかどうかが分かりにくいもの。とくに今は情報社会なので、あるところではよしとされている子育てが、別のところでは否定されていたりすることもあります。ママが自分の子育てを振り返ったときに、判断を揺るがす材料が点在しているのです。

では、「私はいいママなのか?」「ちゃんと子育てをしているのか?」と問うとき、何を基準に判断したらいいのでしょうか?

子育て心理学の見地から言えば、それは「アタッチメントの強さ」に現れると言っていいでしょう(アタッチメントとは、イギリスの医学者・ボウルビィ博士が提唱した心理学用語で、主に、親子間の精神的な絆を指します)。つまり、ママと子どもの間に、しっかりとしたアタッチメントが育まれていれば、「いい育児をしている」「いいママをしている」という証拠。アタッチメントは、「ママに抱っこしてもらうと安心する」「パパと遊ぶのが一番楽しい」のような、子どもが特定の人にしか示さない愛着行動として現れます。「ママじゃなきゃイヤ」という強いこだわりも、そこにアタッチメントがあるからです。「『ママ、ママ』ばかりで疲れちゃう……」のが本音かもしれませんが、アタッチメントの証だと思って、その熱い思いを受け止めてあげるのが理想的です。

小さいうちにしっかりと育んでおくと、それが将来への貯金にもなります。親から離れる時間が長くなっても、子どもが安心していられるのは、幼少時からの絆があるからこそ。年を追うごとにアタッチメントの形は変わっていきますが、親子の絆はずっと続き、その時々の難関や問題を乗り越える力となってくれます。

強いアタッチメント作りに必要な要素とは?

この絆の強度は、“これで100%”というリミットがありません。よって、育めば育むほど、強くなるわけです。では、何をどうすれば、母子間のアタッチメントを効果的に強化できるのでしょうか?

絆を強くするには、当然ながら、親子で一緒に過ごす時間が必要です。ただ一緒に過ごしさえすればOKかというとそうではありません。たとえばママがいつもピリピリしていたり、子どもの話に空返事ばかりしていては、いいアタッチメントは生まれないのです。

「強いアタッチメントを作る最大の秘訣は、共有する時間の“質”を高めること」ということが分かっています。アタッチメントの強さは、量より質。一緒に過ごす時間の濃密さに比例します。

おすすめのアタッチメント強化法3

アタッチメントを促進する働きかけはたくさんあり、言ってしまえば、愛情ある親子の関わりはすべてアタッチメント強化につながりますが、その中でもおすすめなのが、

その1 一緒に遊ぶ

その2 共有体験をする

その3 スキンシップをする

の3つ。

とくに、遊びの力は侮れません。アタッチメント・プレイ(遊びをベースにしたアタッチメント促進法)という心理セラピーもあるくらいです。この3つを組み合わせて取り入れると、非常に効果的です(例:スキンシップ×ごっこ遊び、膝の上で×読み聞かせ、など)。

時間の長さに悩んだら、質にこだわろう

冒頭に挙げた働くママと専業ママの悩みは、対照的に見えるものの、共通して、子どもと接する時間の長さで悩んでいます。働くママは子どもとの時間が少ないことに不安を感じ、逆に、専業ママは子どもと離れる時間がないことにしんどさを覚える…。どちらの場合も、目線をシフトさせ、一緒に過ごす時間の質にこだわるようにすると、ママの気持ちは、少し楽になります。

専業ママの中には、日中、テレビやDVDなどを子どもに見せることで、育児をサボっているのではという感覚を持つ方もいらっしゃいます。そして、「テレビに子守りをさせてはいけない」と頑張ってしまうのです。もちろんテレビをつけっぱなしというのはよくありませんが、一日中一緒にいるのですから、少しはそれらの便利グッズの力を借り、ママがキッチンでコーヒーを飲んで、ひと息つくことも、親子時間の質向上には大切です。

アタッチメントの性質上、「一日〇分でOK」という目安は設定しづらいのですが、考え事をしながら適当に流す1時間よりは、30分は自分のために使い、その後の30分で真剣に遊んであげる方が、絆強化としては適切な対応と言えます。まずは、毎日時間を決めて(例:19時~19時半の30分間)、これ以上ない“超・濃厚な時間”を設定し、とことん集中して遊んであげることを習慣化していくといいと思います。それにより、アタッチメントが強くなるだけでなく、ママの自己効力感も高まっていくはずです。

著者プロフィール
佐藤 めぐみ

育児相談室「ポジカフェ」主宰&ポジ育ラボ代表
イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。ポジ育ラボでのママ向け講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポート。2020年11月に、ママが自分の心のケアを学べる場「ポジ育クラブ」をスタート。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。HP:https://megumi-sato.com/

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