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新学期、子どもが「学校に行きたくない」親はどうすべき?

新学期、子どもが「学校に行きたくない」親はどうすべき?

長い夏休みが終わり、新学期が始まりました。2学期と言えば、気候もよく運動会、遠足、バザーなど、子どもにとっては楽しい行事が待っています。ですが、夏休みが明けた9月に、自ら命を絶つ若者や不登校の生徒が増えるという調査結果も出ています。

もし、子どもが「学校へ行きたくない」と言い出した時、親はどう対応すればよいのでしょうか。

「学校へいきたくない」は子どものSOSサイン

子どもが「学校へ行きたくない」と言うのには、何か理由があることは確かです。直ぐにはそれは分からないかもしれませんが、「怠けていないで、早く学校へ行きなさい」「2学期が始まるんだから、学校に行くのは当然でしょう」などとは言わず、親はその子どもの気持ちや学校で起こっていること、状況などを調べたうえで、対応しましょう。

なぜ「学校へ行きたくない」のかまずは原因を考えましょう

その1 勉強が分からない、面白くない

最近は、ゆとりの授業も是正され、勉強内容も難しくなってきています。ですが授業時間数はそれに比例するほど増えていないのが現状でしょう。学校の勉強についていくことがだんだん困難になってきている子どもがいるのも当然と言えるかもしれません。

勉強が分からなければ、授業も面白くなく、じっと机に向かって座っているのも苦痛になってくるでしょう。

その2 学校での友達関係に問題がある

仲間外れにされている、何らかのいじめにあっている。また自分はいじめられていなくても、いじめの標的にされるのを避けるため、本意ではなく、いじめっ子のグループに同調している、などの場合もあります。

その3 先生に自分ばかりが注意される

担任の先生が怖い、顔をあわせるのが苦痛という場合もあります。

先生も人間です。子どもとの相性もあり、特定の子の悪い所や、出来ていないところが目につくこともあるでしょう。自分ばかりが指摘され、注意されることが多いなど、先生が嫌で行きたくない場合もあります。

その4 学校以外の環境が大きく変わった

これは転居や親の離婚など、学校以外の所に原因がある場合です。両親が離婚した子どもは人生に対し、投げやりになったりするともあります。また大切に飼っていたペットが亡くなったなどの場合、喪失感で一時的に無気力になり学校へも行けなくなる場合もあるでしょう。

親がすべき3つの対応法

STEP1 まずは子どもの気持ちを聞いてみる

「学校へ行きたくない」理由を子どもに尋ねるのですが、決してしてはいけないのが、子どもを心配するあまり、矢継ぎ早に質問することです。

子どもが言いたくないようでしたら、黙って心に寄り添い見守ってあげてください。

STEP2 理由や気持ちを打ち明けてくれた時は、勇気を褒める

子どもが理由や、気持ちを打ち明けてくれた時は、その勇気を褒めてあげましょう。辛い事があったのなら、それに耐えてきたことをねぎらうと同時に、「よく話してくれたね、お母さん、嬉しいよ。一緒に解決していこうね」と声をかけるのもいいですね。

STEP3 解決に向けて動く

勉強が分からないことが原因でしたら、親は直ぐにどこが苦手なのかをチェックし、教科書を見直しましょう。塾や家庭教師という方法もありますが、低学年の間は親が見てあげるのがよいと思います。書店で学校の勉強をフォローする参考書やガイドも出ていますのでそれらを使うのもよいでしょう。

先生も含め、友達などの人間関係に苦痛を感じている時は、非常にデリケートに対応しなければなりません。学校に「相談」という形でもっていき、決して感情的にならず、事実を伝える事から1歩を踏み出しましょう。

それ以外の原因は、全てとは言えませんが、時間が解決することもあります。また子どもの年齢があがると、説明すれば分かってくることもあるでしょう。いずれにせよ、焦らず丁寧に対応していってください。

「学校へ行きなさい!」ではなく、様子を見守ってあげましょう

いずれの場合も、無理に学校へ行かせない方がよいでしょう。充分に気持ちに寄り添い、子どもの様子を見守り、状況を見ながら、判断してください。

中には、朝どうしても起きられないという病気(起立性障害)やうつの可能性もあります。その場合は専門医を尋ねることをおススメします。

また最近では、フリースクールや、オルタナティブスクールといった選択肢も広がっていますので、視野に入れて考えるのもいいでしょう。

子どもが「学行へ行きたくない」は何かのSOS、とにかく「何があってもお母さんは、あなたの味方、大丈夫よ」と、子どもの心の居場所を作ってあげることが大切です。

著者プロフィール
田宮 由美

公立幼稚園、小学校での勤務、幼児教室を7地域で展開、小児病棟への慰問、子どもの声を聴く電話相談など、多方面から多くの子どもに関わる。そのような中、子育てに熱心な
故に、その愛情が焦りとなり挫折、絶望感を抱いている親子が多いことに心を痛める。
「子どもの自立」「自己肯定感」「自己制御力」を柱とし、真に子どもの能力を開花させる子育て法を広める活動を2010年から始める。
現在、息子は大学病院で医師として、娘は母子支援の職場で相談員として勤務。実生活に落とし込んだ、親の心に寄り添う記事に定評がある。「難しいことを分かり易く、ストンと腑に落ちて行動に移せること」を理念とし、現在は執筆、講演、幼児教室を中心に幅広く活動中。
資格:小学校教諭・幼稚園教諭・保育士・日本交流分析協会 子育ち支援士
著書:『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(株)KADOKAWA

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