日本の子どもは「考えない」?ヨーロッパに学ぶ「意見力」を育てる5つの心得
グローバル化が進む現代。我が子には国際社会で通用する力を身につけて欲しいと願っている方も多いと思います。
グローバルに活躍するために本当に必要な力とは? 長い海外生活で得た「意見力のある子に育てるコツ」についてお伝えします。
目次
日本人は正解を求め、ヨーロッパ人は違いを求める
筆者は、ヨーロッパでの生活を学生としてスタートしました。
次から次へと意見が飛び交う授業を目の当たりにし、自分の意見力のなさを痛感しました。「I think…」と言い出したのはいいものの、その先がまったく出てこないのです!
この意見力の差はすでに幼少時から見られ、ヨーロッパでは、まだおしゃべりを始めて間もない頃から「I think ~~」に当たる文章を使いこなしています。
そして、小学校の授業参観などに行けば、みんな自分の意見を言いたくてたまらず「ハイ、ハイ」と挙手の嵐。
特に主観的な意見を述べることが大好きです。
一方、日本人の生徒は、「1+1=2」のような唯一の正解がある問いに対し、挙手をする傾向があるようです。
そもそも、この違いは「意見」というものの捉え方が違うからのように感じます。
和を好む日本人は周りと融合できる「正論」を発言することを好み、ヨーロッパでは、「異論」をぶつけ合うことに意義を感じる。意見はもともと人それぞれ違うものだと思っていて、そこから方向性を築き上げるのを当然と思っているのです。
日本人の“考えない習慣”を加速する要因とは?
日本人が意見を言わない理由を、「謙虚で控えめな国民性」によるものとする見方もありますが、意見を言う、言わない以前に、そもそも意見をもっていないというケースも多いようです。
その「考えない習慣」を定着させてしまっている要因を探ると、あることに気がつきました。
それは、日本のテスト対策でよく用いられる「丸暗記型の勉強法」です。テストの回答が「○×式」「四者択一式」「マークシート式」などのようなスタイルだと、どれも暗記した知識をそのまま宛がえばいいので考える必要がありません。
一方のヨーロッパは、学校でのテストはエッセイなどの記述に重きが置かれます。正解が1つではないこと、あらゆる切り口で論破することができることが特徴で、自分で正解への道を切り開いていく過程では「考える力」が求められます。
このように、日本とヨーロッパでは学校教育で求められるものが違うゆえ、得られる知識も異なっているのです。
子どもの意見力、こうやって高めていこう!
これからの子どもたちは海外とのやり取りも増えていきます。「グローバル化対策」というと、すぐに英語に目が向けられがちですが、本当に必要とされるのは「考える力」だと感じています。この力は一朝一夕で身につくものではありません。幼少時からの場数が求められます。
筆者は三十路からのチャレンジでしたので時間がかかりましたが、場数を踏めばだれでも習慣として身につけることができることを今では実感しています。
そんな自分の苦い経験を踏まえ、子どもの頃から意見力を育むコツについて、5つお伝えします。
- 親が「どう思う?」と子どもに積極的に意見を求めるようにする
- 子どもの意見は尊重し、むげに否定しない
- 「どうしてそう思ったの?」とその考えに至った理由も聞いてみる
- できることは、親が決めずに子どもに選ばせるようにする(何を着るか、何で遊ぶかなど)
- 親自ら、「右から左へ」という流し行動をしないように心がける
以上、色々と厳しいことを述べてまいりましたが、すべて筆者が1人の日本人として痛感させられたことばかりです。
今の日本の子どもたちに「言われっぱなしはゴメン!」とはねのける勇気をもってもらいたい、そして「意見をもつことって楽しいな」と感じてもらいたいと切に願っています。
育児相談室「ポジカフェ」主宰&ポジ育ラボ代表
イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。ポジ育ラボでのママ向け講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポート。2020年11月に、ママが自分の心のケアを学べる場「ポジ育クラブ」をスタート。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。HP:https://megumi-sato.com/