親子の共依存とは?特徴と抜け出すための解決策を解説
昨今、日本で問題となっている日本特有の親子問題に端を発した数々の事件や社会問題。これらは、「支配する親」と「支配される子ども」で成立する共依存の親子関係と深い関係があると言われています。
多くの場合、幼少期に親が子どもを自分の一部だと捉えて、自立を妨げてしまったことから、問題が生まれています。子どもの自立は1歳からはじまっていると言われており、愛情を持って接するのはよいのですが、間違った方向に進むと適切な時期に本来あるべき親離れを妨げてしまいます。
この記事では、共依存の問題点などを明らかにしつつ、自立を重視する子育てのヒントをお伝えします。
目次
共依存ってなに?
共依存は依存者と共依存者の2つにわかれます。
依存者は、1つのことに没頭するあまり、生活が疎かになり、周りに迷惑をかけることが日常になってしまう人です。
恋をすると相手のことばかりでほかのことが手につかない、テレビ、ゲーム、マンガを始めると止まらない。食事は簡単なもので済ませ、仕事もできればせず、ほかのことに時間を使わず1日中そればかり。
後者の共依存者は、自分を犠牲にして過度に世話をしたり、対象の行動をコントロールしようとします。多くの場合、共依存者の親が依存者の子を作るという構造です。子どもが何かに依存している姿を黙認し、炊事や洗濯、掃除など、身の回りのことはすべてやってしまうのです。
共依存者の親は、子どもの世話をするうちに、子ども自身が責任を持つべきことを先回りして行ってしまうため、子どもは自ら責任を負うことが苦手になってしまいます。
親は他人の世話をすることに自分の価値を見出しているため、それが生きがいとなっていて、子離れができません。離れて暮らすことも嫌がります。
子ども側は何かに依存していても親が身の回りのことをすべてやってくれるので、自立しなくなります。誰かに何かをしてもらうのが当たり前になり、感謝の気持ちがなくなります。また、自立の妨げは親から信頼されていないという感情につながり、自己肯定感が低くなることもあります。
共依存で育った子どもは依存型の大人になり、自立すべき年齢になってもなかなか自立ができません。
また、たとえ自立ができたとしても、対象が変わるだけでほかの人や物に依存し続け、その虚無感を埋めようとします。それはギャンブル、ゲーム、食べ物、たばこ、そして恋愛を含む人間関係と多岐に渡ります。
日本では文化的に、良妻賢母や献身的な妻が評価される文化背景があったり、アジア圏では家族の助け合いやつながりが強いので、共依存者かどうかの判断がつきにくい環境にあります。また、本人自身が重度であればあるほどその事実を受け入れられないことが多いのです。
日本にはこのような精神分析を行う機関が少なく、アメリカと比較すると、30年ほど遅れを取っているとか。そのため、発見や気づきが遅くなりがちで40代や50代になっても実家暮らし、親の年金で暮らすニートやアルバイトの人たちがいます。
ひどいケースではパニックを起こして罪のない人たちを殺すという事件になるまで表面化しなかったりと、社会問題になりつつあります。
子どもを依存者にしないために、自分が共依存者にならないための予防策とは?
共依存の親は、子どもが自分の思い通りにならないと機嫌が悪くなったり、「自分が人に必要とされたい」という潜在的な感情からくる行動のため、“相手のためを思って”と言いながら潜在的には自分の心のために行動をしています。子どもにとって危険だからとか、まだできないからと何かと理由をつけて子どもが成長する機会を奪っています。
しかし、どんな状況にあっても、子どもたち自ら親を嫌う、とくに母親を嫌うことは難しくもあります。その結果、共依存を伴ったアダルトチルドレンを生み出してしまうのです。そしてそれは親から子へと受け継がれていきます。
アダルトチルドレンの原因と言われる、自己肯定感、自尊心、自信の低さ。これは、幼少期に受けた親の過干渉、過保護または精神的、肉体的暴力により形成されてしまいます。
1歳を過ぎた頃から、子どもたちの自立ははじまっています。例えば、子どもが手を伸ばしておもちゃを取ろうとしたとします。子どもが手を伸ばしたり、取りに行こうと自ら行動する前に、親が先回りして取って渡してしまいます。これが子どもの成長の大きな妨げになるのです。
では、どうしたらいいのでしょう?
子どもは本来、挑戦する力に長けています。ギリギリまで手助けをせずに見守ればいいのです。おもちゃを取ってあげるのは泣いてからでも遅くはありません。ただし、放置することとは違います。側で手を出さずに見守るという姿勢が大事です。
ボタンをかける、靴を履くなどの成長のチャンスは逃さないでください。親が日常に忙殺されていたり、せっかちなあまり、親が手を貸しすぎてしまうこともよく見受けられます。
言葉が発せられる年齢の場合、子どもがなにかを頼んできてもまず自分でやってごらん。と自立をうながすことも大切です。親は手を出さずに見守る。これを徹底しましょう。
ハサミやナイフを使うとき、いつまでも代わりにしてあげていたら、初めての瞬間は訪れません。使い方を教えて、はじめのうちは側で見守りながら、使わせてあげますよね?それと同じことがいえます。
生活力を育てるために自分のことは自分でさせること。洗濯物を自分でカゴに入れたり、取り込んだものを畳んだり、料理を一緒に作ったり、布団をたたんだり、干したり。こうやって、自分のことを少しずつ、できるようになります。
このような日々の積み重ねが他人との境界線を引く力や適切なタイミングで周囲に助けを求める力を育てます。依存性の高いテレビやゲーム、インターネットに関して、使い方や時間を決めることも大切です。
もしかしたら共依存?抜け出す方法はあるの?
もし自分が、共依存者または依存者に少しでも当てはまるかも、思い当たるかもと思ったら、抜け出せるように意識する必要があります。
1、 まず、自分が共依存であることを認めます。認識することが第一歩。自分が受け入れない限り、変わることはできません。
2、 自分が相手に見返りを求めずにできる限界を知ります。ここまでだったら、好意でしてあげられると思えるキャパシティを知ってください。共依存の人はその部分を大目にとってしまう傾向にあり、見栄やプライド、心の弱さなどから頼まれると嫌と言えず、少し我慢をして引き受けてしまったり、そのときはできる気がして安請け合いしてしまう傾向があります。
3、 キャパシティを越えた内容を頼まれたときははっきりと断れるようにしてください。相手のために自分が犠牲になることを断ち切っていきます。断ったからといって、相手はあなたとの縁を切ったりしないし、切るような相手は関係を絶ってもいい相手なのです。
4、 自分の感情を内に溜めずに小出しにしていきましょう。我慢しすぎず、助けを求めましょう。自分が辛いことや苦手なことなどは家族に伝え、我慢をせずに手伝ってもらうことが大事です。また、子育てにおいても手を抜いたり、楽しむことを忘れずに。
親と子どもは別の人格であることを受け入れ、自主自立を見据えて子育てをすることが子どもの成長をうながします。なんでもしてあげるスタイルから、見守るという愛情の注ぎ方にシフトしていきましょう。
小さなことのように思いますが、こうやって子どもたちは大きく飛躍します。そしてこのように子どもとの信頼関係を築くことは反抗期を軽くさせる手助けにもなるのです。
世界35カ国に在住の200名以上のリサーチャー・ライターのネットワークをもち(2017年12月時点)、企業の海外での市場調査やプロモーションをサポートしている。